漫才脚本「遠足」
A……ボケ担当。B……ツッコミ担当。
コンビ名は考えていないので☓☓としました。
A・B、ステージに上がる。
A「どうも~☓☓です!」
B「よろしくお願いしま~す!」
A・B、観客に向かって軽く頭を下げる。
A「B君。僕ね、小学生の頃は遠足が楽しみで仕方がなかったんですよ」
B「確かに遠足は楽しかったですね。おやつ代が300円までって決められてたりして、そこで何を持っていこうか悩むのもまたご一興でしたね」
A「そうそう。おやつと言えば、必ず出る質問がありましたね」
B「ありましたねえ」
A「(生徒になりきって)先生!」
B「(先生になりきって)はい、A君」
A「バナナはおやつに、入ります!」
B「君が決めることじゃないねえ! てかさ、それじゃあ質問になってないでしょうが」
A「(Bを睨みながら)じゃあ、バナナはおやつに入りま・す・よ・ねえ?」
B「何でそんなに威圧的なのかなあ! 君はそんなにバナナをおやつに入れたいわけ?」
A「当然じゃないですか! だって俺、三度の飯の次の次くらいにバナナが好きなんですよ!」
B「バナナを推す立場として、ちょっと微妙じゃないですか?」
A「ちなみに、バナナの次に好きなのはB君です!」
B「俺、バナナに負けてんの? ムカつくから、絶対おやつに入れてやらないからな。で、遠足と言えばバスでの移動ですよ」
A「そうそう。結構人数がいますから、酔っちゃう人とか出るんですよね」
B「(生徒になりきって)先生! A君が酔っちゃったみたいです」
A、苦しそうに口元を押さえる。
A「うっ……」
B「大丈夫?」
A「いやあ、ちょっと。昨日、飲み過ぎちゃって」
B「何で二日酔いしてるんですか! 今の僕達、小学生って設定ですけども!」
A「バーで乗せられて、ブランデーを一気飲みしたもんだから。ちなみにお会計、100万円突破!」
B「めっちゃぼったくられたんだね! そんな暗い話は忘れて、明るい遠足のことを思い返しましょうか!」
A「(立ち直って)うむ、そうしましょう」
B「で、着いた先できゃっきゃとはしゃぐわけですよ」
A「何せ、普段見慣れない景色ばかりですからねえ」
B「(生徒になりきって)うわあ、すげえ!」
A「(生徒になりきって)担任が足つって、身悶えしてる!」
B「どこに注目してるのかなあ? 普通、建物とかに関心抱くところでしょう?」
A「日頃から運動不足のくせに歩き回るから……ぷっ!」
B「てめえ、最低じゃねえか。で、ある程度回ったら昼食の時間が来ます。ここでするのが、友達同士でのお弁当のおかず交換ですよ」
A「(生徒になりきって)おかず交換しようぜ~」
B「(生徒になりきって)いいよ~。じゃあ俺、から揚げやるよ」
A「わ~い! じゃあ俺、ニンジンやるわ」
B「ニンジン……? うん。野菜も大事だもんね。じゃあ俺、ほうれん草やるよ」
A「じゃあ俺、とうもろこし!」
B「……。じゃあ俺、ミニトマトやるよ」
A「じゃあ俺、グリンピー……」
B「完全にミックスベジタブルですねえ! しかも、ご丁寧に一粒一粒下さって! 俺の弁当箱、スッカスカになっておりますよ!」
A「僕のお弁当は、非常に充実しておりますよ!」
B「でしょうねえ! そんなことばっかやってたら、友達なくしますからね! で、最後は校長先生の言葉で終わるわけですよ」
A「(校長先生になりきって)皆さん。家に着くまでが、帰り道ですよ」
B「そうですね! 家に着くまでの道は、帰り道以外の何物でもないですからねえ! ここは、家に着くまでが遠足って言うところでしょうが」
A「いやでも僕、そういう思想は持ち合わせていないもんで」
B「君自身の解釈はどうでもいいんですけども! ああもう、駄目だ。お前としゃべってると、昔の思い出すらきちんと振り返ることができないじゃねえか!」
A「別にいいじゃないの。僕達には楽しかった過去よりも、ずっと明るい幸せな未来が待っているのだから!」
B「ぼられて不幸になった男がなに言ってんだ! もういいよ」
A・B「どうも、ありがとうございました~!」