俺がゲームを始めたわけ。 その二
Aimsのプロローグから入るお話。主人公のお話なので駆け足です。もし機会があったらちゃんとしたストーリーで書いてみたいですね。
◇
――そこは戦場だった。
爆撃と銃声の入り混じる混沌とした環境の中、自分に向けて声が聞こえてくる。
「私は足が潰れてしまったからもう足手まといよ…。あなただけでも逃げて!」
うっすらとした意識で視界を広げてみれば、目の前には自分よりも幾分か体格の大きな女性が俺の手を強く握っていた。
「――ッ!」
その光景を見て思わず息を呑む。圧倒的な臨場感に気圧されてしまった。怒号と銃声、硝煙の匂いが鼻をくすぐり、歯を強く食いしばる。
そして、女性に対して何か言葉をかけようと口を開こうとするが、システム的な制限なのか話すことが出来なかった。
「大丈夫…あなたなら生き延びれる。あなたは勇敢な父さんの息子」
そう言って俺の頬を撫でる女性。悲しそうだが、気丈に振舞って笑顔を浮かべるその様に俺は酷く心を打たれた。
「――ッ、隠れて!」
女性が俺にそう言うと軽く突き飛ばし、瓦礫の影へと隠した。
すぐに顔を出したのは武装した兵士。兵士が女性と目が合うと、にやりと醜悪な笑みがその顔面に貼り付けられる。
その兵士を睨みつけながら、女性は。
「私を殺しなさい」
「ははは、当たり前じゃないか。と、その前にお前、レジスタンスだな?仲間の情報を吐けば見逃してやってもいいが?」
「仲間を売るぐらいなら死んだ方がマシよ」
笑みを浮かべて尚睨みつける女性。俺は震えてしまって動くことも出来ない。ただ、目の前に起きている光景を茫然と眺めることしか出来なかった。
「そうか、なら死ね」
容赦のない兵士の銃弾が、女性の頭部を貫く。女性の身体は血のように表現された赤いポリゴンをまき散らしながら、ゆっくりと傾く。
倒れる間際に、涙をこぼしながら口が動く。
――生きて。
その言葉を読み取り、俺は燃え上がるような激情に駆られた。何かできないものかと腕を動かすと、こつんと何かが手に当たった。
ハンドガン。
偶然落ちていたのだろう。手にずしりとした重みを感じながらハンドガンを先ほど女性を撃った兵士へと向ける。どうやらこちらに気付いていないらしい兵士は、女性の身体をまさぐり、装備品などをはぎ取っていた。こちらが一方的に視認している状況。手の震えは止まった。あとは正確に撃ちぬくだけ。必ず、女性の仇は取る。
「くたばれ、下種」
自分でも驚くほど冷えた声が自分の口から発せられる。トリガーを引き、ハンドガンの発砲の衝撃に手を痺れさせながらまっすぐ兵士を見据える。兵士は唐突の射撃に驚いたのか、ビックリしたような表情を浮かべながら眼前に迫る弾丸を頭で受け止めた。
瞬間、飛び散る赤いポリゴン。何が起きたのかわからないといった表情のまま兵士はぐらりと身体を倒し、地面に伏した。…着弾位置からして即死だろう。
「ああくっそ、胸糞悪い…」
たとえゲームであろうと、先ほど頬に感じた温かみをぬぐう事が出来ない。そして、偽りであろうとも人を撃ちぬいたことに少しばかりの罪悪感を感じていた。
瓦礫から姿を晒し、ハンドガンを下に向ける。立ち昇る硝煙の香りに嫌気を感じ、ペッと唾を吐き捨て空を仰ぐとポツリ、ポツリと雨が降り始めていた。
次第に雨は強くなっていき、身体を打つような豪雨へと変わっていった。
どうするべきかと悩んでいると、洞穴があることに気付いたのでそちらへと足を向けた。
◇
十分経った頃だろうか。なぜか中にあった毛布に身を包み、雨に濡れた身体を温めていると、入り口から声が聞こえてきた。
「ここで雨宿りするか」
その言葉を聞いてびくりと身体を震わせる。マズイ、先ほどの兵士と同じ敵だったらどうしよう。ハンドガンの残弾もあるかどうかわからない。
どうにかして姿を隠さないとと毛布から身体を晒したときにはもう遅かった。
「何者だ!?」
