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うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
2014年1月1日夕方~二日朝

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悪夢中です12 (ユキと水羽)

水羽の空間で。

ユキはふと、あの日の彼の笑みを思い出して。


lllllllllllllll

 

 配送員の賀川さんが訪れてくれる森の小屋。

 お母さんと私だけの生活に、時折入るようになった他人との一瞬の時間。

 何の曇りもなく微笑んでくれる、彼は仕事に来ているだけだけど。なのにそわそわして、身支度をして、どこか心に留めてしまったのはいつからでしょう。

 それを恋だと言ってくれたのはベル姉様でした。

 彼の曇りなく見えた笑みの裏で、大きな過去を抱えているのを知りました。

 そして先日、彼と恋人になれたと思いました。けれど……それは私の片思い。彼の気持ちはお母さんに『作られた』想いなのだから。彼はそれを知ったらどうするのでしょう。

『で、なら、みこはどうするの~』

「私? ですか」

『いそうろう、てばなしちゃう?』

「私がどうするというより、賀川さんがどう判断するか、だと思います。でも、私、賀川さんが側に居ないのは……悲しいです」

 水羽さんは答えません。ただ優しい目線をくれるだけ。

 さっきのなぞかけを全て理解できたわけではないけれど、きっと考える為の材料はくれても、答えを探すのは私の仕事だってコトと思います。

「私は何も出来ないのに。みこの存在が皆を傷つけてきて、今も傷つける要因になっているのに、うろな(ココ)に居てもイイって皆は返してくれる。……過去はどうやっても変えられないのはわかっているんです。けど。これからの、これからの未来で賀川さんが、タカのおじさまが失われるような場面がチラついて離れなくって……知っているのに。親切にしてもらっているのに。心までお母さんが操ってしまったというのに……何も返せないのに、それでいて何も出来ない、欲しがってばかりの私は……本当に自分本位、かつ無力です」

 真っ赤な血が流れ、地面に倒れる二人の姿。『失われる』と表現するのは、直接『死』と言う言葉を使ってしまえば本当になってしまいそうで、怖くてたまらないから。考えないようにしても倒れる二人の姿が重なって、頭の中がぐるぐるします。そうなるのは遠い事じゃない、どこで、どうやってかわからないけど……このままだとそうなる可能性は低くないのだと何となくわかるのです。

 それが自分にまつわる事でというのも。

「昔の事は無理でも……未来が見えるのなら。これからをどうにかしたいのです。けれど、きっとそれで泣く人が現れるって事だっていうのにも気付いて」

 水羽さんはそこまで聞いてから、うーん、そうねぇ、と、言いながら首を傾げます。鏡を覗いているみたいに同じ容姿だけど、目に宿る赤色の微妙な違い。その強い視線に射られながら、

『ぜぇーんぶ救うなんてムリとわきまえなさい。その中でわたしがなにかをおしえたり、ぐうぜんその力でイロイロみえてしまったとしても……うごくのはみこ、動かないのもみこ。どんなに後悔をしても、それをえらべる貴女が、ニンゲンが、わたしにはいとおしいのよ』

「全部、救うのは無理、ですよね」

『かみでもね。アキのみこもそれでなやんだのはミタでしょ? それはみこであるなら通るみち、ね。アチラを立てればこちらが立たず。とは、よくいったものよねぇ』

 それにしても水羽さん、機嫌、良い気がします……いや、違いますね。寝てるのが世界平和だって感じで前に言っていたので、こんなに饒舌に喋っている今、余り良くない傾向なのでしょう。

『そう。だからぁ~そろそろぉ~かたなのコトとか、しょうのみやのこととか、おしえておこうと思って。ゆき、は、いわなくってもぜぇんぶわかるタイプのみこじゃないし』

 言葉にしてないのですが、私の思っている事って筒抜けみたいです。水羽さんは『『しゅくふく』とは『おかぁさま』は、いいえているわよねぇ』と付け加えています。

 そんな様子を見ながら、私にとっては色々質問できる良い機会かなと思って聞いてみます。

「あの。後一つ、気になっている事があります。宵乃宮さんが私を娘と呼んだ事が気になっています。篠生さんは違うって。けどお母さんと、その……」

『聞きたい?』

 こくりと頷くと、うーんと言ってから、私と目を合わせて水羽さんはいいます。

わたしたちにはきそくがあって、しってるから、できるから、そんなりゆうでモノはかたらない。そんな中『みこ』は『ヒト』のなかで生き、かなえたいコトをねがい、わたしにつたえるのがやくめ。ねがいをかなえるかはわたしの気まぐれみたいなトコ』

 そして今は貴女には生きて居て欲しいから、教えてあげよっかな、そう付け加えてからつま先立ちでワルツを踏む様にくるくる踊る水羽さん。その足元に広がる波紋に溶け込む光。いつまでも止まない知識の雨光を楽し気に浴び、私の立ち位置より少し高い場所に留まると、そこに腰かけます。

『みこの白は『いざなみ』につらなるの』

「いざなみ?」

『このくにのさいしょの神のひとりとしてかぞえられる、かのじょはめがみ、わたしたちの母よ。『かぐつち(あに)』をうんでぐあいがわるいのに、しぬまでかみ産みをもとめられた、はくはつのめがみ。かのじょはいざなぎからみそめられて神となった、みこ』

 いざなみって聞いた事のある名前? ……ではあるかも知れませんが、それが誰かは私にはわかりません。 

『いざなみは亡くなって、いざなぎは黄泉までむかえにいったけど、つれもどせなかった。それも神とはいえ、死をこえてはならないの。だからいざなぎはバツを受け、ねむりについた……ソレをおこしたのが宵乃宮よ』

 いざなぎ、いざなみ、たぶん日本の神話にでてきたような。パソコンで調べたら出てくるだろうなって思った途端、先ほどからふわふわと辺りを舞っていた黒い蝶が視界を横切ります。

『うーん……わたしが言おうとおもったけれど。これ以上は……あに、に。かぐつちがおしえるみたいだから、わたしは寝よーかなぁ』

 お母さんと宵乃宮さんの関係を聞いたはずが、何故、古い女神の話に繋がるかわかりません。水羽さんは続きを言おうとしたけれど止めたタイミングで、蝶の肢体と羽の色がどばっと出たインクのように私の視界を奪い、気付いた時には同じ黒の髪をした少女の前に私は戻ってきていたのでした。

lllllllllll


『悪魔で、天使ですから。inうろな町』(朝陽 真夜 様)


http://ncode.syosetu.com/n6199bt/


ベル姉様



『以下1名:悪役キャラ提供企画より』


『黒雪姫』


小藍様より


お借りいたしました。


問題があればお知らせください。

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