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ギルド

ユキが大男数人を土下座させている状況です。

私はどうしたらいい?

友人としてどう行動を起こせばいい?


「はわぁ………。」


思わず気の抜けるような声が漏れる。

結依と歩がぎょっとした表情でこちらを見るがそれどころではない。そもそも私がなにかやらかすのでは、と心配して来てくれたのに何我先にと騒ぎ起こしてるの。

「流石私の友人!類友ね☆」で済む問題?済む問題ならいいなぁ

恐らく、外見が少女1人だっただけに、ヴァロスが言っていた通り荒くれ者に絡まれたんだろう。


「…!」


あ、ユキがこちらに気づいた。

スタスタとこちらへ歩いて来て、シュバルとヴァロスが前に立ちふさがる。

シュバルって、普段チャラいけれど今は結構キリッとしている。こうゆうのをギャップと言うのかな…と少し現実逃避した。

ユキはこちらに来て一言、「そこの、3人と話がしたい。」と言い放った。


「何故だ。」

「…仲間が居てくれると、助かる。何もしないから、大丈夫。」


普段面と向かって話す友人だからかしら、なんだかそわそわしちゃうわね、これ。

ユキが仲間が居てくれると、なんて思っていないと思うが…ユキのことを知らない者から見ればか弱そうな少女1人な為、力があっても絡まれる機会は多いだろうと容易に推測できる。

シュバルとヴァロスは同時に頷き合うと私たちの前から退く。


「単刀直入に言う。私はパーティメンバー募集中。だから私を仲間にして。」


本当単刀直入ね!?と言うわけにはいかないので心の声でツッコミを入れる。最初は雰囲気だけにして私から声を掛けるつもりだったのに、私同様に予定が狂ったなと実感しているのだろう。