複数人の男たちに銃口を向けられた。反抗するだけ無駄かと嘆き、両手を上げると、一人の男がこちらを見て驚いたような表情を浮かべる。
「お前…もしかしてシアンか?」
シアン?誰だそれは…。…あ、そういえばこのゲームの主人公のデフォルトネームがシアンってパッケージ裏に書いてあったような。あ、ウインドウ出た。
『Tips:シアンはあなた自身の名前です』
やっぱりそうか。なら大丈夫だなと思い、素直に頷く。
「良かった!お前が生きていて本当に良かった!トーマスも喜ぶぞ!」
男は喜びながら俺の両肩を掴んだ。どうやらこの人達は味方のようだな。先ほどまで感じていた敵意が全く感じられない。
「……あれ、シアン、ジェシーはどうした?お前が紛争地域に残されたと知って一目散にお前の元に向かったんだぞ?入れ違いになったのか?」
その言葉を聞いて、ウグっと言葉を詰まらせる。もしかしてジェシーってあの女性なんじゃなかろうか。いやきっとそうなんだろう、ああやめろウインドウ出るな!
『Tips:ジェシーは先ほど命を落としたシアンの母親です』
うあああああそうだよなあ絶対そうだと思った!知りたくない事実だよ本当に!
「母さんは…もう」
「……そうか、辛い思いをしたな、シアン」
辛く悲しそうな顔で顔を俯かせると、自分のことを知っていた男は俺の事を優しく抱きしめてきた。突然の抱擁に驚き、男を見ると涙が頬を伝っていた。辺りを見回すと、みな一様に涙を流していた。
どうやらジェシーはこの部隊の部隊長で、慕われる人物だったようだ。何より仲間を優先し、戦場には勇敢に戦い抜いたとされる彼女は、レジスタンスと呼ばれる組織の中でも高い位に位置していたらしい。
その存在の喪失に、少なからず嘆き悲しんでいるのだろう。
と、その時外から一人の男が入ってくる。装備を見る限り、どうやらレジスタンスのメンバーらしい。
「ここら一帯の生存者はもういない…。一度基地に戻ろう」
「了解。…シアン、ここを離れよう。ジェシーが残した最後の意志は、絶対に守って見せる」
そう言って俺の頭を乱暴に撫でると、男たちはすぐに装備を担ぎなおして外へと視線を向ける。
どうやらプロローグ的なものはここで終わりらしい。俺の身体はモーションアシストによる強制操作で、男たちの後ろをついていった。
◇
ここでムービーが流れ始めた。
俯瞰的に俺が遠目で眺めることになった。先ほどまで俺が操作していたキャラクター、シアンがレジスタンスの基地へとたどり着き、父親らしき人物と再会し、抱擁していた。
そして、場面が変わり、避難してきた住民たちと同じ部屋で過ごしていた。
瞑想するように目を閉じたシアンはベッドの上で腕を組みながら。
『俺は母親の仇を打つ』
思い起こされる兵士に射殺される母親の姿。
あの時に何もできなかった自分への憤り。
敵兵士に対する殺意。
いろんな感情が入り混じりながら湧き上がってくるのは負の感情。
『俺が、この戦争を終わらせる』
目を開き、シアンは決意する。
自分が変わらなければいけない。
俺のような人間が他に出ないように。
俺も、守る側の人間になりたい。
そう決意したシアンは、父親の元へと向かった。
場面が再び切り替わり、シアンと父親は相対する。
「父さん、俺を鍛えてください。俺はもう、大切な人を失いたくない」
そう言ったシアンに対し、父親であるトーマスは複雑そうな表情を浮かべていたが、やがて。
「…生半可に鍛えると、戦場で命を落とすぞ。ハードな修練になるが構わないか?」
「構いません。お願いします」
そう言って、シアンの特訓の日々が始まった。
◇
十年後。戦場を渡り歩く傭兵となったシアンは、その日も戦場に赴いていた。
『俺は強くなった。だが、世界を変える事は出来なかった。世界規模の戦争を終わらせるなど、俺には無理だった』
シアンはそう独白しながら茫然と空を眺めていた。
