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12. 女装(?)デート

あれからレイブン卿は王都へ送られ、

無期の牢獄行きを言い渡された。


スレイグの領主を務めるのは

レインコード家の親戚筋の人間と補佐にアルトの姉のセレネがつく事が決まった。


麻薬の横行してしまった領内は

厳重な調査が入り、

かなりの量の麻薬が撤去されたが、

今後がスレイグの正念場だという。


私とアルトはというと

あの一件からアルトの私に対する風当たりがなぜか弱まり、ちょっとだけ仲が良くなれた気がする。


魔女狩りの噂は結局

レイブン卿が魔女の伝説を体良く利用して

麻薬の情報を他に漏らさせないようにするための手段に利用しただけのようだ。


だけど麻薬や魔女狩りは

ゲームでは語られなかったし..

まだ気になることも多い。


そんなこんなで

気づけば私も9歳になった。


「いや〜

それにしても、私がスレイグの

屋敷へ戻った時の

アルトは可愛かったなぁ。

良かったよーって言ってずっと泣いてて

お兄さんきゅんて来ちゃったよ..」


ページの訓練中

私がしみじみとアルトに言うと

アルトは顔を真っ赤にしてこちらを睨む。


「〜〜〜!!おい......っ

....いつまでその話をするつもりだっ!

あの時は..その..

お前に悪いと本気で思ってたんだ..っ

第一お兄さんとか俺と

お前一歳しか離れて無いだろ!」


アルトがふんっと鼻を鳴らしてそっぽを向くので私はニコニコしながら頷いた。


いやぁ やっぱアルトと話してると癒される

私の周りの子供はマセてる人ばかりで

子供らしい態度を取ってくれる子は貴重だ。


私も人のことは言えないけど

私は中身の年齢が今世と足せばそれなりだし仕方ないよね..。


「それよりお前里帰りするんだろ?」


「あぁ!」


そうなんです!

やっと実家に帰れるんです!


齢9にして勤労少年(女)の私は

この4年間、ずっと帰れなかったから

本当に嬉しい。


父とは王都で時々あっていたが

母と弟とは本当に4年ぶりだ。


母には定期的に手紙を出していたが

この4年間は多忙すぎて実家に帰れず

親不孝者だったからやっと帰る目処がついて良かったー!


成長した弟にも会えるし!

きっと可愛く成長してるだろうなー。


それと父と母にも

もう一つ吉報を届けることが出来る。

私、ルイ・クロフォード、

この度セレン騎士団に入団が決まりました!


スレイグの一件で国王が

推薦してくれたおかげで私も出世街道の

登竜門に入ることができた。


セレン騎士団の入団を経験すると

勲章が貰え、その勲章のある近衛騎士は

他とは一線を画するのだ。


そして何より、...何となくかっこいい!

これが重要なのである!


入団は来年で

ページの仕事も4年こなして

慣れたものな私は今年は比較的

ゆっくりするつもりだ。


ジュールともたまに手紙を送りあっているが

もうすぐセレン騎士団の遠征を終えて帰ると言っていた。


来年からお世話になるわけだし

どこかで話せるといいけどな。


そんなこんなで

私の帰省の準備は着々と進み、


私とアリシアが帰省する当日となった。



「ただいま戻りました!母上!」


「ルイ!....っ待っていたわ...っ!」


私が屋敷に到着してすぐに

エリーゼが私を抱きしめた。


強く抱きしめられた身体は

ふるふると震えている。


心配してくれていたんだとわかり

心が暖かくなる。


「母上、私セレン騎士団に入団が決まったんです」


「えぇ、アンドレから聞いているわ..っ

立派だわ!ルイ..っ

貴方はクロフォード家の誇りよ」


母に褒められると

頑張った甲斐があったと

誇らしくなる。

私..頑張ったよね。


母との再会を終えて私はウキウキと

弟の部屋の扉を開けた!


「レオたーーん!

