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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
8月11日

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悠遠中です【うろ夏の陣】



溺レ逝ク者。










 お願い。行きたくないの……

 伸ばされる手、握り返せず空を掴む。

 どうにもできないの。


 助けて、助けて。


 優しく笑う、銀色の髪に赤い瞳の少年に、銀色の髪に金の瞳の少女。

 トプンと沈んだ記憶に、もうそれは失われてしまいます。



 沈んだ記憶を探して当所なく彷徨います。



 聞こえてきたのは懐かしい女性の声。









 ねえ、

 覚えておくのよ、この色を。







 その手に載った赤いネジ。

 一体どこで見たんでしょう?

 遠い記憶と、近い記憶。








 私達が自由になる方法は一つだけ。


 貴女がもし自分を失ってしまったら。




 もしもの時は『死』をもって、終わりにする覚悟を。


 貴女にそんな日が来ない様に。


 私は全力で貴女を守ると約束するけれど。



 ねえ、ごめんね、


 今日、清らかな雪が降り積もるこの日に、


 産まれなくてよかったって。


 貴女がいつか思わないと良いなって思うの。




 あの人喜んで、ミルクを買いに行ってくれたけれど。


 その間に、私達はうろなから去りましょう。


 ごめんね、


 ごめんね、


 貴女を誰より想う人を側に置いてあげられなくて。


 いつか貴女もこんな思いをするなら……


 でも生まなければ良かったなんて口が裂けても言えないから。


 あの人を巻き込んでしまった事が申し訳ないけれど。


 あの人が生きてる限り、私はソレにはならないから。


 でも。


 もしもの時は、このネジだけが私達を解放してくれるはず。


 私達は巫女である前に、人間で。


 本来、人柱となるのは己の意志に置いてだけ。






 それでも。






 誰かの傀儡になるのなら。


 人間としての尊厳を持って『死』を選ぶ事も必要だと知っていて。
















 ああ、誰かの声がします。

 懐かしい声が飲み込まれます。あのご老人の作った闇の中、奪われゆく何がしか。



 人間よりちょっと逞しげだったり、変わった姿をしたヒトビトが、よくわからない空間に漂っています。



「ふふ、こんなに沢山いるんだ」

 わたしは呑気に暗い闇の中を楽しげに跳んで、意識のない彼らを覗いたり見て回ったりしています。

「こんな可愛い子もいるのね」

 そこには三人の女の子がいました。



 一人は白銀みたいに見える髪に緑色のメッシュを入れている、快活そうな女の子。

 一人は羨ましいほど真っ黒な髪の毛が、ひざまで伸びている大和撫子のような女の子。

 もう一人は柔らかそうな栗色の髪の毛を腰まで伸ばした女の子。



 三人はそっと手を繋いでいて、明らかに周りのヒト達と雰囲気が違う気がします。

 彼女達の祈りは一つで、橋となりますが、行く宛てもなくその光が四散していきます。

『帰りたい。彼の元へ……忘れないよ、零音君……』

 三つの声がキラキラと美しい和音となります。

 彼女達はきっと、きっと帰れるように。

 わたしはただ祈る事しかできません。



 わたしの帰る場所はどこでしょう?

 もう。

 忘れてしまいました。

 思い出せるのは優しいけれど、辛い言葉。





 誰かの傀儡になるのなら。


 人間としての尊厳を持って『死』を選ぶ事も必要だと知っていて。


 



 まだたくさんあったかもしれませんけれど。

 もはや、わたしの道は、一つだけしか思い出せませんでした。





三衣 千月 様 『うろな天狗の仮面の秘密』 より、前鬼 後鬼 小角様 お借りしております。


梔子様『うろな町は良い所だけど俺の周りは修羅場だ』より、十六夜零音君、狐ノ派静月さん、芝姫凛さん、桜咲呉羽さん、イメージでお借りいたしました。


問題があればお知らせください。

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