『人類は、兵器にはあまりにも無力だった』
落ちてくるのは数々の爆弾。轟音と爆炎が戦場をあっという間に呑み込んでいき、シアンを含めた戦場の人間たちは蹂躙される。
『ああ神よ、どうしてこの世界はこんなにも理不尽なのか』
シアンの意識はそこで途切れた。
◇
『コールドスリープ計画、コンプリート』
目を覚ますとそこは知らない白い部屋だった。周りを見回してみると、先ほどまでの自分と同じ様に眠りについている人間たちがそこかしこに散見できた。
コンピューターを弄っていた研究員らしき男がこちらに近付き、口を開く。
「お目覚めかな?百年前の英雄。君はこの特殊部隊【終わらせる者達】に選ばれた。これから君の身体調査を行うから、着いてきてもらえるかな」
『…特殊部隊?…【終わらせる者達】?…取り敢えずまずはここがどこなのか判断する必要があるな』
研究員らしき男の言葉にシアンが頷き、着いていくと、研究員は振り返る。
「ああ、そうだ。特殊部隊に入る上で君はコードネームで呼ばせてもらう。この場で構わない。君のコードネームを決めてもらえないかな」
研究員の言葉を聞いた途端、意識がゲーム側に引っ張られ、シアンの身体へと憑依した。
急だったので驚いたが、すぐに気が付いた。
(ああ、これプレイヤーネーム決めか)
ムービーから急に入るなんて、これがゲームオーバーに関わるイベントだったら怒ってたぞまったく。
ええと、プレイヤーネームか。うーん、どうしたものか。渚は安直すぎるし、なんかあんまり目立たない名前…。
確かシアンって傭兵になったんだっけ?じゃあ、どこにでもいるしがない傭兵という事で…。
「『傭兵A』で」
「傭兵A…か。分かった、よろしく傭兵A。…着いたぞ、ここが君の新しい住処だ」
研究員の男が扉を開くと、そこには機械の中に横たわる人間たちがずらりと並んでいた。ニヤリとした笑みと共に、眼前に『Ruin gear』というロゴがデカデカと出現した。
なるほど、ここでプロローグが完全に終了するわけか。
◇
その後、数時間オフラインモードをプレイし、俺は少し疲れを感じてVR機器を頭から取り外した。
程よい満足感に満たされ、俺はうっすらと笑みを浮かべる。
「案外難易度高いかなって思ったけど初心者の俺でも全然楽しめたな…」
VR機器をギュッと抱きしめながら、先ほどまでプレイしていたゲームの事を思い出す。
正直、続きが気になるがこれ以上遅くまでプレイしていると明日の学校に支障が出てしまう。
「なんだかんだで俺、結局楽しんでるじゃねえか…」
ははは、と乾いた笑みを漏らす。あんだけ忌避していたゲームがこれほど面白いものだと思わなかったし、少し、後悔もしている。ゲームに憑りつかれてしまう気持ちも少なからず実感することが出来た。まあだからと言って、自分自身の目標は変わらない。ゲームで親を叩きのめす、それだけは。
と、その時、コンコンと部屋のドアがノックされた。
思わずビクリと身体を震わせる。おかしいな。今日は両親ともに大会だから今意識を持って行動している人間は、この家には俺しかいないというのに。
おそるおそるドアを開けると、そこに立っていたのは――。
「母さん…!?」
「やっほ、渚」
同じ家に住んでいるというのに全く顔を合わせないので久しぶりに見た気がする。もう三十台なのに二十台前半のごとき美貌を保っている、俺の母親、日向香織は笑みを浮かべた。
「どうしてここに!?今、大会じゃ…」
「負けちった。いやーやらかしちゃった。雑念マシマシでさー」
てへっと頭をこつんと叩く母さん。珍しい。強豪プロゲーミングチームに所属しているので、こんな早くに負けるなんてことはそうそうない。体調でも悪いのかと心配すると。
「……ごめんね、入学式行けなくて」
少し寂しそうな表情で俺の頭を撫でる。途端、俺の心がギュッと締め付けられるような感覚に陥った。なんで、今更そんなことを。