お兄ちゃまが帰ってきまちたよーー!」


満面の笑みで部屋へ入ると

紫銀髪にアイスブルーの

可愛らしい男の子が机で本を読んでいた。


「おにいちゃま?あなたはだれですか?」


低いトーンで言われ私は沈む。


だれ...ですか...


そりゃ、生まれてすぐから家を空けていたからそうなるよね...


だけど可愛い!


「レオナルド、私はお前の兄のルイだ。

お前とは生まれてすぐに別れてしまったから分からないとは思うけど

私はずっとレオに会うのが楽しみだった」


ニコッとレオに微笑みを浮かべると

レオはしゅんとした顔をした。


「ぼく、おねえちゃまがよかったなぁ」


レオのうるうるとした瞳が私を見つめる。

うぅ〜...なんだこの弟は可愛い過ぎる..


私は弟をがばっと抱き寄せて高い高いする。


「分かったよレオ、

今日だけはお兄ちゃま、

お姉ちゃまになってあげる」


私が言うとレオはポカンと首を傾げた。


この家くらいはお姉さんでいても良いよね。


ふふっ

ほんとはレオがお姉ちゃんが良かったって言ってくれてちょっぴり嬉しかった。


「母上、

私に会う女物の服はございますか?」


エリーゼのいる庭に行き、

エリーゼに言うと

何事かと目を丸くする。

私はそれに苦笑しながら事情を説明すると

エリーゼは目を細める。


「あるわよ、実はアンドレが

買っては自分の部屋のロッカーに入れていたのだけどついに入りきらなくなっていたところなのよ」


ふふっと笑うエリーゼの

言葉に私はギョッとする。

あの父は知らぬ間に

そんなことをしていたとは..。


「貴方はセレン騎士団にも選ばれてくれたし、たまには女の子らしい事をさせてあげたいと思っていたの。


アンドレも私と同じ気持ちだったのよ。

来なさい、服を着せてあげるわ。

使用人達には私が無理やり遊んだと

説明してあげるから

大丈夫よ」


エリーゼについていくと

本当に大量の女の子ものの服がある。

私は胸がドキドキした。


ルイの時にこんな思い出来るとは

思ってなかった。


私は淡いターコイズブルーのドレスをまとってみる。花柄が所々に散りばめられ

大きなりぼんがあしらわれた上品で可愛らしいカジュアルドレスだ。


「そのドレス、

ルイの髪や瞳によく似合っているわ

こっちに来て」


エリーゼが手招きするのでそちらに向かうと

ショートカットの髪に同じ白金髪のエクステをつけ長髪にし、

ハーフアップに軽く編み込んで

パールと淡い紫のリボンや白い花をあしらった可愛らしい髪飾りをつけて貰う。


「ルイのセレン騎士団入団記念のプレゼント

綺麗よ..ルイ

男の子の格好も似合うけど

女の子の格好の方がやっぱり似合うわ」


エリーゼは私の頬を軽く撫でて微笑んだ。


こんな女の子みたいな格好をさせてもらって

すごく幸せ..

やっぱりドレスは女の子の夢だもん


いつもの男装も動きやすくて気に入ってるけどたまにはこう言う格好をさせてもらえるのはとてもありがたい。


こんな格好本当はこの家にとって危険な事なのに母は私の気持ちを汲んでくれている。


それがとても嬉しい。


扉の外から足音が聞こえて

エリーゼが反応する。


「あら、アンドレかしら

ルイ、せっかくだからアンドレにも見せてあげましょう?

ふふっあの人きっと喜ぶわ」


エリーゼがウインクするので

私もつられて微笑む。


私はガチャリと扉を開ける。


「父上!........て...................」


目の前にいたのはアンドレではなく

ジュールだった。


え.......ええ?!!!


「な......なななんでここに......」


ジュールは私の姿を見たまま固まっている。


「ルイー!

