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8. 聖女探しの茶会

クリスティナの事件が終わり、

私のページとしての王宮勤め生活は

忙しなく進んだ。


リュカの母をいじめていた

公妾達は後宮を追放され、

爵位返上という厳しい処罰が下された。


クリスティナを寵愛するアデルバート国王はそれ以降爵位の高い近衛騎士に常時護衛させることになり、

そのおかげもあってか、

後宮いじめは急速に息を潜め、

クリスティナといじめを嫌悪する

他の公妾との仲が深まりつつあるという事で

後宮の人間関係も良くなっているという。


私はといえば騎士としての振る舞いや

剣術をアーサーから習いながら

たまに手合わせもしてもらっている。


最初の手合わせでは心底驚かれ、

キラキラとした目で剣術を誰に教わったのか聞いて来たがなんとか誤魔化し通した。


手合わせは何度かいいとこまで行ったが

やはり体格差もあり

未だ勝てた試しはない。


私が5人の男達を倒したことは

リュカのはからいで口止めしてもらえた。

城内であまり目立つ行動は避けたかったので

この対応はとてもありがたかった。


そんなこんなで

リュカの話し相手兼見習い騎士の生活が

だいぶ慣れた頃、私は7歳になっていた。

背丈もまた一つ成長し、

順調にゲームのルイに向かっている。


女だからこの成長もどこかで

止まってしまうだろうな..バレないと良いけど..。

私は先の未来を心配しつつ

再度気合いを入れる。


他の若いページと

一緒に訓練に参加させてもらったり、

雑用を色々とこなしたりしていると心なしか足腰も

しっかりして来た気がするし


「もうあれから2年も経ったなんて信じられないな」


午後の昼下がり、

私は紅茶を一口口につけると

リュカに言葉を投げかけた。


あれから2年も経って多少は打ち解けた

気がするが日を追うごとに

リュカは私を訝しげに

見るようになって来てひやひやする。


女だとバレたらひとたまりもないし、

やっぱりリュカと一緒にいるのは

危険過ぎるよ...。


「君は何かおかしい。

隠している事があるでしょ?」


神妙な面持ちでポツリと投げかけられた

リュカの言葉にギクリとする。


「何もないけど?」


私はにこりと微笑んでそう伝える。

本当にこの白い悪魔は鋭くてヒヤヒヤする。


一緒に家庭教師に勉強を教わる時も

私がわざと間違えるたびに

それについて言及してくるし、

アリシアに全ての身支度を任せている事に

ついても時折訝しげに聞いてくる。


まぁ適当にごまかしますよ〜っと。

いつものごとく。


「....ふーん

詳しいことは聞かないであげるけど

ルイ君は少し行動の粗が目立つ。

隠したい事があるなら

もっと慎重に行動すべきだと思うね。」


「肝に命じておきますよ

リュカ殿下」


こんな感じで問われても誤魔化せば

追求してこないのが有難いところだ。


「...少しくらい相談してくれてもいいのに」


ボソリと聞こえないくらい小さな声で呟いた言葉は

耳にまで届かなかった。


「?今何か言った?」


「いや、何でもないよ。

ところでもうすぐ

貴族の子供同士の茶会が

開かれるそうだけど君も参加する?


ご令嬢も多く参加するそうだけど

君は婚約者とかはいないの?」


「婚約者はまだいないよ、

でもせっかくだから出席しようかな。

殿下は勿論出席するんだろ?」


婚約者なんてつくれるわけもないんだけど..

