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暗闇でキスして  作者: まかろん✩
3/3

第二話  神威家、ヴァンパイアの家

「じゃあ体には気を付けるんだぞ。」

「分かったから!!お父さんもお母さんも病気に気を付けてね。」

お父さんはいきなり泣き出し、「やっぱ置いてけない!!」と言い出した。

お父さんを止めるのに時間は掛かったが私は手を振った。


「行っちゃったかぁ...。」

空を飛ぶ飛行機を私は見つめた。

「ここにおられましたか。茜様。」

突然聞こえた声に私は「きゃぁ!」と声を上げる。


「え、えっと...。」

いついたのか分からない白い髭のおじさんがそこにいた。


(いついたの...?!全然気づかなかったわ...。)

なんて思いながら私はそのおじさんを見た。


「これは失礼。わたくしは神威修也(かむいしゅうや)様の執事のゼロと申します。」

ゼロさんという人は律儀に深々と頭を下げた。

「これはご丁寧に...。」

私はつられてお辞儀する。


「では神威家までご案内いたします。外に車を用意しておりますので。」

ゼロさんはスタスタと歩き出すと私はその後を付けた。




「さぁお乗りください。」

ゼロさんは車の扉を開ける。

私は車の中に入ろうとふと思いつく。


(てかゼロさんって全然知らない人じゃん!!ど、どうしよう...。親の知り合い待たせてたら...。)


「おや?どーなさいましたか?」

ゼロさんは車になかなか入らない私を不思議そうに見つめた。

「い、いえ...。あ、あの親が言ってた知り合いを待たせているので車には...。」

私は聞き取れないくらい小さい声で言った。


「おや?お父様から聞いておりませんでしたか。わたくしの旦那様が茜様のお父様たちのご友人の神威です。」

「え?てことはゼロさんの旦那さんがが親の言ってた知り合いなんですか?」

自分で言ってて訳分からないけど...。


「その通りでございます。」

やっと不安が解けた私は車の中に入った。




車に揺られながら私は外を見上げた。

さっきまで明るかった空がいつの間にか真っ暗になっていた。

不気味な空だった。

黒というよりも紫がかっていた。


「まだしばらく時間かかりますので眠くなりましたら寝ても構いません。」

ゼロさんの声があまりにも低く静かなので眠くないはずなのにまるで魔法にでもかかったかのように私は眠りに落ちた。


いつの間に寝てしまったのか私はゼロさんの声で起きた。

「寝ているところ申し訳ございません。そろそろ神威家に着きます。」

「あ、はい。」

私は寝ぼけた目をこすりながら体を起こした。


「お疲れ様です。着きました。」

ゼロさんは運転席から降りると扉を開けた。

「あ、ありがとうございます。」

私は車から降りると目の前のお屋敷みたいな家に目を見開いた。


(神威さんってお金持ちなんだ...。)


口をポカーンと開けながら見つめていたら...

「大丈夫ですか?茜様。」

「え?!あ、大丈夫です!」

あまりにも平然としているゼロさんは私の荷物を持つと中へと案内してくれた。




ゼロさんはリビングみたいなとこに私を連れてくると

「ここでしばらくお待ちください。旦那様を呼んで参ります。」

私を一人置いて行った。


(まじでここ薄暗いしゼロさん早く来てほしい...。)


暑い夏なはずなのにここだけすごく寒かった。

冷房が効きすぎてるんだと思うけど。

私は居ても立っても居られないのでソファーから立ち上がった。

そしてグルグル家内を見ていた。


「あれ?なんか人影が…。」

黒いシルエットが見えた。

ゼロさんだと思ったが違う気がした。


「あれ?人間がどうしてここにいるの?」

背中にゾワッとくる声が聞こえた。

「だ、誰?!」

すぐ振り向くとそこには年下っぽい男の子がいた。


「僕?僕は神威翔だよ?」

ニコッとした時なぜか見てはいけないものを見た気がした。


(き...ば...?)


キラッと光るそれは牙だった。

「ねぇ...君いい匂いするね?名前なんて言うの?」

紫色の目がキラリと私を見つめている。

「あ、私は...桐沢茜...。」


ここにいちゃいけない気がした。

逃げなきゃと思った。

だけど体が思うように動かなかった。

震えがとまらなかった。


「茜かぁ。可愛い...。」

翔くんは耳元で可愛いと言った後、フゥっと息を吹きかける。

「ひゃっ!な、何するの?!」

私は翔くんから一歩引いた。


「逃げちゃダメだよ。僕もう我慢できないよ...。吸ってもいいよね?」

答えを与える暇もなく翔くんは私の両腕を掴むと顔を首筋に近づけた。

頭の中は真っ白になっていた。

「な、なに...。」


最後の抵抗をするが力が強すぎて振りほどけない。

キラリと光る牙がハッキリと見える。


(ヴァンパイア?!)


「何も考えられないくらい吸ってあげる...。」

翔くんは私の首に噛みつきそうになったとき...。


「おやめなさい。翔。」

後ろの方できつそうな声が聞こえた。

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