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19. 二人だけの三角形(1)

※ジュール視点のお話になります。


“アンタがユラの世界に

踏み込む必要はない。“


”だってアンタは“知らない側の人間”だから“


ルイはそう言って冷たい笑みを浮かべて

ベイゴードの炎に消えていく。


そんな夢をもう何回見ただろう。

ルイを探すため、何度も遠征や討伐に向かい、

その度にルイがこの世界から居なくなって

しまったのだと自覚する。


ただその度に安堵する自分が居て、

ルイと再び出会った時、

もう一度突き放されることに怯えている自分を

見つけてしまう。


再びあの無機質な眼差しで

違う側の人間だと言われたら、

俺はどうなってしまうだろう。


「ジュール団長、

次の遠征についてお話があります」


「あぁ、今いく」


俺はセレン騎士団から近衛騎士団に従属し

遠征や討伐で名声を高め、18歳で、

王家直属の近衛騎士の第3団長に命ぜられた。


そのため、最近は忙しさで以前より

ルイの事を考える暇が無くなり

僅かだが気持ちの余裕が出来る。


だが、未だに分からない。


「ユラ」


その名前について

徹底的に調べ尽くしたが、ファーストネームは

おろかファミリーネームも愛称ですら

そのような名前の者は見つかっていない。


今までルイと過ごしてきて

「ユラ」の名前が出たのはあの日だけだ。


ルイが変わってしまったのも、

ルイが姿を消したのも「ユラ」という人物が

関係しているのではないだろうか。


それに気になることはまだある。

リュカ殿下は、何故かアレックスの見た

「白い猫」の情報を聞きたがっていた。


それに、一度近衛騎士の内密な任務で猫探しを

命ぜられたこともある。

その猫の特徴もリュカ殿下の言っていたものと

合致する。


白い猫とルイとユラ、

この全てが関係しているのなら何か手がかりが

必ず見つかるはずだ。


「団長、最近根を詰めすぎでは?

