華と花
第8章になります
よろしくお願いします
今回は前と少し違った感じです
時に人は 思考よりも早く体が動くことがあるものだ その時は大抵 正解で
正確だ
地面に槍を突き刺し 怪物の 左足に
思い切り蹴りを入れた
1 水遊びと帰路
バシャバシャと 歩くたびに音がなる
川で休憩中だ というより 川遊び中だ
河原の石を拾って
水切りをする
川遊びと言っても現代とあんまり変わらないらしい
翔の石が20回以上跳ねた
うめぇー
「でしょ」と言って笑ってきた
声に出てたらしい
弥生は 成功すると 二桁は行くのだが
それ以外は跳ねもしないか
滑って 転ぶかだ
下が水だからいいものの…
「大丈夫なのか あれ?」
と翔に聞いてみる
そう言ってる間にも
ドバーンと音がした
「ああ 見えても狩とかの時は別人なんだよ」
と 返ってきた
そうなのか と半信半疑で 返す
俺も水切りをやってみる
一桁だった
そろそろ行こうかと言ったのは
翔だった
確かにそろそろ行ったほうがいいかもしれないな 日も落ちそうだ
「おーい そろそろ行くぞー」
と声をかけてもなかなか 帰ってこない
「おーい 弥生ー」
まただ
水切りに 自棄になっていた
弥生の足をすくい上げたら
盛大な 水しぶきとともに
弥生が転んだ
「どうしたの 槍?」
え? その反応?
薄すぎやしませんか
よく見たら顔が赤かったので
照れ隠しかなんかで
この反応になってしまったらしい
とりあえず 準備をさせ 洞窟に向かった
着いたのは日が沈む少し前だった
中継地点である 洞窟に 荷物を降ろし
まだ服が乾ききれてないので
外に行く
そうすると自然と伸びをしてしまう
伸ばして目を開けると
空がオレンジ色だった
地面が緑色だった
向こうに山と木が見えた
川の音が聞こえてきた
動物の鳴き声が聞こえてきた
自然の香りが漂っている
都会では 現代の日本では
絶対に見れない景色だ
この時代にきてから2ヶ月近く経とうとしてる のに今更
って感じが強いけど そう感じる物なのだ
ある程度乾いたら中に入る
鍋やらはもちろん持っていないので
袋に入っている肉だ
それを食べる
そして 寝る
ここでの生活は
単純だ ゲームもなければ ネットもない
もちろん電気もない
それでも景色と風のにおいと
済んだ空気 これを 感じるだけでも
あっという間に時は過ぎて行く
それまでに圧巻なのだ
故にいつも綺麗な夢を見る
景色であり 弥生や翔であり何であれ
楽しい夢を見る
今日も変わらず楽しい夢を見た
珍しく早く起きた
身体を起こして周りを見ると
翔 は起きてて弥生が寝てる
「おはよう 今日は早いね」
と翔が笑って言っている
「おはよう」挨拶は基本だ
起きたついでに
弥生も起こす
綺麗な寝息を立てている
幸せそうに寝ているので
一瞬起こすのにためらったが
日が昇りかけてるので
起こす
肩に手を触れ…柔らかい
少しゆすり声をかける
起きたみたいだ
「おはよう 弥生」
「おはよう」
あ、早起きについて特に何も言わないのね
すぐに準備して
中継地点の洞窟を後にした
特に変わったことなく
家に着いた
2 華と花の香りと危険
家に着いた時
半分分けてもらった
そして 案の定というかなんというか
次の日の夜ごはんを任された
今は昼なのだが
翔は疲れて眠いらしい
だから 次の日の夜らしい
なぜ夜なのかは知らん
翔と別れて しばらく休んだ後
弥生が外に行こうと言い出した
「いいけど どうした?」
と聞いて見る
「暇つぶしに付き合って」
だそうだ
弥生と2人で歩き
花がそこそこ多い ところまで来た
ここもなぜか見覚えがある
この時代ではなく 現代でだ
不思議だ
「槍 これ持ってて」
と 槍とを渡された
護身用だ
すると 弥生はしゃがんで 花を積み
編み物を始めた
ほうほう なるほど可愛いじゃねーか
まるで子供のようだ
常日頃そうなんだけども
「弥生 編み物好きなのか?」
と聞いて見る
「花で 編むものなら」
だそうだ
花が本当に好きなんだなーとか
思い
周りを見ていたら
「槍 見て かんむり」
と言って 実際に被って見せて来た
何これ可愛い 撫でていいのかな
と すんでのところで 手を止める
危なかった
「よく出来てるでしょ 傑作」
と言っているので よく見て見る
確かに凄い出来だ
冠を地面に慎重に置いて
他の作品に移り始めた
凄い 真剣だなるべく
話しかけないよう にした
地面に 石が落ちてるのに気付いたので試しに投げて見る
カン と木に当たり 軽快な音を鳴らす
よく小さい頃にやっていたなと懐かしんでいたら
森の中から
大きい気配 と言うか
大きい殺気が
出て来た
やべぇ まじやべぇ
凄いスピードで走ってくる
熊だ かなりの大型だ
どうもさっきので怒らせてしまったらしい
「弥生!走るぞ 逃げろ!」
と言い
手を引き 走り出す
「槍 待って」
と言って
弥生も 後ろに気付いたようで
走り出す
だが 体制が悪かった
足が痺れていたようで
弥生が 転んでしまった
そうしてる間にも
巨大熊は 迫ってくる
てか 目の前だ
時に人は 思考よりも早く体が動くことがある
そう言う時は だいたいが正解で
そして正確だ
巨大熊が 弥生へ
手を伸ばす だがそんな柔らかいものじゃない 言い換えるならば
パンチとビンタの狭間だ
すかさず 槍を持ち弥生を後方へ投げ
目にその槍を突き立てる
そしてねじり引き抜く
熊の手が止まった
その隙を見逃さず
巨大熊の 右足の少し前に
槍を深く突き刺さし
熊の左足を 思い切り蹴り
その反動で
弥生と 花の冠をかかえ
走り出した
すると後方で
ほぼ破壊音のような 音がした
作戦成功 転んだようだ
作戦と言うのは
左足に 思い切り蹴りを入れて
よろけさせた後
次に出る 右足にちょうど引っかかるように 槍を深く突き刺したからだ
なかなかに気持ちいい
弥生は俺の肩に手を回しギュッと、してくる
この件に関しては
俺が悪い 心の中で謝り
今は走ることに集中した
家に着いた 流石に巻けただろう
その途端 弥生が真正面に立ち
顔を赤くさせ
「ありがとう」
と だけ言った
謝ろうと思ったけど
ありがとう の後だと
場違いな気がする
そっと頭を撫で
「忘れ物」
と言って 花の冠を弥生の頭にそっと乗せた
すると弥生から 一筋涙がこぼれた
ありがとう ありがとう
と言って 俺の胸に顔を当てる
そっと 頭を撫で
背中に手を回した
しばらくこのままにしてやろう
と偉ぶりながら
頭の中には
離れないでくれ
とごめんなさい
しか 無かった
その後寝る時に
弥生がそっと 布団に入って来て
体を寄せて来たのは
生まれて19年で
最高の華だったのは言うまでもない
いかがでしたでしょうか
次の章も近いうちに出そうと思います
よろしくお願いします!
次は料理からだと思います笑笑