お茶会か〜。

確かに生まれてこのかたご令嬢とお近づきになった

ことないんだよね。


出席しとこうかな。

もしかしたら知っている人物と

接触できるかもしれないし。


ゲームのストーリーは

作中では16歳から始まる。


神官のお告げで聖女候補の二人の乙女が

王宮に呼ばれる。

それがヒロインと悪役令嬢だ。


この世界は100年に一度

闇の魔女と光の聖女が

生まれるという伝説がある。

過去も闇の魔女を

光の聖女と5人の光の騎士が滅ぼし、

国を守ったとされており

私が生まれたのもその丁度100年後だったのだ。


18歳の時、聖女がヒロインだと判明し

自身が聖女だと信じてやまない悪役令嬢は

絶望し魔女として覚醒する。


この国は悪雲が立ち込め、

嵐が起こり、街は崩壊し

魔物が横行する。


この世界に魔法というものは存在しないけど

魔女と聖女だけは

それに値するものが使える。


そしてその後聖女が覚醒すると

私達光の騎士に選ばれた騎士に特別な力が宿り、

魔を滅ぼす事が出来るという。


聖女が騎士の誰か一人を攻略できていれば

聖女に愛された光の騎士は剣を

聖剣へと変え魔女を倒すことができる。


最後にヒロインは決めた攻略対象と結婚して

ハッピーエンドということになる。


そして私はお役目ご苦労って感じで

家から出るなりして

この男装生活からはおさらば、

女として好きに生きようという算段だ。


そういえば

ゲームでは端折られていたが

光の騎士は神官によって告げられ

言い渡された親は国王に誓いを立て、


その子供を必ず光の騎士に

育て上げなければいけない。

それがこの国の義務だという。


どうりで母が発狂するわけだ。


「あぁ、もちろん参加するよ。

王室が開く茶会だからね、


参加の意思があって良かったよ。

ルイ君は強制参加だからね。


でもこの茶会、

ただの茶会じゃなさそうだよ。」


リュカがニヤリと不敵に笑う。

その表情に首をかしげて問いかけた。


「強制参加?

どういうことだ?」


「どうやらこの茶会、

今いる光の騎士を全員呼ぶらしい。

なんでも光の聖女を見つけるとか」


「なんだそれ?

そんなのいるわけないのに」


言った後ハッとする。

やばっまた失言をしてしまった。


聖女は庶民の生まれだから

この茶会に出席するわけがない。

まぁじつは名門の公爵家の実子だと判明する

お約束展開なんだけど。


「いるわけないなんて

どうしてそう言えるの?」


リュカは鋭い眼差しで問い詰める。


わ〜...来たよまたこの空気。

ほんと私は大馬鹿ものだ..。


「いや、

聖女なんて伝説の存在じゃないかな〜って

殿下もそう思わないか?」


「事実、100年前に魔女は現れているという

書物が残っているからね

私も信じ難いけど実際神官のお告げも

こうして来ているわけだし」


私はなんとか自分の失言をカバーし、

話をそらすことに成功した。


「あっそろそろ訓練の時間だ。

リュカ殿下も行くだろ?」


「あぁ、今支度をする」


リュカも光の騎士に選ばれているため

今年から訓練に参加している。


この男、頭が天才的に良いくせに

運動神経も良いから面白くない。

ページの訓練に加わって

めきめきと成長している。


まだ少年だから力も同じくらいだけど

いずれ抜かされてしまうだろう


そう思うとやっぱり女の身体は少し不便だ。


まぁハンデがあった方が燃えると思えば

良い状況なのかも知れない

前世だってそうだったし。



「あれ..あの姿..」


支度を終えてリュカと共に訓練場に向かうと

懐かしい姿がそこにあった。


「ジュール!!」


呼びかけるとサラサラとした黒髪がふわりと

振り向き目を丸くした。


「ルイか..?

まさかこんな場所出会えるとは思ってなかった。

後でクロフォード公爵の領まで

向かおうとしていたんだ。

とにかく元気そうで何よりだ」


ジュールは今年で12歳になる。

背丈も伸びて容姿も少し大人びたようだ。


優しげに浮かべた彼の笑みも

以前より一層落ち着きを感じる。


「今はここにページとして仕えているんだ

ジュールはどうしてここに?