「渚がどうしてるか不安でさ、あたし、リーダーなのに試合に集中できなかった。ダメダメだね。プロ失格だよ」
たははと母さんは笑い、そのまま俺の頭を抱きしめる。
「……今後は一人でもやる気がないならチームにも関わってくるからそういう雑念は持たないこと、家族サービスもしっかりすることってメンバーにも怒られちゃった」
「…」
と、その時母さんは何かを取り出した。
「それに、こんなの聞いちゃったら本当に申し訳ないことをしてきたなぁって再確認させられたし」
取り出されたのはボイスレコーダー。それを見て思わずぎょっとしてしまう。
そして流される音声は俺がリビングで呟いていた独り言。
それを聞きながら、母さんは話し始める。
「渚がね、ゲームが嫌いなのは知ってるんだ。それでもずっとプレゼントし続けてきたのはさ、渚にあたしと父さんが感じている世界を少しでも感じてほしかったから。そして、ずっと一人にさせることが多いからあたしたちを忘れるぐらいに没頭できる物を見つけてほしかったから」
「……」
そんなことを言われてしまったら何も言えないじゃないか。母さんは俺をそっと放し、両肩を掴みながらまっすぐ俺の目を捉える。
「渚は母さんたちがゲームが大好きだから自分よりもゲームを優先していると思っているかもしれないけど、あたしたちが頑張っているのは、渚が幸せに暮らせるようにお仕事を頑張っているからなんだよ。そこだけは忘れないで」
「……父さんはそんな風に見えないけど」
「このこのー生意気な奴!」
「いたっ、ちょ、なにすんだよ母さん!」
こめかみをぐりぐりとしてくる母さんに少し苛立ちを覚えるが、今はそんな感情さえ心地よかった。
(なんか、昔みたいだな)
まだ知名度が低く、大会でも優秀な成績を残せなかった時代はこんな感じの関係だったのを思い出して、胸がじんわりと温かくなった。
ひとしきり母さんにされるがままにしていると、口をとがらせて。
「あれで父さん渚にべったりなんだからね。会えないから渚はあんまり知らないかもしれないけどしょっちゅう渚のことで絡んでくるんだから。『渚どうしてるかなあ』とか『渚に会いたいなあ』ってあたしに言ってくるんだよ?本人に言えって話じゃない?」
「……そんな馬鹿な」
自分の中の父さん像が崩れていくのを感じた。寡黙でクールというイメージだったのに、まさか自分にべったりだなんて想像すら出来ない。
「それでも渚に会えないのは仕事もそうだけどやっぱり申し訳なさっていう罪悪感のせいで会えないんだ。だからこういう機会じゃないと伝えられないからさ」
そう言うと母さんはニッと笑い、また俺の頭を乱暴に撫でてきた。
「渚はまだ12歳だもんね。寂しいよ、あたしだってその頃は親にべったりだった。だからさ、そんな大人ぶらないでもっと甘えていいんだよ。渚は優しいから仕事に集中してくれるようにあえて辛辣な言葉を浴びせてくれてるのも分かるけど、もっとわがままを言って欲しいな」
「…ッ!」
ずっと、ずっとその言葉が聴きたかった。自分がわがままを言っても良い、甘えていい。仕事だからと仕方ないと割り切り、そのせいでストレスだけを溜めて八つ当たりをゲームにぶつけていた。自分が他の同級生の子達みたいに親に愛されないのは、ゲームのせいだと決めつけて。だが、実際はそんな事無かった。親は俺の事を愛していたし、俺のためを思って仕事に精を出していた。ただ、それを知らなかっただけですれ違っていただけ。
「今、渚がしてほしいことは何?」
「……今、してほしい事、か」
優しい笑みを浮かべたまま母さんは俺に問いかける。急にそんな事を聞かれても返答に困るが、一つ、わがままを言うならば。
「……また、母さんの手料理が食べたいな」
「……うん。分かったよ。ちゃんと、忙しくても毎日作ってあげる。良かった、あたしの飯がマズイって思ってたんじゃないんだ」
「……ごめん」