先程王宮でジュールと会って一緒に来たんだ......け.......ど?!」


アンドレもそのあとから上機嫌に現れたが

その場の空気は一気に硬直した。


エリーゼが慌てて笑みを作り口を開く。


「レオがお兄様よりお姉様の方が良かったって言うからルイがわがままに答えてあげてたのよ!とても似合うでしょう?」


エリーゼの言葉にジュールはハッとする。


「そっそう言う事だったのか..

すまない、俺は変な勘違いをしてしまった。

とても良く似合っている」


ジュールは頬を紅潮させて微笑む。

私もそれにつられて赤くなる。


なんか女の子格好で言われると無性に照れくさい。


私が真っ赤になって固まっていると

ジュールは口を開いた。


「すまない、女物の服を似合っているなど

男に言っても嬉しくないか..」


「いや!ま...まぁえっと...」


なんか擽ったくてダメだ!

この空気...


助けを求めるように隣を見るとエリーゼが

ニヤニヤと微笑ましげに見つめている。


「せっかくだからそれで街でも歩いて来たらどうかしら」


エリーゼがクスリと

微笑んで私の肩に触れる。


「しっしかし!」


いや、それはアウトでしょ!絶対!


エリーゼは耳打ちする。


「その格好でルイだと思う人はいないわ

ジュールだったらうまくごまかしてくれそうだし大丈夫よ」


エリーゼは私の背をトン通すと

私は慣れないヒールを履いたせいで

ジュールの体に倒れ込んだのを

慌てて支えてくれる。


「ひん!」


私は思わず変な声が出る。

女の子らしくなりたいと言ったけど

いざこう、やって見ると恥ずかしくて死にそうだ。


ジュールもなんだか私の顔をじっと見てくるし、やっぱり変かな..


俯いた顔を恐る恐る見上げると

ジュールとばっちり目が会う。

慌てて逸らすとジュールは紳士の礼をする。


「お手をどうぞ、ルイ様」


差し出された手を掴むと

ジュールは柔らかく微笑んだ。


「ジュール、母上の戯れに付き合う事ないよ..?」


私が言うとジュールは瞳を伏して

首を横に降る。


「悩んでいたんだ、ずっと

でもルイのその姿を見たら

どうでも良くなった」


そう言って私の手をぎゅっと握った。

よく分からないがこのまま本当にデート(?)に行くつもりらしい。


私はそのままジュールの馬車に乗り

街まで向かう。


馬車に乗る途中、アンドレの悲鳴が聞こえた気がしたが気のせいだろう。


弟のために女装(?)したつもりが

どうしてこんなことに..???


馬車に乗っている時もジュールがジッとこっちを見てきてどうにも居た堪れない気持ちでいっぱいだった。


私の格好が物珍しいのだろうか..


ジュールならありえる。

天然魔性男の才を持っているし。

その辺の女の子じゃ勘違いしても

おかしくないんだから、

この少年は分かっているんだろうか?


しかしこうゆっくり街を散策するのは初めてかもしれない。


私もジュールもカジュアルな服を着ているため、そのままの格好で出歩けた。


ジュールは美形なだけあって

一緒に歩くと周りの女性の視線が痛い。


「あっクレープ売ってる」


さすが乙女ゲームの世界、

現代のクレープと遜色ない。


「食べたいのか?」


ジュールが視線を向ける。


「自分で払うから大丈夫だ」


こう見えても5歳から働いているし

公爵家の長男だし..!


「せっかくだから払わせてくれ、

今日の礼をしたい」


ジュールは私を片手で制すと

そのままクレープを取って来てくれる。


「ありがとう」


私はジュールににこりと微笑みかけた。

お礼っていうのはいまいちよくわからないけど買ってくれるなら素直に感謝しよう。


「うん、美味しい!」


懐かしい味だ、

甘いものも王都では

あまり食べなかったからな..