夜も遅くまで書類整理を

していると聞いていますし」


後輩の騎士が心配げにこちらを見てくる。


「大丈夫だ、心配かけてすまない。

これから少し殿下と会ってくる」


気遣ってくれる後輩に心配をかけまいと

瞳を細め笑みを作ると

後輩の騎士は眉を下げて嘆息する。


「では、まとまった件を報告してきます

いくら貴方といえど、ご無理は禁物ですよ」


後輩の騎士が窓の外を不意に見た。


「嵐が来そうだな」


俺が言うと後輩騎士は厳しい顔で頷く。


「遠征には嫌な季節ですね

....団長」


「何だ?」


俺が聞き返すと後輩は険しい顔を和らげ

切なげに微笑む。


「いえ、団長には俺達がついてますからね」


「....あぁ、」


後輩騎士にそう言って笑みを返すが、

同時に自分の不甲斐なさに反省する。


騎士の仲間にまで気を遣わしてしまうとは

俺もまだ未熟だ。


だがルイがいなくなってからの3年間、

灯った炎が途絶えるように

明るさを失ってしまった。


剣の腕は磨かれても、

前のように晴れやかな喜びが感じられない。

そればかりか剣に触れるたびルイの事が

思い出されて、辛くなることさえある。


別にいつも顔を

合わせているわけではなかった。


セレン騎士団に入るまでは

さらに会う頻度は限られていた。

一度も合わなかった年もあるくらいだ。

今だって、たった3年間会わないだけだと

考えればいい。


だが、そう何度も割り切ろうとしても

出来なかった。


ルイは大切な友人で、

兄弟のような存在で、


俺の人生の大恩人だ。


だがそれ以上にルイは俺にとって

特別な存在だった。


ルイに向ける思いが恋愛のような感情だと

思ったことさえある。


この感情を未だに理解出来ていない。


唯一言えることはルイの事が

何より大切で決して失いたくない

存在だという事だけだ。


「フィレストルフ辺境伯のことは

知っているね?」


王宮の廊下で待っていたリュカ殿下が問う。

リュカ殿下もここ3年で

背丈も伸び、声変わりをされ、

大人びた雰囲気が容姿と相応になって来た。


「えぇ、存じています。

ヴィルセント王国と他国の間に位置する

重要な領地ですから」


「先日そこに向かわせた王宮の使いが

妙な事を言っていたんだ」


リュカ殿下はこちらに

一歩踏み込みにやりと微笑む。


「そこの領主は使いにこう言ったんだ

今まで”3年間“の記憶が

すっぽり抜け落ちている、と」


3年間、その言葉にどくりと鼓動が高まる。


「それだけじゃない、

記憶がないうちも統治は行われていて、

使用人達の話を聞くと館の一部分に

立ち入らせないようにしていたらしい。


そればかりか大量の女性物の

ドレスや家具が買われ、

商人に問い合わせて見ればちゃんと本人が

その手で買っていたとか。」


「女性物?」


訝しげに問うとリュカ殿下は

人差し指を鼻につけて声を潜める。


「そしてこれが肝だよ。

部屋には猫の毛や足跡が

たくさん見つかっている。

辺境伯は猫は飼っていなかったのにね。


それも「白い毛」だ

....怪しいと思わない?」


殿下の言葉にぞわりと身が沸き立つ。

パズルのピースが繋がるように

鼓動が音を刻んでいく。


「フィレストルフ辺境伯ですよね、

近々グレイテス王国との国境付近の土地の

下見にあの領地へ向かう予定があります。

詳しい話が聞けたら殿下にもご報告します」


俺がそういうと殿下はにこりと微笑んで

頼んだよ、と肩を軽く叩くと

そのまま去ってしまった。


殿下はおそらく

俺がその領地に行くことを知っていたんだ。

だが、そのおかげでいい情報が聞けた。


しかし記憶喪失はあっても

3年間もの記憶がすっぽり

抜け落ちる事はあり得るのか?


だがルイについてのことに何らかで

関与しているなら証拠を残すような

言動はしないだろう。


だがもし辺境伯が操られていれば?


そんな事はあり得ないと分かっている。

だが人が変わったようなルイを見てしまうと

疑いざる負えない。


それにフィレストルフ辺境伯は

まだ年若く独身の領主だったはず、

なぜ女物の服や家具を買っていたんだ?


女物の服といえば

以前ルイも着ていた事があった。


弟のために着ていたと言っていたが、

それほど抵抗もしていなかったな。


もしルイが自分の身を隠すために

女装をしていたとしたら?


それほどまでに王国に

見つかりたくないのだとしたら?


俺がルイを連れ戻すことは

エゴでしかないんじゃないか?


だが、会ったら聞きたい。

どうして姿を消したのかを。


理由によってはルイと

再び別れることになるだろう。


会ってすぐに突き放されるかもしれない。


だが、そんなことどうでもいいほどに

ただルイに会いたい。


ルイが無事に生きているかが知りたい。


顔が見たい。


声が聞きたい。


はぁ、と額に手を当て、

深く深呼吸をする。


「ダメだ、

こんな気持ちでルイとは会えない..。」


剣の柄を握る手に力を込める。


困らせたいわけではない。

ただ近くで笑っていて欲しいだけなんだ。


水場で顔に水をかけ、頭を冷やす。


しっかりしろ、俺。


ポタリポタリと水が頬を伝う。


第一、ルイの手がかりが見つかりそうなだけで

会える可能性も高くないんだ。


それに仮に見つかったとしてどうする?

ルイはいずれ誰かと

幸せになるべき人間だ。


....ユラ、


ルイにとってユラという人物は

女神のような存在だといっていた。


ルイにとってユラはおそらく特別な人間だ。


「..いつかルイが他の女性と結婚しても

笑って送れるようにならなくては」


ズキズキと刺さる胸の痛みを

堪えながらそう口に出してみる。


大丈夫..

いつか絶対そう思える日が来る。

だから今は、

ルイの無事を確認することが先決だ。


布で濡れた顔を拭い

気を引き締めると、

俺はまた騎士団の元へと戻った。



**********************



オリヴィアと合流して

一週間が経とうとした時、

ようやくオリヴィアの領の方角へ行く船が

到着するという知らせが来た。


オリヴィアの用も一頻り済ませたので

船でオリヴィアの住む領地へ

帰ることになる。


「この世界には飛行機とかはないし、

私の住む領は港が近いから

船が一番早いのよ」


オリヴィアが宿で

荷造りをしながら私に言う。


「あの港は王都に住む人たちもよく使うから

帰りは特に気をつけなくちゃな..

私は王都に顔馴染みが多いから」


オリヴィアは私の言葉に満足げに微笑む。


「大丈夫よ。

今の姿をルイだと思う人はいないわ!」


達成感に満ちた表情のオリヴィアに

私は苦笑いを浮かべた。


私はすっかりオリヴィアに

改造された自分を

部屋に設置された大きな鏡で見る。


淡い青紫の髪はアップでまとめ、

黒いヘッドドレスがつけられている。


瞳はヘッドドレスから垂れ下がる

少し透けた黒い薄布で隠され、


服は紫と黒を基調とした

ゴシック調の使用人服を身に纏った。


胸には念のためと持たされたブルーローゼの

紋章の入った使用人バッジが輝いている。


ルイとバレやすい剣は

袋に入れて腰に差し、もう一つに

持ち手に骸骨の装飾のついた鋼のステッキを

腰に差した。


「今回のコンセプトはゴシック&ホラーよ!

