表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
叛逆のマキナス  作者: アル
1/2

Prologue~終焉の対戦~

   『目を開けるとそこは燃え上がる業火が飛び交う街だった』

 人々が逃げまとい悲鳴が飛び交う中、一人の少年はただ茫然と立ち尽くす。

「お父さん、お母さん…」

 少年は今すぐにでも泣き出しそうなのをこらえて必死に親を呼び続ける。

 周りを見回すと今の状況がどれだけ悲惨なのかは簡単に理解できた。

道端に倒れている人、いつ崩壊してもおかしくないビル、そこらじゅうで鳴りやまぬ救急車のサイレン、必死に神頼みする神父、絶望的な状況に耐えきれず泣き崩れている人、自分だけは生き延びようと助けを求める人々を振り払うブルジョア…


なにもかもが壊れてた、いや、壊されたと言ったほうがいいのかもしれない。


ここがこんな状況になってどのくらい時間がたったんのかはわからない、そもそもなんでこんなことが起こったのかもわからない、だけど、たった10歳の少年でもわかるような事が一つだけあった。


あいつ(・・・)がやったんだ」


その少年が見えてる先にあるのは上空に飛んでいる人物だった。外見は離れていてよくわからないが目立つのは手にある双剣、そして輝くようになびく銀色の髪、その銀色の輝きはひときわ少年の目に焼き付ける。


「うおおおおおおおおおおおおおお」


少年がに釘付けになっているそんな時だった、


上空に浮かんでいるに向かって空を駆けるように飛んでいく一人の青年。驚くべきことに、彼はパラグライダーを背負っているわけでもなく、ロケットエンジンを担いでいるわけでもない。だが、さも当然のように手ぶらで空中を飛んでいたのであった。その速さは軽くそれらと遜色ないほどに。


覚醒者アノマリウスだ」


少年はすぐに彼の《力》がなになのかわかった。


 『人間を超えし力を持つ新人類』


それが彼ら覚醒者アノマリウス


彼らは最近現れてきて、今もなお増えつつあると言われている。その強大な力を持つがゆえに様々な国家、都市、権力者が力を求め彼らに接触をもちかけていると噂もあった。なぜ彼らが生まれてきたのかはいまだ不明、能力の根源も不明と、わからないことばかりである。


「すごい」


少年はその青年のした行動に驚きを隠せないでいる。正体不明のに立ち向かっていくことはどれほどの恐怖がついてくるかわからない、たとえ立ち向かったとしても勝負する前に自然と戦意を失うほどでもあったからだ。


「ぶっとべえぇぇぇぇぇぇぇぇ」


ゴオォォォォォォォォッと彼の手のひらから発生される竜巻がに襲い掛かる。に攻撃をしようとしているその青年の能力はたぶん『風』の力を媒介としたものだろう、風の能力といっても人それぞれであり、一概にまとめられるものではない。例えて言うなら『風の流れを変える能力』と『風の力を増幅する能力』のようなものだ。彼はその『風』の力を駆使して飛んでいるわけであった。彼の作り出した竜巻はよくTVなどで見るものと同等の威圧感と大きさを持っており、こんなものを直撃でもしたら普通の人はぶっ飛ばされるなんて生易しい言葉などで説明できないほどの威力はうかがえる。


だけど、奴は、




「・・・・・・・・」




一瞬だった。


ビュンッと風の切り裂く音が鳴り響く。は無言で、まるで寄りかかる虫を払うがごとく彼の竜巻を消し飛ばした。消し飛ばしたことによる力の余波で近くのビルの窓ガラスが軒並み割れていく。


「なっ…ならこれなら_」


彼自身今の攻撃が全く効いてなかったことに驚きを隠せないでいたのだろう。だがすぐに体制を整えようと次の動作に移り変わろうとした時だった。


奴が動き出す…



ザンッ



彼の言葉が途中で切れていた。理由は簡単だった。


彼の首から上、つまり、彼の頭が吹っ飛ばされていた。


「あ゛っ」


彼は何が起こったかわからなかっただろう、やられた彼の首の断面からは噴水のように血が噴き出し、そして止まってた時間が動き出したかのように彼の体は落下を始めて、ドスッ、と音を立てて落ちていく。


