交渉中です
なかなか進まない、森の中だから、誰とも絡めなーい(涙)
山に行く人はいても森に来てる人少ないのです。
ここまでが14日金曜になります。
役場の人が、とても優しい人でよかったです。ありがとうございました。
榊さんが教えてくれた電話番号にかけてから、彼が本当に優しい事を悟ります。
『森の中? お宅冗談を言っちゃいけねぇよ』
「冗談じゃなくて、本当に困っているんです」
『……子供だろう? さては悪戯だな?』
「未成年ですけど、母が不在で……」
私も必死です。困っているから来てくれと繰り返します。
『でも、家の場所がわからないんじゃあ……そんな所にガス配管……記録にもな……いや、これかぁ』
「どうせお金もおろさないと支払いも出来ないので、森の近くの住宅街にあるバス停で時間を合わせて、そこから家に来てもらってはダメでしょうか?」
『えっとこの辺りだと『うろな家前』かぁ? んーーでも今日は遅いし、若いのは出払っているし、明日……いや土日明けの月曜の昼一時だなぁ、こりゃ』
「え? ちょ……」
ちょっと待って下さい、三日間水なしですか?
どんなに滞納してもガス、電気は止められても、水は最後まで切られないと言うのに。一方的に切られた携帯をたたみながら、頭がぼんやりして来ました。
きっと本気にされていないのでしょう。
確かに森の中のは湖やら小川がありますが、小動物の糞尿、また死骸などが紛れている為、何もせずに飲料水に出来るのは限られているのです。
母が調べてくれて幾つか石清水が出ている場所を教えてもらっていますが、片道20分とかザラです。崖など危険な場所を通る場合もありますし、自然の物ですから時期によっては枯渇していることも。
「街の中央公園まで行ったらお水汲めるかな?」
のろのろっと考えます。その視界が揺れて、何故か焦点が定まりません。
「あれぇ……ワンピースどこかで洗って干さないと、皺になっちゃう」
後、人が来るまで時間があるのだから、髪を染めて驚かさないようにしないと。
ワンピースが乾いたら、水汲みに行って。
月曜までにお金おろして、コンタクト付けて。工事の人に来てもらって。
せっかく髪を染めるのだから、工事が済んだら思い切って買い物に行きたいな。
着替えもっとたくさん欲しいし、ずっと前に電話で頼んだ絵具を引き取りに行こう。
そんな事を思うのに、……どうやら熱でも出たみたいです。
「もう……帰ってこないの? ねぇ、お母さん……」
寒いなって思いながらいつの間にか畳の床に転がっていました。
白い髪がフンワリと扇のように広がって、赤で染められた黒い服を着ているから、これで倒れていたら、サスペンス劇場のようです。
でも急激に重くなってくる瞼に抵抗できません。
「眠ったらよくなるよ、きっとーーーー」
呑気にそう思いながら目を閉じます。
土間からキノコ達の食べてコールを聞きながら、私は気を失うように眠りに落ちました。
煙花よもぎ様の「うろな家にようこそ。」で、舞台となる「うろな家」のある所のバス停『うろな家前』使いました。
ゆきが住んでいる「北の森」からストレートに降りてきて、一番近い(行きやすい)バス停とさせてもらいました。