魔女と従者のメイドをイメージしたの。

可愛いでしょ?」


「それでオリヴィアも

今日はそんな格好をしているのね..」


オリヴィアを見ると私のテイストとあった

ゴシック調のドレスを来ている。


悪役令嬢だけあって

そのような服装も様になっているけど..


「こんな珍妙な格好してたら

目立つんじゃないかな..?」


オリヴィアは私の言葉にきょとんとした後

強気に微笑んだ。


「大丈夫!

むしろ多少目立ってる方が

疑われないものよ」


オリヴィアの言葉に少し心配になりながら

頷くと、背に神様を乗せたパールが窓から

するりと入ってきた。


「今日の船はやめた方がいい、嵐が来る」


パールの言葉にオリヴィアは

困ったように眉を下げた。


「だけど今日の船に乗らないと

次の便はいつになるか..

お父様と約束した期間を過ぎてしまうわ。

困ったわね..

こんなに晴れているのに本当に来るの?」


私は開け放たれた窓から顔を出す。


外は雲ひとつない青空だけど風が強く、

やや空気が湿っている。


「パールの言う事は当たっているかも、

この時期は天気が荒れやすいし..」


私の言葉にオリヴィアは深い溜息を吐く。


「船が難破しては元も子もないし、

諦めるしかないようね。

でもこれ以上長居は出来ないわ。

馬車で戻るしかないわね」


オリヴィアの強張った表情を見ると

オリヴィアの父は

相当時間に厳しい人のようだ。


私達は早速馬車を借りて

オリヴィアの領へ戻ることになった。


「お嬢様、どこの馬の骨かも分からぬ者を

供につけるなどなりません。


客人だとお聞きしたので黙っていましたが

使用人にするなど以ての外です!


第一勝手に使用人バッジを渡すなど

旦那様がどう思われるか..」



出発するため馬車に乗り込もうとすると

剣を携えた茶髪の年若い従者が

オリヴィアを叱咤し、

今もブツブツと不服そうな言葉を

言い連ねている。


私は面倒げに従者の話を聞いている

オリヴィアとの間に入り込んだ。


「私は、オリヴィア様に拾って頂きました、

名をユラと申します。


従者様のご懸念、もっともで御座います。

私は馬に慣れておりますので。

手綱を引いても構いませんよ」


私は極めて礼儀正しく接するが

オリヴィアの従者は

私を蔑むような目で睨みつける。


「お前は馬鹿か?

ぽっと出の訳のわからんやつに

手綱を任せる訳ないだろう?

もういい、黙っていろ。

後のことは旦那様に決めてもらう。」


そう言ってオリヴィアを丁重に馬車へ迎えると

私をドンと手荒に押し込める。


「いってて..」


従者の言うことはもっともだけど、

無理に割り込んだおかげで

馬車には乗せてもらえた。


「ごめんね由来、

あの従者、剣の腕はそこそこたつんだけど

新人で教育がイマイチなってないの。

だから敢えて従者に任命したんだけどね」


オリヴィアは気遣わしげに

私に手を差し伸べる。


「敢えて?」


「そうよ、頭の切れる者や経験のある者を

側に置くと由来のことを感づかれてしまう

可能性が上がるから。

現にあの従者、由良のことを怪しんでこそ

いるけど変な詮索は入れてこないもの」


オリヴィアがしたり顔でほくそ笑んでいるのを

苦笑していると馬車が走り出した。


.......


....



馬車が走り出して数時間経った時、

私達は所々岩肌が浮き出た

山道を走っていた。


「雲行きが怪しくなってきた..

嵐が来る前にどこかの宿に

馬車をつけた方がいいよ」


窓にかけられたカーテンを僅かに開けて

私が言うとオリヴィアは頷く。


「そうね、もう少ししたら街に出るわ。

そこで宿を借りましょう。」


「ヒヒィーーン!」


オリヴィアの言葉に反応するように

馬が声を上げ、激しく急停止する。


「うぅ...っ」


ぐらりと揺れる振動からオリヴィアを庇う。


「大丈夫?オリヴィア、

ちょっと外を確認してくる」


「え、えぇ、頼んだわ」


私はオリヴィアに一言告げると外に出た。


「何かあったのです...」


言葉を言い終える前に

その場の状況を理解する。


「貴様達...!何者だ!」


従者の怒声が響くと

馬車を囲んだ

無骨で粗暴な男達が近づいてくる。


「....山賊か」


馬車の扉から小さく顔を出した

パールが呟く。


ざっと数えて五人ほどだ。


「従者様、落ち着いて下さい。

大した数ではありません」


「大した数では無いだって!?