リュカ殿下が甘いものが苦手だったから

何となく食べにくかったのもある。


私がパクパク食べていると姿を

ジュールが嬉しそうに見ている。


思えばジュールは私といるときはよく笑うな

楽しいと思ってくれているなら嬉しい。


「セレン騎士団に入団が決まったよ」


私がいうとジュールもこくりと頷く。


「あぁ、知っている。

こちらではルイは有名人だからな」


その言葉に首をかしげる。


「え...?」


ジュールはふっと笑うと

琥珀の瞳を優しげに細めた。


「歓迎しているということだよ」


ジュールの言葉はよく意味が分からなかったが取り敢えずお礼を言っておく。


「ルイに連れて行きたいところがあるんだ」


クレープを食べ終わるとジュールがまた手を差し伸べる。


これ、ずっと続けるのかな。

もう母は見てないけど..


私は恥ずかしい気持ちをしまい込んで

差し伸べられた手を取った。


ジュールが楽しそうだから

まぁ、いいか..


ジュールが連れて行ってくれたのは

街の外れにある武器屋だった。

外からは普通の家に見えるため隠れ家的な店のようだ。


「うわぁ〜〜〜!!!

剣がいっぱいある!!!!」


驚いたのはそこに置かれている剣だった。

さすがファンタジー、

様々な形や色の剣が並べられ、

どの剣もとても上物だ。


「ここの鍛冶屋は

とても腕がいいと有名なんだ。


ルイはまだ自分の剣を持っていないと聞いていたから紹介したいと思っていた。


私もここの剣を使っているが

切れ味がよく頑丈で、

とても重宝している」


「ありがとう!ジュール!

ここの剣、最高だよ!」


私はどの剣にしようかうきうきしながら見ていると鍛冶屋のお爺さんが出てきた。


「おや、珍しい

こんな店に花のようなお客さんが来るなんて

ジュール、お前もやるのぅ」


「リカルド、

実は彼、彼女に剣を紹介しに来たんだ。

彼女はこう見えても剣術の天才だから」


リカルドと呼ばれるお爺さんは私を目を丸くしてしげしげと見るとにこりと微笑む。


「ジュールが褒めるくらいならば

お嬢さんの実力は本物なのじゃろう。

どんな剣がお望みかい?」


リカルドの言葉に私は思案する。

やっぱり女性でも扱いやすい

軽めの剣がいいよね。


それに切れ味がよくて

日本の刀みたいな形だと

私の剣術の型と相性がいいんだけど..


「細身で切れ味の良い剣がいいかな..

こういう感じの」


私は日本刀っぽい形をジェスチャーで伝えるとリカルドは閃いたというように

部屋の中へ入っていってしまった。


暫くすると大きな木箱を持って来る。

リカルドは徐に中を開けると

細長い剣を取り出した。


「つい先日作ったんじゃ

とても自信作なんじゃが、

こういう形の剣は他にないからのう

需要があるか心配じゃったんじゃ。」


材質こそ違うが形は日本刀そのもので

ギラリと光る艶のあるその剣は

とてもよく切れそうだ。


白を基調としていて

金の装飾が上品にほどこされ

光の騎士の剣、という印象だ。


「かっこいい.....!」


私はその剣を持たせて貰う。

重さもそこまで重くない。

手にもよく馴染むし、

振った感触も悪くない...!


「この剣にします!」


私は一瞬でこの剣に惚れて即買いした。


ジュールの純白の剣を見ていて

憧れがあったのもあるが

まさかこんな形の剣が売っているなんて

ファンタジー様様だ。


私は購入した剣をそのまま腰に差して

ホクホクとした面持ちで店を出た。


ジュールはそんな私を見て不意に吹き出す。


「ふっくく...っ」


「なっなんだよ」


「いや、そのような格好をしていても

ルイはルイだな、と」


私は楽しげに笑うジュールに

目をきょとんとして首を傾げる。


やっぱ私って女らしくないかな..


「それ、褒めてる?」


私が不満げにいうと

ジュールは笑いながら涙を拭いた。

この男笑いすぎて泣いてるし..。


「勿論だ、

俺はそういうルイが好きだ」


「あ、ありがとう」


なんか凄い爆弾発言された気がするけど。

多分深い意味は無いんだろう。


帰りの馬車の中私はスレイグであったことをふと思い出していた。



「ねぇ、ジュールは人を斬ったことはある?」


ジュールは私を一瞥すると頷く。


「騎士として務めを果たす上で

避けられないことだからな」


「そうだよね.....