力の差は歴然だった。


勝負にすらならなかった。


傍から見れば、残虐にも等しいレベルだっただろう


「‥‥‥‥」


少年は何も言葉を発することができなかった。そして、ふと、もう一度周りの状況を確認してしまった。


依然として消えず絶え間なくその惨状を示すがごとく燃え上がる業火、その圧倒的なる火力により引き起こされる水分不足で倒れこむ人々、やけになってそこらへんの建造物をこわして自我を無理にでも保とうとする狂人、助けを求めた人々を追い払ってしまったことにより彼らから”制裁”をうけゴミと化したブルジョア、必死に自分が今すべきことを整理し、人命救助をしようとしている救急士、そして、首から上を切断された青年の遺体、そこからあふれ出る血が地面一帯を血の海と化してた。



少年は気づいてしまった。いままで傍観者の視点で事を見ていたが次は自分があんなもの(・・・・・)になってしまうかもしれない。自分は今そういう状況にいるんだということに…。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


少年は走り出した。どこに向かえばいいのかわからずに、ただ、ただ、”逃げたい”と思うだけであった。

普段こんなにも走らないのに手足を夢中で動かす、息が乱れ呼吸するのもつらくなる。だけど、だけど…走ることだけはやめないでいた。自分が生き残るために。




―――――――――――――――――———————————————————————————————



 どのくらい走ったのだろうか、周りを見てみると自分もよく知らないような場所だった。でも、そんなことはどうでもよかった、なぜならここらへん(・・・・・)すべてが先ほどと同じような被害状況なのだから。



少年は必死に懇願する。辛くて、苦しくて、泣きたくて、わめきたくて、諦めたかった。

だけど、だからこそ少年は一筋の希望に賭けてみたいと本能的に思ったのだろう。だから、


「誰か…誰か助けてくれよぉ」


大声でそう叫んだ。


その時だった、


ザッ、と足音が聞こえた。それも一つや二つではない。十、二十……いや、もっとだった。


足音は次第に集まっていく


少年のもとに集まるかのように。


そして、


「小僧、もう大丈夫だ」


野太い声だった。泣きじゃくる少年は顔を見上げる、目の前にいたのは黒髪の短髪で顔に大きな傷が残っていた男がいた。そしてその周りには千人は軽く超すであろう人々が集まっている。


「あなたたちは一体…?」


「まぁ、お前のような小僧でも知っている、とてつもない力を持った覚醒者アノマリウスってやつさ」


「でも、この数は…」


少年が疑問に思うのも無理はなかった。さきほども言ったように覚醒者アノマリウス自体、数が少ないのだ。それが一か所に数千人も集まると異常としか思えない。


「そうだな、俺たちは単刀直入に言うとだな」


男は一呼吸おいた、そして、希望の言葉を投げかける。


「お前たちを助けに来た」



『少年は絶望していた』


『この世界に』


『奴に』


『だからこそ』


『たったその一言だけだった』


『その言葉が欲しかったのだ』




「ふへっ、へへっぇ」


思わず変な声が出るほどだった。目から涙があふれ出てくる。ぬぐっても、ぬぐっても止まらない。


「小僧、よく聞け、今から俺たちはあそこに飛んでいる奴を倒しに行く。だからお前は逃げろ、どれだけあがいてでもいいから必死に逃げて生き延びろ、いいか、わかったな」


「ゔん」


少年は涙を流しながらしっかりとした声で答える。


「よし、じゃあお前ら、いくぞ」


「「おお」」


彼ら覚醒者アノマリウスの軍団は一斉に雄たけびを上げる。彼らは走り出す、急いであの元凶を打破するために。その姿を少年は見送る。


「あぁそうだ小僧、お前、名はなんていうんだ?」


彼は去り際に問いかける。


「僕の名前は……黒条 隼人(こくじょう はやと)


