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第三十二話 「初の仕事」

「ひぃっ!……あれ?」

「あれ?ラルダちゃん何処行ってたの?」

「ウェインさん…。あっ、夢か、良かったぁ…」


 私は今まで眠って居たようだ。いや本当に悪い夢だった。なにせ神様がいきなり私に脱げって…。


『あながち間違っては無いよ?実際に20年ぐらい溜まっている訳だしさ』

「…っっっ」

「あ、あれ?ラルダちゃんの血の気が凄い勢いで引いていく…」

「助けてウェインさん…!私、変な神に取り憑かれたの!」


 私はウェインさんの腕をガッとつかんで訴えた。そしたらなんか間の抜けた顔になった。当然だ、彼女には神の事なんか見えてないし聞こえてないんだし。


『ふぅ、君が抜けたせいでやる事が無くなったじゃないか。そういう事は辞めてくれよ』

「変な神…?それって降臨者になったからじゃない?」

「うわぁあああああ…!降臨者になんかならなきゃ良かったよぉぉぉ…!」


 頭を抱えて蹲って、嘆いて見てもあの声が抜けない…。軽くトラウマである。あぁ、頭が痛くなってきた。辛い…眠りたい…。眠れば聞こえなく無くなるかな?


『君が眠ったらまた僕が呼ぶけどさ、それでも良いのかい?』

「うっ…ひぐぅ…。あんな奴に裸なんて見せたくないよぉ…犯罪だよぉ…捕まえてよぉ……」

『はっはっは。こちらの世界ではそういう物は犯罪じゃないんだよぉ!』

「嫌だ嫌だ…!もう私寝ない!寝なきゃあいつに会わないもん!絶対寝ない私!」

「なんか色々おかしなこと言ってる…。龍帝殿、なんか分かりませんか?」

「精神汚染の類だろう。それのせいであんな事になってるんだ。魔神王殿に任せれば治してくれるだろう」


 おじ様とウェインさんは悠長に話している。助けてほしい。ウェルトでも治せるかな…治るよね…。治って!私のこの脳内に直接語りかけてくる変態ロリコン糞邪神を浄化して!


『寝ないのは困るなあ、いや、オカズに出来ないのが困るんじゃなくて、君の心身的な意味と精神的な意味で困るんだよね』

「(えっ…?自分の欲望じゃなくて私の問題?)」

『いやいや!僕だって自分の欲望より優先する事あるんだよ!?例えばほら、「救世」の仕事とかさ。…あっ、なら一つ君に仕事を与えよう』

「(仕事…)」

『そう、仕事さ。そうだねえ、僕は君に5つの魔力を与えたが、君の魔力総量は低過ぎる。きっと「障壁(バリア)」一つ張って終わりだろうね。君が「流星」や「雷槍」を使っても倒れないのが不思議なくらいだ』

「(んー…。好き勝手言っちゃってさ…)」

『まぁまぁ。その小さな魔力総量を解放させれば君は魔力切れに恐れる事はなくなるんだからさ。そんな顔しない。おっ、ハッとしたね。よしよし、じゃあその仕事の内容だが。一人の人物に会いに行け。その人物に会いに行けば、君はきっとその矮小な魔力を偉大なる物に変える事が出来るだろう』

「(え…?その人物って?)」

月神(つきがみ)レイドウ・ニクス・ヴェルテニシア。『廃れた魔術王』としても有名な男だけど、やっぱり魔術王なだけあって魔力に関する知識は凄い。十分に会うに値すると思うよ?それと、彼に会うときは絶対に夜じゃないとダメだからね?』

「(夜か…。ていうかすごい真面目になるんだね)」

『そりゃね。まあ話を戻すけど、彼自身、夜にしか姿を現さないんだよ。それに場所的にも夜が一番安全だ。夜行性の魔物が居ない場所だからね』


 夜行性の魔物がいない場所?私は魔物自体大して見た事ないんだけど、そんな場所もあるんだなあ。


「(で、場所はどこなの?)」

『そうだな。君の居るロンゴヴィギナから南東にある霊峰の麓だ。メニシダの滝って言うのが麓にあるからそれを目指すと良い。きっと彼の根城がそこから見えるはずさ。あ、あと、行くとしたら剣聖を連れて行くように』

「(え?なんで?)」

『彼女が居ると有利になるからさ』

「(なんかよく分からないけど、分かったよ)」


 そこで会話が終わったので私は立ち上がった。そしてツカツカと剣聖に近付く。すると、剣聖が気付いた。


「どうしましたか?『救世』」

「ちょっと仕事が出来たの。私と一緒に来てくれない?」

「別に私は構いませんよ」

「ラルダ!?仕事って一体…」

「おじ様、大丈夫。ちょっと人に会ってくるだけだから」

「人に会うって…。僕達も行った方が良いんじゃないか?」

「ううん。気持ちは嬉しいけど。大勢で来られるとその人も困るし。私と剣聖だけで良いよ」


 そう言って私は愛想を振りまいた。そして、剣聖の手を引いて、


「それじゃ行ってくる!すぐ戻ってくるから!」

「わっ、ちょちょ!引っ張らないでくださ…あああああああ!」


 思いっきり南東方面に走った。何も考えず、何も準備せずにである。まさに阿保とはこの事を言うのだと思うよ、自分でも。


 わたしたちが去った後、全員はこう思ったという。


「「「「「「(色々忙しい人(子)だなぁ)」」」」」」


 私の行動が場を和ませたようだ。結果オーライ、なのか?

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