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さあ、こわれた、どうする?
配管が割れたのは、先月末の雨の影響かもしれません。
やっと温まった体がとても寒いです。
その時、がうん、っと、変な音がしたので、気になって少しだけ蛇口を捻りましたが、次はどうにも全く水が出なくなっていました。配管から噴き出した水がモーターにかかって、悪影響を起こしたのかもしれません。
「ええっ! ど、どうしよう」
とにかく業者を呼ばねばです。水がないのは死活問題です。
でも、この恰好のまま人前には出られません。ある意味これは裸より恥ずかしいのでは……
でも洋服はココに来た時に着ていたこのワンピと、母が持って来てくれたネグリジェとジャージが一着しかありません。
母も余り持って来ていなかったのですが、それでも服が残っています。でもそれは母のだから触りたくないのです。そのままにしてないと……本当に戻ってこない気がして。
とにかく今年の冬はコートが欲しいです。昨年、寒さで死にかけたのは忘れていません。
でも今の問題は別です。
「ここは、ジャージを着るべきかしら……それともネグリジェ?」
どうして日中なのに、ジャージ一択でないのかは着てみればわかります。
ワンピを脱いで、アトリエにしている部屋にあるジャージを……いそいそ。見ちゃダメですよ?
「これは、どう?」
黒のジャージ。上下です。
ここに来て一年で、だいぶ成長したのか、ちょっと、いやほんのちょっとですよ? 胸の辺りが苦しいです。ふ、太ったんじゃないですよっ。
そして問題はそこでもないのです。
このジャージ、実はベッタリと絵具がついています。乾いては居ますけれど。それが虹色みたいに綺麗なら良いんですよ?
でも主体で付いているのが赤い絵の具。
私の濡れた白髪に赤はとても映えます。これで赤い絵の具を付けたペイントナイフなど握っていたら、さながらに『殺人を犯した奇行者』です。
これは私の絵を描く時の作業着なのです。
これはそう…………
この前の越冬時、このジャージを着て余りの寒さに凍えながら藁に包まり、暖を取りながらキャンバスに下塗りをしてました。
本当はイーゼルに立てて描くんですけれど、床に寝せて、自分も藁のベッドから手を伸ばして塗り塗り。
暖かい暖炉の前で座る老婆を描いていました。余りに寒かったので、出来るだけ暖炉は赤く、私も温まれるくらいの思いを込めてひたすら描きました。
きっとこのおばあさんは盲目で白パンが好きで、孫のように可愛がっている女の子の帰宅を待っているんだ、なんて考えながら描いてませんよ?
ただただ無心に描いているうちに、疲れてしまって、
「……疲れたんだ。なんだかとても眠いんだ」
などと言う感じの台詞を口にしながら、寝てしまったんです。かなり寒かったので、そのまま凍死しなくてよかった。今年はコートだけでなく、コタツが欲しいです。
気付いたらパレットの上に腹ばいになっており、ジャージが炎のように赤くなってしまったと言う話です。
この時、絵がダメにならなくてよかったです。
絵は無事に仕上がり、公募に出した所、「寒いならば手を出して温めたくなるような色」と言われ、評価されました。なんだかそれの副賞おかげで、優秀賞合同展に10点ほど出展依頼が来てます。すでに「よいの ゆきひめ」って言う名前で、雑誌やネットでちょっとしたイラストも描いてるんで。これでいずれ生計を立てるのです!
とにかく合同展までは、まだまだ時間があるので楽しく描いてます。
そうそう、今は絵の話ではなくて、この服装で人前に出られるのかって話。
この赤染めの服より、ネグリジェの方がマシな気がします。病気なのでと言えば信じてくれるでしょうし。でも淡いピンクで、結構フリフリ、スケスケなんですよね。
「く、黒に染めちゃおうかしら? その方がまだ透けないと思うし」
その暴挙に出る前に業者に電話して、ワンピを干してみようと思います。
来てくれるまでに乾くかもしれません。
そこでぱたっと止まります。
「どこに電話、かけよう?」
ネットで調べようとしましたが、この頃調子悪かったので、立ち上がらずフリーズしてしまいました。
ガラケの通話のみなので、これではネットは使えません。悪い事は続くモノですね。
「電話番号は110? ……じゃないよね。警察だし、117? えっと何番だろう?」
正解は104です、ですがその時の私にはわかりませんでした。
ちなみに117は時報です。
それで近くにあった棚をひっくり返していたら、役場の紙が出てきたのです。
「や、役場の人なら、ガスとか水道とか、何処に連絡すればいいかぐらい知ってるはず」
そう思い、電話をかけてみます。
『こんにちわ、お待たせいたしました。うろな町役場、住民課、榊です』
朗らかでとても誠実そうな男性の声です。きっと怒らず答えて下さりそうです。
「あのですね、家のお風呂のガスと井戸の配管とモーターが壊れてしまって。でも引っ越してきてそんなの頼んだ事ないので、どこに修理を頼んだらいいかわからなくて。教えていただけませんか?」
『え、ええっと……たぶん『うろな工務店』でガスも配管も一緒に見てもらえると思いますけれど。一応、お住まいの地区は?』
「森の中……」
『え、森?』
「森の……どこだろう?」
『ああ、森と言うと、北ですね、一応確認しますので、少々お待ちください』
こうして無事に教えてもらえました。
シュウ様の「『うろな町』発展記録」より、
うろな町役場、住民課、榊さんお借りしました。
感じが違ったりダメだったらお知らせください。
うーん、いずれユキを商店街に行かせたいけれど、電車に乗らないとかしら?
何処駅が商店街に近いのでしょうねー?
後、文具屋、工務店系営んでいる方がいなければ作っちゃいますけれど。
居たら教えて下さい。
他の方の作品を読んでますが、数が多くて追いつきません。