Beginning~リ・スタート~
目が覚めるとそこは真っ白な天井が広がっていた
「・・・・」
黒条隼人という青年はぼんやりとした意識の中で自分がさっきまで眠っていたことに気付く、つまり、先ほどの光景は
「夢だったのか・・・」
「・・・久々に見たな、あの時の事」
現在、隼人の体はびっしょりと汗をかいてあった。その汗が次第に乾いていくと同時に体温が下がっていく感覚が襲い嫌な寒気が生じる。
このままでは風邪をひいてしまうと思い隼人は寝起きの重たい体を起こして型ぐるしい白色の囚人用みたいなベットから飛び出し、クローゼットへと向かう。
「相変わらずここは地味だな」
隼人が今いる部屋はいたってシンプルな構造をしており、ベットが一つ、クローゼットが一つ、小さな机が一つあるだけで部屋の色彩も白色の壁だけという単調的な感じだった。
クローゼットから隼人はいつもの黒をベースとしたまるで制服を思わせるような服を取り出し即座に着替える。彼らの基本的な服装は大体これである。
「もうこんな時間か」
気づけば時計の針は朝の8時を指そうとしていた。
隼人は部屋のドアノブを回し部屋の外に出る、そこに広がるのは円形状の大きなリビングだった。するとリビングから香ばしるコショウのにおいと朝の朝食の支度をしている女の子がいた。
「あっ、隊長起きたんですね。おはようございます」
彼女も隼人がリビングに入ってきたのに気づいたのか急いで朝食の準備を終わらせようと手に持っているヘラを動かす。
「おはよう可憐、今日も朝食作ってくれてありがとうな」
「いえいえ、これもみんなのためですからね(本当は隊長だけに作りたいけど・・・)」
彼女の名は桜井可憐、茶髪のポニーテールが特徴的な女の子だ。
「もうすぐ朝食の準備ができるので少々待ってくださいね」
「あぁ、それより可憐。お前に一つ質問がある」
「ん、なんですか?」
「な・ん・で・お前は水着で朝食を作っているんだ」
目の前に見えるのは可憐が水着で朝食を作っていたのだった。
「え~隊長はうれしくないんですか~、女の子が朝に水着で朝食を作っているんですよ」
「うれしい、うれしくないの問題じゃねえよ、いいから早く服を着ろ」
「いやです、せっかく隊長に見せつけるために用意したんですよ。もっと見てくださいよ、ほらっ」
「おい、寄ってくんな目の行き場に困るだろうが」
「どこです、どこですか?」
「どこって・・・」
正直に言って水着姿の女の子に拳一つ分の幅まで近づいてきているという状況に無心でいるというほど隼人の心は、目をそらしてはいるが視界の端に映る可憐の強調された胸(平均より大きめ)が気にならないわけではない。このままでは可憐のペースに乗せられてしまう。そう思った隼人は
げんこつを一回、可憐の頭にぶつけた。
「いったあああああああああああああああああ」
「隊長を茶化すな、わかったか」
「うううう~ひどいです~」
少し涙目になっている可憐だが自業自得である。
「まったく朝からうるさいよ、もう少し静かにしてくれない、僕の睡眠が十分にできないじゃないか」
ぼそぼそ声で部屋に入ってきたのは目の下にくまがついているぼさぼさ黒髪の少年だった。
彼の名は雲川俊。隼人の幼馴染である。
「すまん、俊、起こして悪かった」
「いいよ、別にどうせまた可憐がやらかしたんだろ」
「やらかしたとはなんだこの根暗野郎」
「朝からうるさいんだよビッチが」
「おし、表出やがれこの根暗、ぶったおしてやる」
「まあまあ二人とも喧嘩はやめようぜ、ほら可憐、なんか焦げ臭いにおいがしてきたしさ・・・」
「ぎゃあああああ、私の自慢の料理がああああああ」
結果、料理はほとんど焦げの味しかしなかった。
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とりあえず黒焦げの朝食をたいらげた3人はあと片付けに入っていた。
おかしいところを一つ上げるなら、一緒に皿洗いをしている可憐が以前服装は水着のままであることだろうか、さっきの忠告をガン無視である。
「かーれーんー。いつまで水着でいるつもりだ」
「まあまあ心配しないで下さいよ隊長、明日は裸エプロンを_」
そう言おうとしたところでバンッとシンクをたたく音が鳴る、おそるおそる可憐は隼人のほうを見ると、とても穏やかな顔でニッコリしている隼人の顔があった。
「か~れ~ん~」
「ひいぃ、怖いです、怖いですよ隊長。なんかおぞましいオーラがでてるし、わかりました、もうしません。だからその笑顔の圧力はやめてください~。」
「ざまぁねぇなビッチ」
部屋の隅でゴミを取るコロコロローラーを使っている俊はあいかわらず毒舌なご様子だ。
「そういえば他の奴らはどうした?」