セレン騎士団は隣国へ遠征に行っていると聞いたけど」


「それが王宮から名指しの呼び出しがあって急遽戻って来たんだ。

今日はページの訓練を見てやって欲しいと言われて..まさかルイが参加しているとは思わなかった」


「まさかお茶会?」


「!...どうして

まさかルイも呼ばれたのか?」


「あぁ、実はそうなんだ

光の騎士と貴族の

ご令嬢を呼んで茶会を開くらしい。


私は婚約者もいないし

これを機にご令嬢達と関わるのも悪くないだろ?」


私の言葉にジュールは固まる。

私が困惑げに首をかしげると

ジュールはぶつぶつと呟いた。


「婚約者.....

そうだよな、ルイは公爵家の長男だ。

もう出来てもおかしくは無い。

なんだが胸がつまる...

俺はどうしたんだ、いったい」


ジュールの顔が蒼ざめていく。

暫くぼーっとするジュールに

私は心配になって顔を覗き込んだ。

手を掴み身を屈めさせて

額に手をやると熱は無いようだ。


「大丈夫?」


私がそういうと

ジュールは黄金の瞳を大きく見開いて

頬を真っ赤に染めた。


やっぱり熱があるんじゃないかな..


「私を置いて何やってるの、君たち」


呆れた声で追いついたリュカが

私達の間に割って入る。


その声に弾かれるように

ジュールは私から身を離した。


ジュールはじとりと見るリュカに

一度咳き込むといつも通りの無表情に戻る。


「お初にお目にかかります、

リュカ王子殿下、

私は本日の剣術の指導をさせて頂きます。

ジュール・ルナリアナです」


胸に手を当てて紳士の礼をする。

リュカはこくりと頷くと

長く息を吐いた。


「ルイ君、君って思ってた

通りの人たらしだね」


その言葉の意味が分からず

私は首を傾けた。



************************



「ルイ坊っちゃま、

今日はご令嬢と会う特別な日ですので

私も張り切ってご用意しますね」


アリシアが華奢な腕をキュッと曲げて

お茶目に意気込む。


「あぁ、頼むよ。」


私が苦笑して言うと

アリシアは寂しげに微笑んだ。


「坊っちゃまがお嬢様だったなら

もう婚約者がいても

おかしくはないのですよね」


「アリシア..」


アリシアの瞳が悲しげに揺れる。

私は服を着せるアリシアの腕をそっと触れると

眉を下げて優しく微笑む。


「私にはアリシアも、父上も母上もいる。

弟だって出来たんだ。

私は寂しくないから悲しい顔はよしてくれ」


私がそういうとアリシアは目を丸くして

自分の頬を両手で叩く。


「ダメですね私..

坊ちゃまには元気づけられてばかりで..

