朝早くから攻めダルマ
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厳しい寒気の大阪・池田、駅前の喫茶店『進軍カフェ・攻めダルマ』。有明の月凍える払暁に、三人の男女が、超VIPルームでモーニング・サービスを頼んでいる。外では、先の尖った雹が、トタン屋根に突き刺さっている。雹は早朝過ぎに、雪へと変わるだろう。
奇怪な服を着た女が云う。
「何でわたし、アンタらみたいなのと一緒に、お茶シバいてんのよ?」
「君が~呼んだんじゃないのか~?じゃあ~、誰が呼んだんだ~?」
とは、山中渓司。
女、つまり、パピルス聖猫は
「アンタでもなく、わたしでもないとすると、誰かしら?決まってんじゃない。
わたし昨日の夜、アニメのラジオ、神戸であったから、こっち来てんの知ってる奴よ。自衛隊のトランシーバー持ってて、何でも知ってる奴よ」
山中渓「おかしいなあ?不破には昨日電話で、君が会いたがってるから来い、と・・・?」
聖 猫「わたしには、アンタの奥さんが会いたがってるが、代わりに政治学者の小者が会うから、来いと、不破に、電話で伝えられたの」
山中渓「所で・・・そのォ・・・ナンダ、アイドル連れて来たァ?」
聖 猫「ハアァ?何ソレ?何寝惚けた事云ってんの(笑い)?アイドル?何?どゆ事ォ?」
山中渓「いやあ~、不破が、君がアイドル連れて来るから、観に来い、と。照れるなあ〜」
聖 猫「不破、何ふいてんのよ。わたしがアイドル、連れて、来られる訳、ないじゃないの。アンタ、わたしを、誰だと思ってんのよ?」
山中渓「『斎戸雪』は何処だ〜?」
聖 猫「・・・・・・」
山中渓「何?アイドルはいないだと〜ぉ?アイドルもいないのに、キサマ、何で来たんだ?電車でか?何のために生きてる?オウッ?」
聖 猫「一介のアニソン作詞家に、アイドル連れて来られる訳ないじゃない。身分ってもんがあるでしょ」
不 破「そりゃそうだ」
聖 猫「(カチン!)アンタの奥さんに、地の濃い、仏蘭西料理食べさせられるのが厭だから、こうやってこっそり、やって来たんじゃない」
山中渓「ふわ〜、今日は何の集まりだ〜?同窓会か〜?それならもっと他に、場所と時間があるだろ〜。いくら自衛隊の野球部が忙しいからといって、この有様では・・・。用がないなら、もうとっとと帰るゾ」
不 破「・・・・・・」
外の風景にポツポツ通勤の人影が混じる。子供が「雪ダルマ」を造っている。こちらを見ている。手にヨーヨーを持っている。不破はチラと見た。店内には、病院に遊びに行く年寄りが増えた。
聖 猫「ははん。分かった。ピーンと来たーッ。不破〜ぁ、アンタ、わたしの事、好きでしょ。会いたくて会いたくて、こうして口実作ってまで、愛に来たんでしょ。アハハ。その顔で。アハハ。まごこの代まで笑えるわ。『バカボン君って、恥ずかしがり屋さんなんだ。パパのバカー!(『天才バカボン』より引用)』。大体バカボン君って名前が、もう駄目だけどねエ。アッハッハ・アッハッハ。狂い死にそう。初恋?いつか振り向かせてみようと思ってたの?アッハッハッハ」
不 破「あくまの呪いみたいな服着て、何言っとんじゃ、お前は」
背 猫「人の服が云えた服!」
不 破「今日呼んだのは他でもない。旧知の間柄だ。親交を深めん、とだけ言って置こう」
聖 猫「何だ?アンだって?アンタ達、友達のつもり?わたしはアンタ達と付き合う積もりは、毛頭無いんだからね。わたしの前で二度と『戦争』やら『汚い政治』の話やら、しないで頂戴」
不 破「それは、山奥渓の専門分野だ。俺のは綺麗。では、戦争の話をするとしよう」
聖 猫「どっちも同じでしょ。ええかいな~ボキュ達、アタシは、アンタ達、ワル『中二病』患者と、一緒にいたくないワケ。危険なものに巻き込まれて、命を落としたくないワケ」
山中渓「全然危険やないで〜」
不 破「お前だって中二病患者だろ」
聖 猫「莫迦。全然違う。ソ、ソ、ソーネ、アタシはどちらかと云えば、『電波』さんの方かしら?んんん。んんん。エリア・生駒で、別次元・子宝地蔵と交信している、ファビュラスでベイカーズな、プレシディオの修験者さまとなら、お付きしてもよろしくアッサ~してよ(遊ばしてよ)。うん。うん」
不 破「顔が悪い。鏡が見たら、鏡が集団自決する。鏡が、空襲下でのように、『お母さん、助けて。この顔は空爆より非道すぎる』と泣き叫び、絶望し絶命する。それ位非道い。顔が大量破壊兵器。顔が水爆。顔が原水禁違反」
聖 猫「ちょっと、女性に対して大変失礼でしょ!」
不 破「 パピルス聖猫と山中渓霞が、接触してるのが、組織に嗅ぎつけられたようだ。(鼻息)フー」