本来なら朝食には大体みんながいるもんだが今日は少しばかり人が少なかった。
「今日は隊長が起きるのが遅かったからね、あの二人は先に食べちゃったよ、どっかにいるとは思うけど」
「そうか、それは悪かったな。あと俺も少し外に出てくるよ」
そういって隼人は外に通じるドアに手をかける。
「たっ、隊長」
隼人は振り返ると可憐が心配そうな顔で見つめてくる。
「気を付けてくださいね」
「あぁ」
ほんの何気ない会話、なのにその言葉には重さがあった。
その言葉の意味を隼人はしっかり受け取り分厚いドアを開け外に出る。
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隼人がやってきたのはビルの屋上だった。
ビルの屋上は少し風が吹いていた。季節は春始め、まだ気温は低く身震いを覚えるほどだった。
彼らが先ほどまでいたところは今いるビルと隣のビルとの間にある隙間道を通った途中に今いるビルの壁に扉がありその先にさっきの部屋があったのである。
なので厳密にいうとビルの中ではあるが、隠れ家みたいなところである。
隼人が屋上を散策していると柵によりかかりながらコーヒーを飲んでいる金髪ショートの女の子、三葉鈴がいた。
「なんだこんなところにいたのか鈴」
「そういう隊長も今日は遅かったですね」
彼女はコーヒーを飲み終えたのか空き缶をポイッと投げる。宙を舞う空き缶は屋上になぜかぽつんと置いてあるゴミ箱へと向かっていくが少しだけ距離が届かずに落ちようとしていた。
「『なびけ』」
彼女がそう言った時だった。地面に落ちそうだった空き缶が止まり、不自然な動きで浮かびそのままゴミ箱へと入っていく。
「『風』の力か。あいかわらず便利だなそれ」
「汎用性の高さは認めます。それより隊長今日はどうしたんですかこんなところまで」
「まぁ・・・ちょっと気分転換に外出ただけさ」
「・・・・気を付けてくださいねただでさえこんな世界なんですから」
「・・・・」
隼人は屋上から景色を見つめる。そこに広がって映るのは、
発展した近未来型都市だった。
七年前に起こった終焉の対戦、覚醒者による軍団とたった一体のの機械種によって起こされた戦い。それに彼らは敗北した…
そして、世界は変わってしまった。
奴とともに出現した謎の巨大な建造物、その大きさは軽く500メートルは越すほどであった。
奴は言った「これの名は『マザーコア』」と・・・。
その後奴と同じような機械種が世界各国に出現、すぐさま人類は対抗したが結果は惨敗、彼らの支配下へと置かれた。
隼人たちが今いるこの場所は終焉の対戦が起こった場所であり、20年前にできた超巨大型人工島、通称『アーティクル』。隼人自身、自分が生まれる3年前にこの地へ移住したと彼の両親から聞いたことがある。
このアーティクルが今現在、世界の中心となる…いや、機械種にとっては中心的な場所であることは間違いない。
隼人たちがこの島でなにをしているのかというと・・・
ヴーヴー
当然の電話、隼人は急いで携帯を手に取って通話に出る。
「もしもし」
「黒条隼人さんですか?」
「はい、そうです」
その声の主は少し大人びた声をした女性だった。
「総帥、一ノ瀬龍司様から全軍隊長の招集がかかっております。急いで集まってください」
指令だけいうと電話は切れてしまった。
人類は機械種に敗北し、絶望し、そしてあきらめた
そんななか、彼らの支配から自由を得るべく作られた組織があらわれる
その名は反乱の意思
「さて、どうしますか、隊長?」
「どうするって、行くに決まってんだろ」
「それでは行きましょうか、隊長」
鈴は腰に備わっている刀に手をかける。
「あぁ、副隊長さん」
そして二人は招集先へと足を踏み出す。
反乱の意思第二軍『黒烏』隊長・黒条隼人
止まっていた彼の物語は再び進みだす
はい、みなさんこんにちはアルです。
まず一言、本当に投稿遅くなって申し訳なかったです。
約一週間ぶりの投稿ですが今回は自分としては一話目よりいろいろと文を変えて見たりしました(まだまだ初心者なので)
やっぱり自分の都合上あんまり頻繁には投稿はできないのでその分頑張っていきます。なので応援よろしくお願いします。
では次の話でまた会いましょう。
※追記 2016年8月1日
ただいまの状況ですが、一応次の話は書き終わってはいるのですが、頻繁に投稿できないという自分の現状により、話を貯めてから再び投稿したいと思います。
楽しみに待ってくださる読者の皆様には大変申し訳ないことですが、もう少しだけお待ちいただけると助かります。また一気に投稿するからという理由で1話ごとの話の量を減らして連続投稿するという考えは今のところありません。