でも忘れないでくださいね


私はこうして坊っちゃまのお側でお世話できることが何よりの幸せですから」


アリシアの言葉は嬉しいがこのままではアリシアの

婚期も遅れてしまうのでは..と心配になる。

でも今はその優しさに甘えることにした。


騎士服から品の良い紳士の服に着替えると

時間通りに茶会の部屋へ向かう。

途中でリュカとジュールに出会ったので

3人で向かうことにする。


扉を使用人に開けてもらうと

サロンにはすでに10人ほどの

ご令嬢が集まっていた。


ガラス張りの壁からは外の薔薇園が望め、


広間のサイドに置かれたテーブルには

彩り豊かで様々な料理やスイーツが置かれ

ビュッフェ形式で好きに取れるようになっている。


「見て、殿方がいらしたわ...」


私達が入ると同時に

ご令嬢の視線がこちらへ集まる。


皆頬を赤らめて熱っぽい視線を向けている。

私は苦笑いを浮かべて

花を背負った後ろの男達を見た。


リュカとジュールは攻略対象だけあって

並ぶととても絵になる。


彼女達が浮き足立つのも分かる気がする。

私は嘆息してご令嬢の中に

目当ての人物がいないか目を配らせる。


波立つ深い藍色の髪に

ツンと吊り上がった赤い瞳の美少女と

目があった。


やっぱりいた。


オリヴィア・ブルーローゼ

ブルーローゼ候爵家の長女で


私と同じ7歳。

彼女は後に闇の魔女となる女性。

そう、この子はいわゆる悪役令嬢なのだ。


気が強くわがままで、

自分が聖女だと盲信している憐れな少女。


主人公によく接触し、

執拗に追い詰めるような行動をとる。

典型的な悪役だ。


作中では私とオリヴィアは生まれてすぐに

婚約が決まるはずだった。


しかし私が女に生まれたせいで

その婚約は破棄する結果となっただろう。


通常ルートでは18歳に

聖女ではないと明かされ、畳み掛けるような

ルイとの婚約破棄を言い渡される。


作中ではオリヴィアは

ルイに熱烈な思いを寄せていた。


オリヴィアの魔女覚醒の一端を握ったのも

この婚約破棄だろう。


魔女覚醒を事前に止めるには

彼女を絶望させないのが一番だろうけど。


さてどうするか、


両親の愛情も受けず

一途に愛した婚約者にも婚約破棄され

魔女になって倒されるという


ゲーム上でとても可哀想な境遇なので

出来れば彼女に救いがあれば良いけど..


しかし、私に惚れることが物語を進行させてしまう

キーなので私と彼女の接触自体お互いにとって

あまり良いことでもない気がする。


ここは極力関わらないでおく?


だけど、もしかしたら

新たに婚約者が出来ている可能性もある。


それが私の代わりであれば

ストーリーはそのまま続くだろう。


彼女の歪んだ性格から

この場合も破棄されかねない。


それに婚約破棄がなくとも

自身が聖女でないと明かされた時

彼女は絶望してしまうかもしれない。


やっぱり今の状況は把握しておきたいよね..

私はご令嬢達のところまで歩き出した。


「ルイ様よ..」

「まぁ、なんて神々しいお姿」

「とてもお強い方だとお聞きしましたわ」


私が向かうとひそひそと

女の子達の話が聞こえてくる。


どうやら黄色い声は

私にも向けられていたようだ。


これはいわゆるご令嬢達の婚活なんだ

私は誰とも婚約できない分、

私に時間をとらせるのは忍びないし..


私は真っ先にオリヴィア達の方へ向かう。

オリヴィアを含め3人の女の子の

前に立って挨拶をする。


「初めまして、私はルイ・クロフォード、

気軽にルイと呼んでくれ。


今日はご令嬢達と話せることを

楽しみにしていた。


このような場は初めてなので

少し緊張するけど、

仲良くしてくれると嬉しい。


どうぞよろしく」


私は背筋を伸ばしにこっと笑顔を向けると

きゃ〜と感嘆の声が上がる。


悪い気はしないが、アイドルになったような

気分になって少し恥ずかしい。


不意にオリヴィアの方を見ると目を丸くしている。


「まさか...」


ポツリと吐き出された低い声色の

オリヴィアに視線を寄せる。


「何か?」


私が聞くとオリヴィアはハッと

取り繕うように笑みを浮かべた。


「いえ、ルイ様の印象が

知人によく似ていらしたので

少し驚いただけですわ」


「それはいい意味だと受け取っておくね」


オリヴィアは眉を下げて「はい」と微笑む。


「ルイ様は剣術がとても達者だとお聞きしましたわ、ぜひ機会があればその勇姿を見せて頂きたいものね」


オリヴィアの隣にいたピンク髪の少女が

上目遣いで聞いてくる。


「私の実力などまだまだだ、

未だに近衛騎士のアーサー先輩に一度も勝てた

試しはないし、もっと訓練を積まなくては」


私が眉を下げて微笑むと

オリヴィアの表情は硬くなる。


さっきからどうしたんだろう。

様子がおかしいし

今のオリヴィアから受ける印象はプライドが高く

横柄な印象とは少し違う気がする。


「ルイ様は光の騎士であらせられますが

城下で最近噂の魔女狩りをご存知かしら」


もう一人の茶髪の少女が声を潜めて話しかけてきた。


魔女狩り、その言葉に動揺して

勢いよく少女を見る。


オリヴィアの顔をちらり見ると

眉をしかめて蒼ざめている。


その反応...