勿論こんな惨状を生み出す謎の少女からそんな事言われても普通戸惑いしかうまれない。現に歩と結依が困惑している。


「えっと、えっ?なんで?」

「仲間が欲しいから。」

「俺たち以外にも、強いひとは居るだろう。」

「…私を恐れるような人と簡単に仲間にはなれない。」


チラッとユキが周囲に目を向けると「ヒィッ」と悲鳴が上がる。

一体何をしたのかは気になるし、そろそろ私も助太刀をしよう。


「私たちはこれから旅をして行くことになるけれど、それでもいい?」

「大丈夫。」

「そう。この惨状は一体?」

「…絡まれて、殴られそうになったからイラッとして、絡んできた男共を氷漬けにしたらこうなった。…騒ぎを起こすつもりは無かった。」


私に言い訳をする様に説明する。ユキも私に心配と言ったのにやらかしてしまったと反省しているようで、シュンとしている。

そんな姿が同情をひいたのかは分からないが、結依が落ち着きを多少取り戻しユキに話しかける。


「じゃあ、悪い人じゃないん、だよね?」

「神と姉さんに誓って、悪党ではない。」


私と姉に誓われても…。

けれど実際いい子なのは確かだ。暗殺者をやるような物騒な子だけどいつも依頼も人も選んでいる。

ユキは実を言うと姉さん大好きのシスコンでもあるから、信ぴょう性もある。私以外には無いかもしれないけど。


「なら、心強い仲間になるよね。ねえ歩」

「ああ、戦力は必要不可欠だからな。とはいえ、流石に暫くは誰かもわからんから様子見だけどな。」

「お言葉ですが、危険過ぎるのでは?どこの者かも分からないのを仲間になど…!」


ヴァロスが私たちにそう告げるが、もう決まった事の雰囲気だ。

シュバルも心配げにしているが、私しか今はまだ知らないがユキなら大丈夫だ。


「…ありがとう、なら早速登録したらいい。こっち。」


緊張した顔のままの受付嬢の前に連れてこられたけれど、本当に大丈夫だろうか。


「えっと、登録したいんだけど大丈夫?」

「はい!だ、大丈夫です!こちらの用紙にご自分の身の上をお書き下さい…!」


全然大丈夫では無さそうだけれど、用紙を確認する。

名前、性別、年齢、書けるなら誕生日や職業もらしい。

誕生日は…いつなのかわからないし、いつの間にか存在していたから、いつ生まれたのかすら朧気でよく分からない。

職業に勇者なんて書けるはずもないからそれも書けない。私は「ナユ」「女」「18才」とだけ記入し、提出する。2人は誕生日も記入して提出したようだ。

流石プロというか、仕事だからか、必要事項だけ書いているうちに受付嬢も開き直ったかのように落ち着いた。


「ナユ様とユイ様、アユム様ですね。…それでは、こちらのカードに血を垂らすか、魔力を流してください。」

「分かったわ。」


血か魔力という選択があるのは、魔力を一切持っていないかもしくは出せない体質の者が稀にいるからだ。血液も、魔力も個々によってそれぞれで完全に同一な事は分身か奇跡でも起きない限り無い為、このカードは持ち主にしか扱えなくなるのだろう。

痛いのは嫌だったのか、結依と歩もカードに魔力を流した。


「それでは、カードを一旦お預かりします、少々お待ちください。」


受付嬢は裏へ行き、暫くすると出てきた。

カードを作成し終わったようだ。


「こちらがカードになります。再発行には銀貨1枚を頂きますので、呉々も無くさないようお願い申し上げます。ギルドランクの説明は必要でしょうか?」

「ええ、お願い。」

「はい。まず、カードにはミスリルランク、ゴールドランク、シルバーランク、ブロンズランクがあります。

ギルドランクはS、AB、CD、EFと皆さんFランク始まり、そこから実力を積むにつれて昇格していきます。

しかし、ミスリルランクであるSランクは世界に1人か2人いるかどうかという超人の称号である為に現実的ではないので、なれるものはほぼ居ません。

これで以上ですが、ご質問はありますか?」

「そうね、ランク事の平均的な実力ってどのくらいなの?それと、実力で昇格と言ったけれどそれはどうやって判断するのかしら。」


完全に実力で、という話なら男共を返り討ちにしたユキは既にFランクでは無いだろう。

それに、ランク事の平均的な実力も分かっていないと私の手加減の度合いが変わってきたり、騒動が起こる。それは面倒なので極力避けたい。

でもまぁ、勇者だから平均より少し強い位でいいでしょう。


「平均ですか。Fランクは魔物とろくに戦うことも出来ない子供みたいなものです。

Eランクは魔物と戦うことは出来ても、弱い魔物のみであり、対人戦闘に期待は全く持てません。

Dランクからは規模の小さい盗賊なら倒せるでしょうし、オークとでも良い戦いが出来るでしょう。

Cランクでは、護衛任務を受けることが可能となり、街道を通っていれば倒せない敵は、運が悪くなければ出会う事は無いでしょう。

Bランクからはギルドでも重宝されるべき強者です。ブラックパンサーやロック鳥が倒せる程の実力ですね。

Aランクは、私どもからすればSランク程ではないにしろ既に人外レベルです。グリフォンとかレッサードラゴンとかが倒せると思います。これもSランクの人程では無いですが、変人が多いらしいです。

下手な貴族よりも偉いので出会った場合は気をつけてくださいね。」


なるほど、かなりわかりやすい説明だ。

そうなると…大体ユキは先程の行動で最低でもDかCランクの実力を持っていることが証明されたということだ。


まぁ、2人も勇者に選ばれたのだしすぐに強くなってBランクくらいなれるわよね。魔法を使えば上空の敵…例えばロック鳥だってスパッと殺せるもの。歩は少し厳しいと思うけれど、足に魔力を込めて思いっきりジャンプしてたたっ切れば充分殺せる。

いけるいける。


「そして、ランクの昇格ですね。このギルドカードは魔道具となっていまして、倒した魔物とその数が自動的に記録されます。我々受付がそれを拝見させて頂き、昇格するかどうかを決めさせて頂きます。また、一定数のご自分より上のランクを依頼達成することでもランクが昇格されていきます。

最初は皆様Fランクですが、実力があればあるほどより早く上のランクへと昇格することが出来ます。

しかし、Cランクになる際にはギルドで試験を受けてもらう必要がありますのでご了承ください。」


Cランクからは護衛任務があるからだろう。

人付き合いが極端に悪い者や、心根がねじ曲がった冒険者も時にはいる。そんな者には護衛任務はとても任せられないし、ギルドの信用に関わってくる。確かに、必要不可欠な試験だ。


兎も角、これで登録は完了。せっかくだし後日依頼を受けてみたいな。

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