母さんは眼から涙をこぼしながら俺をそっと撫でる。素直になれずに言えなかった言葉をようやく吐き出すことが出来た。
母さんは涙を手でぬぐうと、言葉を続ける。
「ほかには、無いの?」
母さんの言葉に俺も笑みを浮かべて目を閉じ、横に首を振る。
「母さんたちが俺を愛してくれているって知れただけで十分だよ。それだけで、本当に」
「そっか」
これからも母さん達はプロゲーマーとしてその仕事を全うしていくだろう。だけど、これからの俺はゲームになんの憎しみを持つことなく素直に応援できるし、誇りに思える。少し寂しい気持ちもあるにはあるが、俺も、新しい楽しみを見つけることが出来たから。
母さんは、俺の部屋を見渡し、俺のベッドの上に置いてあったヘルメットタイプのVR機器を見て少し驚いたような表情を浮かべる。
「渚…。ゲーム、やったんだ」
「うん」
「楽しかった?」
「……うん」
「そっか、良かった」
満面の笑みを浮かべて母さんはこちらを見つめる。少し恥ずかしくなり、俺は思わず目線を逸らした。母さんはニヤリと不敵な笑みを浮かべてくすくすと。
「やっぱ渚はあたしたちの息子だよ。ゲーム好きって宿命に逆らえなかったんだね」
「……そうなのかもね」
実際にプレイしてみて、俺はやはり楽しいという感情しか湧き上がってこなかった。少なくとも、今までやってこなかったことを後悔してしまう程度には。
俺は、一歩前に出て、母さんに目線を合わせる。
「母さん、俺、一つ決めたんだ」
「ん?」
これは俺からの宣戦布告。もうゲームがどうのとは言うまいが、一つ決めた目標を高らかに宣言する。
「俺は母さんから貰ったこのゲームを極めて、母さん達を叩きのめす。それが目標だ」
「ほう?それはいい心構えだが、今から始めてゲームのプロである私に追いつくという事かね?言っておくがあたしはかーなーり強いぞ?」
「それでもさ。俺はきっと追いついて、追い越してそのまま置き去りにして見せる」
「……あっちゃー、これはもしかして思わぬ強敵を作り出しちゃったかもなぁ」
母さんはそう言いながらも、楽しそうに笑う。
「あ、でもこのゲーム純粋なFPSじゃないから公認大会あるかどうかわからないよ?」
「えっ」
母さんの言葉に俺は思わず固まるが。
「まあ人気が出れば大会とかも開催するんじゃないかなぁ。その時は渚、勝負だよ」
「望むところだ」
拳を合わせて、母さんと笑いあう。
また、こんな形で笑いあえる日が来るなんて思わなかった。
その後、両親と話し合い、俺の目標を父さんにも伝えた。すると、父さんは滅多に見せない笑顔で、「…そうか。楽しみにしている」と呟いてくれた。
また元通りの生活に戻ってしまったが、一つわがままによって変わった変化、母さんが用意してくれている料理を食べて、俺はゆっくりと幸せを噛み締めるようになった。
両親に告げた宣戦布告は有言実行している。
毎日行う自己研鑽と、検証の日々。
まだまだ拙い技術でゲームをプレイしてはいるが、日々少しずつ強くなっているのを実感している。
目標は遠く、果てしない道のりだとは思うけど、きっといつの日か超えて見せる。
だから。
「フルダイブシステム・オンライン」
脳内に直接送り込まれる信号によって彩られた電脳の世界に今日も俺は飛び込む。
ずっと我慢してきた少年は甘える事を覚え、親もその気持ちに答えるようになる、そんなお話。
そして一つの目標を掲げ、それを達成するために今日も彼はゲームを続ける。
まあ二年後にはもう超えてしまうんですが…(白目)
つーか最初にプレイするゲームが割とグロ寄りな件について
ちなみにジェシーを撃ちぬいた兵士を先に撃つ事は不可能です。悲しいかなご都合主義。
撃ちそびれてもビル(主人公の事を知っていた人)達が助けに入ることで難を逃れます。
実は最後の一文、SBOのプロローグに登場した文なのですが、気付いた方はいらっしゃるかな?