私も一度人を斬ったことがある。」


ジュールは目を見開いて私を見る。

私は困ったように微笑んだ。

しかしまた視線を落とす。


「怖かったんだ..私。

人の肉を裂く感覚も

血飛沫が舞って響く断末魔も、


人の命を奪う感覚、

その人達は殺さなくて済んだけど、

私はもう味わいたくないって

思ってしまったんだ。


剣は好き、剣術は好き

だけど人を斬るのは怖い


人を傷つけたくない..


...これって騎士失格だよね」


ジュールは私を静かに見つめる。

美しい琥珀の瞳は悲哀に揺れる。


「いや、

ルイの感覚は人として当たり前の感覚だ。

人の命を奪うということは

許されないこと、

そして残酷なことだ。


だけど俺達はこの国を守るために

人を斬らなくてはいけない。

そうしなくてはさらに多くの犠牲を生んでしまうからだ。


俺も最初に人を斬ったのは海賊討伐の時だ。

彼らは愚かなことをした

だが、彼らにも家族がいる、

家族のためにものを盗み

人を傷つけたのかもしれない。


民のために人を斬る俺は

賊と何が違うのか


そんな風に悩んだこともあったが

その後に賊に苦しむ人たちに感謝されてから

俺は守りたい人のために

剣を振るおうと決めたんだ。


人を斬る愚かさを知っているルイは騎士として大切なものを持っていると俺は思う。


それで自らが押しつぶされるほど気に病んでしまうのであれば無理をする事は無いが


俺はルイのような人間が

騎士になるべきだと思うよ。


ルイは守るための剣が振れる

そういう人間だから」


守るための剣


そうか、私の気持ちは

当たり前のことで

決して忘れてはいけない事だったんだ。


私はこの世界に生まれて

何度も剣を振ってきた。


私はこれからも剣を振り続けるんだろう。

でもいつも忘れてはいけない。


私が剣を振るう意味を、

誰のために振るうのかを

何のために振るうのかを、


「ありがとう、ジュール

少しだけ、気持ちの整理がついた」


私が微笑むと

ジュールは穏やかに目を細めた。

馬車は気づけば私の家の前に到着していた。


「今日はありがとう、

ジュールのおかげで

とても楽しい休日になったよ。


また、王都で会おう」


馬車を降りて私が別れを告げると

ジュールが引き止めるように手を掴んだ。


「待ってくれ、渡したいものがある」


ジュールは縦長の上品な箱を取り出した。


「え?....ありがとう」


いつの間に買っていたんだろう。

私は蓋を開くと中には淡い紫の石に上品な装飾がついた小さなペンダントだった。


中が開くようになっていて

中を開くと緻密な絵画のような絵が

釉薬のような材質で描かれている。


「綺麗...」


「その絵はこの国の勝利の女神だ。


騎士はよくペンダントに家族や婚約者

の写し絵を入れたりしているが

そのまま付けていても縁起物だろう。


俺のセレン騎士団入団の祝いだ。

良かったら貰ってくれないか」


「こんな高価そうなもの

貰って良いのかな..」


「ルイのために買ったんだ

貰ってくれた方が俺としては嬉しい」


「ありがとう、ジュール

すごく嬉しいよ」


私はジュールのくれた

ペンダントを首に下げて微笑む。


ジュールはそれをただ

優しい瞳で見守っていた。


ジュールを見送り、

私は首に下げたペンダントを見る。

少しだけ胸が高鳴るのははじめて家族以外の男の人に貰ったプレゼントだからだろうか。


そんな事を考えながら

私は屋敷に足を踏み出した。


この後何時間もアンドレの事情聴取が待っているとはこの時の私は思いもよらなかった..。

ジュールは何かを吹っ切ったみたいですね(笑)

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