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第二十一話 「氷上の覇者 後」

「それで?私の勝ちって事で良いのかな?」


 私は今、氷の剣を突き立てられていた。ウェインさんは勝ち誇った顔でそう告げてきていた。正直、これで負けても良いのだけれどこの顔がうざったいので、まだ足掻くとしよう。


「いえ、まだ私の負けでは……ありません」

「へえ?飛び道具もこれだけ近距離じゃ使えないのによく負けを認めずに居るね」

「えぇまぁ……はぁ…げほっ、それなりに……はぁ…はぁ…足掻きますよ…」

「んっ!?」

「「閃雷」…」


 手に魔力を込め、鳩尾にぶつける。バチィっ!という大きな音が響き、ウェインさんが「障壁」の方へ吹っ飛ぶ。そして勢いよくぶつかる。よし、遠ざかった。魔力総量的にこれで最後だな。本当はもっと増やしたいが、しょうがない。もう少し、残しておこう。


「「流星」」

「いっつつつ…って!」


 流星で分裂した電矢5。それを両足、両腕、頭上に飛ばす。絶対零度を使えば、自分の動きにくさを倍増させるだけ、逃げる事は不可能。狙った所に刺さる。


「あっ、ぐぅ!」

「逆転です、ウェインさん!」


 私は左眼を眼帯で隠し、右眼は魔力眼を開眼する。私は矢筒から普通の矢を取り出す。そして、構える。生前何千、何万と繰り返した構えだ。精練され、日本の十六番目にならせてくれた構え。矢を引く。ここは違う。今まで以上にしっかりと引く。弓がミシッ、ミシッという音をあげながらも耐えてくれている。行ける。狙いは必中、速度は5倍。そこまで揃うならやる事は一つ。


「穿てええええええええぁああああああああっ!」


 バシュゥンっと音を立て、空気を切り裂き、まっすぐ進んでいった。放った衝撃で弓が玉砕し、足の氷も氷だけ砕け散った。狙った先はウェインさんの頭、ではなくウェインさんの少し上の魔力壁を狙った。矢は真っ直ぐにそこへ飛んでいき、着弾したと思った瞬間、魔力壁が砕け散った。


「えっ…障壁を破壊した?」

「はぁっ…はぁっ…うっ…」


 私はそこで力尽き、倒れる。何故私がウェインさんの頭ではなく、魔力障壁を狙ったのか。それは非常に単純で、人思いで優しいウェインさんの事だからきっと即死しかねない「絶対零度」を止めると思ったからだ。


「おうウェイン、続きは?」

「クレイ、戦いは終わりだよ」

「あ?お前の勝ちって事か?」

「ラルダの勝ちね。正直、あの豪矢を見た時、負けを確信したの。今期最大の矢を放った瞬間力尽きるとか浪漫じゃない?」

「んー、まあそうだな」


 私は倒れていたが、勝利したらしい。良かった、渾身の一矢を放って。弓は壊れちゃったけど、勝てたならそれでいい。そんな事を思いながら、ひとつため息を付いてると、おじ様とサテラがやってきた。


「やあラルダ。渾身の一矢を放って、気分は良くなったかい?」

「おじ様…。弓壊しちゃった…ごめん…なさいぃ

 …」

「良いんだよ。君の父親もよく壊してたし、また作ればいい。しかし、ウェインの「氷結(アイシクル)」を破るなんて凄いな」


 おじ様に抱き抱えられる。そしておじ様に褒められた。やっぱり褒められるのは嬉しい。私は褒められたいが為に生前、ずっと弓に励んできたのだ。


「えへへ、ありがとう…」

「先輩あの時は凄かったけど、魔力総量は意外と少ないんですね」

「うん…魔力行使は慣れてなくてね…」


 サテラにまで魔力総量が少ないって言われた。クレイさんからは練習に励めば自然と増えると聞いたけど、少し増えただけでそれから変化はない。転生者だからだろうか?


 その後、ウェインさんと握手を交わし、それで解散となった。正直、眠っていたので知らなかったのだが、サテラ曰く、その後ご飯を食べたのだそうだ。いや、私を差し置いてそれはないでしょうよ!?いやぁ酷いなぁ。この事は一生言ってやろうとつくづく思うのだった。


 _____________


 2ヶ月の月日が経ち、その山の麓に二人の人物が現れた。一人は白い髪の二本の片刃剣を持った男性、もう一人は白い髪を腰辺りまで伸ばし、軍服のような服を着た女性だった。男性が大地を見て呟いた。


「魔力の残滓を確認…。一つは「雷帝」、加え「障壁」と「氷結」だ」

「どうするんですか?「因果応報」で持ち主を殺すのもありですよ?貴方のようなお方なら、それぐらい容易いと思いますが」

「ふっ、俺も()()()()に来た時はそう思っていたが、どうやら姿が若返るだけでなく、剣の腕もその時のになるようでな、前に仕留められなかったのだ」

「私は今まで通り「千刃飛翔」を使う事が出来るのに貴方はどうして出来ないんでしょうね?」

「転移者と降臨者、根本から違うって訳だ。という訳で今からこの近くにある街か何かに潜む戦意を潰す。行くぞ【剣聖】」

「分かりました」


 そんな会話をして、二人はそのまま歩き出した。そこからだった。



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