聖 猫「何の組織よ。アンタ、スパイしたのね。最低ね。犯罪よ。もうこれで友達付き合いは出来ないわ。今日こそ引導を渡す積もりだったから。心配しないで、わたし肝心な部分、な〜んにも喋ってないから」
山中渓「『急接近』って何だ?」
聖 猫「誰もそんな事云ってないじゃない」
山中渓「只のゲート・ボール仲間と違うのか?どうりで、可笑しいと思ったんだ。一気に逆上!超裏切り猫だな、お前。僕がカミさんに一生頭が上がらないの知ってるだろ!」
聖 猫「知らんかった」
山中渓「どの程度喋ったんだ?このババタレ猫が!シャブ中軍団、送ってやったろか?」
不 破「あっ、しまった。ナンテナ」
聖 猫「なっ・・・なっ・・・、気持ち悪い。チョ〜・クリスタル・マジ・気持ち悪〜い(【訳】とても純粋に混じりっ気なくキモワルイ)。喋ってない、云ってるでしょうが・・・。このアイドルファンシーロリコン・ワル改憲変態・集団的戦争・小者非常勤教諭。
そもそも・・・。組織ゴッコともこれで終わり。もう二度とアンタ達と会いたくないから、アタシ。汚い耳クソかっぽじってよーく聞いてなさいよ、云うから。もう何遍も云って来たけど、もうこれ以上云わないから。ボキュちゃんたち、分かりまチたか?返事は(指定:強く)?」
不 破「・・・・・・・・・」
山中渓「我達の誇れる過去と言えば矢張り、『天下の英雄・君と僕』だろ」
不 破「そうだ。そうだ。言わずと知れた。そうだ」
聖 猫「いい?昔、わたし達は別々に、ほんのテレビの端役のオーディションを受けに行った。わたし達は見ず知らずだった。そのタイトルが『戦え!青春』。アンタ達は青春ドラマのえげつないキモオタで、有名に成りたいだけで、三人とも落ちた。付き添いの大人がいないのは三人だけで、何にも知らないわたしに、アンタ達は声をかけて、二人だけ大盛り上がり。いつの間にか、変態達は電話番号まで調べ上げた。負けず嫌いなアンタ達は、インチキテレビをデッチ上げた。都合の悪い事は全部忘れた。頭の中はカラッポ。中身もカラッポ。全部カラッポ。アンタ達の負けず嫌いは異常。病気の域に達してる。これで全部。たったこれだけ。これをわたしは何遍、何遍、アンタ達に云って来た?」
不 破「何を言っとるんだ、この女は?初耳だぞ、そんな話を聞くのは。丸で訳が分からん。顔も悪いし」
山中渓「あ~頭が痛い。ガンガンする。割れるようだ。地球が割れる。彗星がぶつかる。早鐘のように、誰かが地球の内側からど突いている。外側か?舟が出るゾ〜イ」
不 破「オーディションに落ちた?誰かと間違えてるんじゃないのか?『さばまさし』と違うのか?」
山中渓「サダム・フさし(【参】昭和の時代、さばは、髪の毛薄いネタで笑いを取っていた)。頭が・・・あっあ~」
不 破「こんな時にも戦争ネタ。頭が下がる思いです」
山中渓「たった今、お告げ様が、島買えとお告げを成すった・・・。頭が・・・」
不 破「おいしっかりしろ悪者君。賄賂切れか?ここが肝心。ここが大事。お告げ様、どんな感じ?どんな感じ?」
山中渓「人間の言葉話す美少女ネコ。サイズはやや大き目。四つん這い。ヌイグルミ感。着衣なし。何処ぞのドブス猫と大違い。言って置くが、断じてロリではない。頭が・・・」
不 破「おお〜っ(指定:滑らかに・穏やかに・波の如く発声)。ワタシ、ロリチャン。ワタシ、ロリチャン。聖猫嫌い。パピルス嫌い。オツゲはネ〜、ロマンチックなネ〜『◯凪』とか、淋しがり屋さんの『サンデー・◯ーク』とか、好きかもよ~。人差し指、両~頬っぺ。ナルな『最終◯内』」
聖 猫「出た~。不破の少女趣味。隠れてた人格」
不 破「ムフッ。ウフッ」
聖 猫「病気か?矢張り病気なのか?普段平静に見えるけれど、矢っ張り発狂していたのか。
どうやら二人とも重症のようなので、余はこれで退散するとするか。英雄や天才等と、普段論じている連中が、ホレこの始末。されば、われわれは騙されないようにしないといけない。騙されて、国が亡くなりました、命が無くなりましたでは済まされない。さらば友まがいよ。さらば同胞よ。さらば青春のドラマよ。ワタシは引き戻したりはしない、過ぎゆく、かたわらをゆく、同胞さえも。いつか何処かで会おう。絶対嫌だけど。建前だけど。本音じゃないけど。さよならだけが、波瀾万丈人生ゲームさ」
山中渓「頭・・・アウッ・・・。アレッ?そういや、大学行くの忘れてた・・・」
不審な、ミリタリー服を着た、巨大な、熊のような、ゴリラのような、謎の生物が発生すると言うので、付近の学校では、集団下校が始まっていた。
「ヤ〜ア〜ダ〜ア〜」
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