ふざけた事を....っ」


私の言葉に従者は顔を真っ赤にして叫ぶ。

揺れる瞳には焦りが見える。


しまったな、火に油を注いでしまったか。


私はオリヴィアに持たされた鋼のステッキを

取り出した。


「こんなので戦えるかな..」


武器とは程遠い装飾のついた杖に

苦笑いを浮かべながら従者の隣に並ぶ。


「私は後方の敵を、

従者様は前方の敵を対処してください」


私が言うと従者は勢いよく振り向き

瞳孔の開いた目で私を睨みつけ、

突き飛ばした。


「なっ...!?」


その拍子にどさりと地面に身体が弾む。


「お前のような者に背中を預けられる訳が

ないだろう!引っ込んでろ!」


「がっはは、なんだぁ〜?

仲間割れか?」


「ぐはははっ

いいぜ〜兄ちゃん。

要らないならその娘も貰ってやるからよ」


山賊達は大きめのナイフを手に持つと

私たちに向かって襲いかかる。


「俺一人で十分だ..っ」


従者は剣を鞘から抜くと

山賊達に向かって飛び出した。


その瞳は狼狽し、冷静さを欠いている。


「いけない!」


「どうやら沙耶の人選は

失敗だったみたいだね」


いつのまにか肩に登っていた

神様が耳元で囁く。


従者の剣が山賊の腕を切り裂く。

裂いた傷から血が舞い上がると、

従者の顔はますます歪む。


「うわああああ!」


従者が叫びながら次々と剣を山賊に向けるが

致命傷にはなっていない。


山賊達のナイフをうまく避けているし

剣筋もいいが

どうしてか従者は急所を避けて

斬っているようにみえた。


それに剣を振る様子にも迷いがある。


あの様子はまるで..。


「........」


私は手に持ったステッキを

ぎゅっと握ると立ち上がる。


従者は山賊の二人と剣を交わしているが、

背後で残りの三人ほどが

従者に向かって飛びかかった。


私は、すぐに従者の

背後に向かって走り出す。


ステッキの切る風の音が響くと

鈍い金属音と殴打音がそれに続く。


低く呻く山賊の声が地に蹲り

3人の身体が転がった。


目を見開いてこちらを見る従者を一瞥し、

動揺する山賊を睨む。


残りの二人の山賊の持つ

ナイフを刹那に払いのけると

カラカラと金属音が地に弾み、


鋼の棒で急所を殴りつけると

鈍く肉を打つ音と共に

山賊達は低く呻き、

訳の分からない様子で

唾液を口から出したまま地に沈んだ。


ステッキは細くて重いぶん、

かなりの攻撃力になるようだ。


山賊を全て倒すと私は呆然と

立ち竦む従者の前に立った。


従者の瞳が私を映すと

怯えるようにその瞳を揺らす。


「お...お前は...一体..」


私はそのまま顔を俯けると、

従者のカタカタと震える剣を握る手を

ぎゅっと両手で包む。


「怖い..?....人を斬るの」


その言葉にピクリと身体が反応すると

従者は僅かに目を見開いた。


従者の瞳が私の言葉を肯定した時、

私の胸の奥に刺さった棘が

じくりと反応する。


「私だけじゃなかった..」


そうか..

この世界の人も私と同じなんだ。


安堵とともに広がる焦燥。


..劣等感。


私には無理だよ、

一度あの恐怖を味わってしまったら

あの場所には戻れない。


無理だ。


従者は呆然とする私の様子を

訝しげに見つめた後

私の両手を振り払った。


「ぽっと出が、いい気になるなよ。

さっきはあれだ..

剣が手に馴染んで無かったから」


従者は揺れた瞳を所在無げに逸らして

言葉を零す。


真新しい剣についた血を払い

カチャリと鞘に納めると

そっぽを向いてしまった。


私は馬に跨る従者を

ぼんやりと少し見つめた後

馬車に戻ろうとする。


「.......おい、」


従者が後ろから私を呼び止めた。


「....さっきは助かった。

次は必ず俺が斬る」


その言葉に頷くと

従者は表情を引き締め、俯いた顔を上げた。


ズキリ..胸の靄がまた広がる。


弱い自分と対峙していながら

前を見る彼のまっすぐな瞳を見ると

自分がひどくちっぽけに思える。


私の怯えは弱さなのかな?

甘えなのかな..。


分からない。


視線を落とすと、

横たわる山賊の腕から

今も血が滴り落ちている。


血だまりが広がって、

あの日の記憶が呼び覚まされる。


舞い落ちる火の粉と

耳に残る断末魔。


頭の中が赤黒い何かで染まっていく。


私は未だ蟠る胸の痛みを感じながら

胸のペンダントを服越しに握る。


しかしポツポツと落ちる雫が

手の甲に跳ねるのを感じ

驚いて空を見上げた。


厚い雲から雨が降り出し

抜けるような風が

使用人服や瞳を隠す布を舞い上げる。


「まずいな、すぐに馬車を出すぞ」


私は従者の言葉に頷くと

急いで馬車の中へ入った。

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