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 それ以降、酒場で有用な情報を得ることはできなかった。でも、ギルドの名前が分かったのは大きい。ただ、闇ギルドと言っていたので不安はあるけど、助けてくれたお礼ぐらいは言っておきたい。そして、都合よく、今日はパーティーはお休み。行くには絶好の機会だった。

「でも、どこにあるんだろう……」

 闇ギルドって言うんだから、誰かに聞いても無駄だろう。どうにか、自力で探さなければならない。でも……。

「どこにあるんだろう……荒野の書庫……」

 闇ギルドなので、3つのギルドのように町の中心近くにはないだろう。おそらく、あるとするなら中心から離れた場所。そういった場所を探しているのだが、なかなか見つからない。闇ギルドなのでギルド名の看板も出さず、人目に付かない場所でひっそりとやっているのだろうか。でも、あの狩り中も叫び続けていた人がひっそりとなんてできるはずがない。

 そんな事を思っているときだった。

「そこの彼女! ちょっといいかな」

 結構イケメンの男性に声をかけられた。まさか、ナンパだろうか。町の中心から遠ざかるにつれて治安も悪くなると聞くが、まさかこの世界でもナンパなんてものがあるとは思わなかった。

 日本でも数回ナンパされたが、私はこういう人種はあまり好きじゃない。まだオタクと話していた方が楽だ。オタクがイケメンなら最高にいいんだけど、そんな優良物件は簡単には見つからない。それに、今は日本にはいないので、そんな問題を考えても仕方がない。

「あの、私、用事があるので……すいません。失礼します」

「あぁ、待ってよ、彼女。少しぐらい話でもしない?」

 それとなく断ったのに、このナンパ師、しつこいタイプのようだ。こういうタイプは断り続けてもしつこく付きまとってきて、挙げ句の果てに、断られたことに激昂するタイプだ。日本でなら、山の中でもない限りどこかに人が居るのだが、この町の中心地から外れた場所では人が見あたらない。やはり、誰かと一緒に来るべきだっただろうか。でも、私のパーティーは闇ギルドに否定的だし、また恩人の彼と一触即発なんていう状況にはしたくない。ここはどうにか自分一人で切り抜けなければ。

「あの、本当に用事があって急いでいるんで……」

「急いでいるって、どこに? さっき呟いていた荒野の書庫にかい?」

「え……」

 私が呟いたのを聞いていたのだろう。もしかしたら、闇ギルドの名前を聞いて悪い印象を受けたかもしれない。

「でも、見たことない顔だし、それに、ギルドはそっちじゃなくてあっちだよ」

「そう……なんですね」

「そうか。初めてギルドに来たんだね! そうかそうか。それなら、僕が案内してあげるよ」

「ほ、本当にですか?」

「もちろん。ギルドへの客人なら当然のことさ」

 運良く、私は荒野の書庫のギルドの人に会うことができたようだ。

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