「そうか、また会えたら会おうじゃねぇか、あと、ほらっ」


そういって彼は何かを投げた。それを隼人は落としそうになりながら受け取る、手の中にはちいさな銀色の鍵がついたペンダントだった。


「これは…?」


「お守りってやつさ、大事に持っておけよ、じゃあな」


そういって男は走り出した


「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」


覚醒者アノマリウスによる軍団は立ち向かう、この世界を脅かすであろうを倒すため、すべてを元通りにするために。


「・・・」


彼らが見えなくなってから数秒経ってもは隼人はその場を動かなかった。自分は何もできないがせめて立ち向かう彼らを最後まで見送ることはできるはずだと思ったのかもしれない。


「よし、僕も早くこの場から逃げないと」


そう言って一歩足を踏み出した時だった。



ガラッ



崩れ落ちるビルの残骸。


その音とともに隼人の世界が真っ赤に染まった…



―――――――――――――――――———————————————————————————————————————



「ん……」


気が付くと隼人は地面に寝転がるような形で倒れていた。隼人自身なんで自分が気絶していたのかわからない、さっき、自分もこの場から離れようと動き出したところまでは覚えていた。


「痛ッ」


突如訪れる痛みとともにうつつになっていた隼人の意識が鮮明になる。今までにないほどの痛みだった。隼人は歯を食いしばり痛みを少しでも緩和しようとする、痛みが足のほうからするのに気づき、隼人はゆっくりと振り向く、そこには、



ビルの残骸によってぐしゃぐしゃに押しつぶされている自分の足があった。



「ガあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」



痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……



自分の足を見た後、突如として襲い掛かる激痛、その痛みすべてが今までに味わったことがないほどだった。

よくこんなことはなかっただろうか、けがした瞬間は何も感じなかったがふとけがをしているのに気づくと急に痛みがこみ上げてくるのを、隼人の体は今、この瞬間に痛みを思い出したのだ(・・・・・・・)



(自分の足はどうなった、なんでつぶれている、血があふれ出てくる、なんでこんなことに、応急処置しないと、誰に?、こんな状況じゃ誰も助けに来ない、あの覚醒者アノマリウス達に助けを求める…、いや、無理だ、現に彼らは戦っているはずだ、とにかく痛い、早く何とかしないと、このままでは……『死ぬ』。

こんなところで死ぬのか、さっき彼らと約束したばっかりじゃないか、「生き延びろって」言われたばかりじゃないか、僕は死ねない、死んでたまるか)


隼人の思考があちこちめぐりまわるように加速していった。この状況を打破するために。


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」


ブチッブチッと自分の足の筋肉が嫌な音を立てているのがわかった。隼人は無理やりでもこの残骸から抜け出そうとしている。


「gdbsxfksガぁ...」


もうすでに隼人の放つ言葉は壊れるほどだった。

隼人は生きるために必死になって動かない足を引っ張る。


だが、それも限界が来た。


手に力が入らなくなり、体温が次第に冷たくなっているのがわかってきた。鮮明になっていた意識も途切れかかる。


(あぁ…僕、死んでしまうのか…)


そんな考えが頭をよぎる、終わったのだ、何もかも、すべて。


隼人はふと自分の胸元にある銀色の鍵がついたペンダントを手に取る。


(「どれだけあがいてでもいいから必死に逃げて生き延びろ、いいか、わかったな」)


彼の言葉がよぎる、まるであきらめるなと言われているみたいに、


一度はあきらめかけた心を隼人は取り外す、がむしゃらなまま目の前の地面を必死につかむ。


「あきらめて…たまるかぁ」


さらにブチッブチッと音が鳴る、痛みなんぞ捨てた(・・・)と言わんがごとく動かすが、まったく体は残骸から離れようとはしなかった。


「くそっなんでだよ、なんでなんだよ…」


隼人は拳を地面をたたきつける、体がもういうことを聞いてくれなかったのだ。

くやしくて、くやしくてたまらなかった。自分ではこの状況は変えられない、自分は無力(・・)なのだと…そんな事実を突きつけられる。


そんな時だった、


「少年よ、『力』が欲しいか」


「⁉」


目の前に黒いコートと帽子をかぶっている人物がいた、至近距離でもかかわらず相手の顔が見えない。そいつから発する謎の不気味さに隼人はすこし畏怖を抱く。だが、声から察するに男性ではあることはわかった。