オリヴィアは自分の正体を知っているの?


「魔女狩りについて

詳しく教えてもらえないか?」


私は視線を戻し、

茶髪の少女に問いかける。


「えぇ、私も詳しくは知らないのですが

スレイグで魔女の噂が出て、

怪しい人物が処刑されたらしいですわ

その噂が城下で密かに出回っているみたいですの」


スレイグといえば

レインコード家の領地じゃなかった?

あの家は複数の領地を抱えているが

その一つにスレイグという

場所があった気がする。


魔女狩りがあったとすれば大変なことだ。

だって本当の魔女は目の前にいるし。


それにゲーム内では

魔女狩りなど起こらなかったよね..


「詳しい話を聞かせてくれないか」


後ろから声がして振り向くと

燃えるような赤い髪に

澄んだ青緑の瞳をした少年が立っていた。

少年は振り向いてリュカの方へ向き直る。


「遅れて申し訳ありません、


リュカ王子殿下、

お初にお目にかかります


アルト・レインコードと申します。

父であるアーサー・レインコード

の息子です


集まられてる皆様も遅れましたが

よろしくお願いします」


アルト・レインコード


4人目の光の騎士

アーサーとは毎日顔見知りだが

顔立ちはアーサーによく似ている。

赤髪をハーフアップにくくっていて

つり目が気の強そうな印象を醸している。


一つ年下の6歳で、

アーサーからは来年からページとして王宮に

学びに来るという聞いている。


攻略キャラとしては、

性格はいわゆるツンデレ破壊魔。


とにかく好き嫌いのはっきりしている性格で

気に入らないものには容赦しない。


ヤンキーみたいなもので

根は悪い子じゃないからマシな方かな。


女でありながら領地を守る姉を

尊敬している。


父の功績で与えられた領地で贅沢三昧する

叔父を嫌悪しており、


彼が14歳の時、彼と父の遠征中に

叔父が姉をふた回りも年上の伯爵貴族と

結婚させ大金を得たことで憤慨し、

暴力で叔父を脅し諌めた。


その結果それ以降は気に入らないことがあれば

手が出るようになってしまう。

騎士として武器を持つと

それは更に手に負えなくなる。


バッドエンドはアルトは数々の暴力で物を壊したり

貴族を脅したとして腕を斬られるという

厳しい処罰が下される。


ルイより死なない分マシだとはいえ、

一二を争う不快なエンドだったのを

覚えている。


「スレイグで魔女狩りがあったと

いう話は本当か?

スレイグは俺の家の領の一つだがそんな話

聞いたことないぞ」


「え、えぇ、あくまで噂ですから。

スレイグを治める家の方が言うなら

誤情報かもしれませんわ」


茶髪の少女は威圧に負けて

一歩後退する。


「ひとまずこのことは

アーサー先輩に話しておくよ。


魔女が現れたなら気象が悪くなったりや

魔物が横行したりするらしいし、

もし処刑された人がいるなら

その人は無実だ。


魔女の名を悪用している可能性も

あるからな」


私の言葉にアルトは眉を寄せる。


「アーサー先輩とはなんだ?」


「君の父上がそう言えと言ったんだ」


茶化して笑うとアルトは

呆れ顔で目を逸らした。


「オリヴィア嬢も何かあったら直ぐに私に言ってくれ、必ず力になる」


オリヴィアの方を向くとオリヴィアは目を丸くした。


「皆もよろしく頼む」


そう付け足すと

令嬢の何人かは悔しげにオリヴィアを見た。


恐らく状況を知らない人は

私がオリヴィアを気に入っているという

印象を与えただろうけど


多分本人がその意味を理解しているようだから

大丈夫だろう。


オリヴィアが自身が魔女だと把握しているようにも

感じたし、様子も少しおかしかった。


魔女狩りの噂も気になるし、

ただの噂であれば良いんだけど。


お茶会はその後和やかに幕を閉じたが

私の胸騒ぎは強くなるばかりだった。

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