表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話  作者: 桜月りま
7月14日

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

45/531

片付中です


ユキ、ふきふき。







 


 今日は珍しく「お片付け」をタカおじ様に頼まれて、母屋の二階にある部屋に籠っています。

 この部屋、十年以上、風通しと簡単な拭き掃除しかしていないのだとか。窓を開け、床の埃を掃除機で吸い取り、雑巾拭きをしてまた掃除機を繰り返します。

 6畳の畳部屋。布団のないすのこベッドの木枠、埃がした本の並べられた机。

 それから古い地図や何だか小難しい公式やらが、びっちり書かれた紙切れがたくさん壁に貼られていました。紙切れは全て剥がして、紙の箱にしまいました。

 机の引き出しにでも入れて……

 いれて、

 いれて、

 いれ、…………られないよぅ。

 箱が大きすぎて。



 仕方ないので、他に何か代わりになるモノはないか、引き出しを漁ります。

 立派な製図道具に難しそうな科学の本。

「あれ?」

 はらり、と、一通の封筒が落ちます。引き出しの天井にセロファンで貼られていたようです。黄色く変色したテープは、既に粘着力を失っており、枯葉のようにぱりぱりでした。

 とりあえず封筒は机の上に置き、箱を探して詰め替えてしまいました。



 封筒の事は忘れて、ある程度綺麗になったら、家具もハタキを掛けて、拭いて。掃除機。

 押し入れの布団は葉子さんが引き取って行きます。

 その後、お昼ご飯もいただいて、夕暮れになるまで私はずっとその部屋に居ました。



 だいぶかかりましたが、古い大きなエアコンも大きな音を出しつつ無事稼働し、部屋を涼しくしてくれます。窓の外はトラックの駐車場や資材置き場が見えます。後、窓の桟と隅を拭けば終わりです。

 葉子さんは布団をベッドに敷きはじめました。それを手伝います。

「この部屋、息子さんの部屋なのよ?」

「あ、タカおじ様の?」

 刀流さん、仏壇に居る人、母がたぶん好きだった人。

「布団まで綺麗にしておけって、何する気かしら? ここを誰かに使わせるなんて考えられないし」

 葉子さんにも急にここを片付ける理由はわからないようです。

 からから、っと軽い音がして、誰かが出て行きます。

 足音だけで誰とわかる葉子さんは、

「あら、タカさんがもう帰って来ていたのね。出て行ったわ」

 と、呟きます。夕暮れの光もまだ薄い頃。帰宅が早めです。

「あら、帰って来た。迎えに出るわね?」

 葉子さんは私に枕を任せて行ってしまいます。その後何か話す声がして、誰かが上がってきます。



「悪いな、ユキ。掃除させて」

「いいえ、いいんですよお、ただもう少しかかりまぁーーーーあ、れ?」

 その大きな背中の後ろには、やはりそれなりに体格のいい男性がいました。お祭りから約一週間ぶり、でしょうか?

「だ、れ? 賀川さん?」

 そこに居たのはもう顔を覚えた筈の彼でした。

 ですが、彼の顔はいつも人と会う度に、微笑むと言うのに、まるで能面の様で。



 …………怖い。



 はじめて彼をそう思ったのでした。



愛想をふりまかない賀川でした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