自分の危機に現れたのは今日で二回目だったが今回は彼ら覚醒者アノマリウスとは違うというのは途切れかかる意識の中でもわかった。


「僕は」


必死に声をこらす、目の前にいるのが誰なのかはわからない、いきなり現れて『力』が欲しいかなんて問いをしてくる野郎なんて絶対ろくな奴じゃない、だけど…


「僕は、まだ死ねないんだ…」


隼人は奥歯をかみしめる


「お前が何者なんかなんてどうでもいい、何かの計画に巻き込まれる羽目になろうが構わない。それでも、

俺は力が欲しいんだ、無力・・な自分はもう嫌なんだ。強くなりたい、だから、『力』をくれるっていうなら俺にさっさとよこせ、世界を、こんな自分(むりょく)を変える『力』を!」


そういって隼人は自分の持てる限りの力を使って手を差し伸べる、これが最後のチャンスだと、そうわかっていたから。


彼は黙っていたが


「ふっ、ふははははははははははははははははははははははは」


彼は急に高らかな声を上げて笑う、まるで何かにあざ笑うがごとく大声で。


「なにがおかしい」


「いや~、まさかこんな答えが返ってくるとは思わなかったよ、少年、実に面白い。今にも君は死にそうな中現れた人物に対して命令形とはね、予想外だったから思わず笑いがこみ上げて…ふふっ…。」


「それがいけないか」


「いや、ノープログレムだ。すばらしい、逆に気に入ったよ。」


「なら_」


「あぁ、与えてやろうじゃないか、君が望む『力』ってやつを」


彼は隼人の差し伸ばした手をつかむ。


それ(・・)はすぐに来た。


「ガはッ」


いきなり激痛が襲い掛かり、隼人は思わず血反吐を吐いてしまう。


「なんだ…これは。」


隼人は自分の中に何かが流れ込んでくるような感覚を感じる。


「まぁ、『力』を得るための代償だと思っていてくれ。」


まるで自分の内臓をグシャグシャにかき乱されるような激痛、隼人の視界が揺れ始め空間がねじ回っているように見えてくる。それにより、隼人の意識がだんだんと消えつつあった。


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


激痛とともに視界がだんだんと狭まっていく。


「・・・」



彼は隼人が気を失ったのを確認すると、その場を離れるようと一歩踏み出す寸前。


「ようこそ、こちら(・・・)側の世界へ」


そういって彼は立ち去った。





後に、覚醒者アノマリウス達による軍団と奴との戦いは一つの大爆発によって終わりを迎えた。


この歴史的に残るほどの戦いは『終焉の対戦』、そう呼ばれるようになる。









 

そして、舞台は7年後へと移り…始まる。

さて、読者のみなさんこんにちはアルと申します。このたびは読んでいただきありがとうございました。

読者の方々はこれを見てまずこう思ったのではないでしょうか、

「なげえよw序章なのに読ませる気ないだろこれ」

自分の考えとしては一話目だからこそしっかりとした濃い内容を見てもらい世界観に入ってもらいたいという願いが入っています。(濃い内容じゃなかったらすみません)

ちなみに

「なんだよこの糞みたいな小説」や

「おもんない」とか

「ああああああああああああああああああああああ」

なんてコメントでも全然大丈夫ですw逆にそのコメントをもらうだけの内容と受け取ることができるので

いっぱい書いてもらっても構いません(アドバイスください)

さて、ここまで読んでくださりありがとうございました。投稿ペースは正直言って遅めですがしっかりと時間をかけていい作品にしていくのでご了承ください。

では次の話で会いましょう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