買物中です
遡って割り込み投稿です。
「司先生!」
「お、待たせたか? …………ユキ、なんだか疲れてないか?」
「い、いえ」
私は手にしていた地図をしまいます。
ばれたかな~
朝一からずっと電車や地下鉄に乗りまくって、確認しましたが、作った地図の配線などに大きな間違いはないようです。でもそんな事してたって言ったら、司先生が体を休ませろと言ってお買いもの中止しそうなので、言いません。
だって司先生と会ってお買い物するのが楽しみ過ぎて、家でじっと待っていられなかったんだもの。
司先生はちょっと私の様子を窺いながらも、
「何を買う? モールは大抵の物が揃うぞ?」
「えっと、えっと、色々見たいです。服とか寝間着、小物とか、えっと……下着とか、も」
「そうか、女の子なのに、いろいろ我慢していたんだものな。軍資金は心配せんでいいとタカさんも言っていたし」
「わ、私もちゃんと持っているのに、タカおじ様、いつも大丈夫かって」
「娘を持つのは初めてだから、嬉しいのさ。使わせてやるのが親孝行だ。無駄遣いしているわけでもないだろう?」
今日の交通費は無駄遣いだったかな? でも変なのは、よいの ゆきひめ の名前を出す以上、出せないから。取材費は惜しんじゃいけない。よね。清水先生に恥かかせてはいけないし。
「小雨が落ち出したから。入ろう。モール内は傘も要らないから」
「はい」
「でも、その傘は?」
「賀川さんが晴れ雨兼用の傘を買ってくれたんです。あ、司先生も日傘買ったらどうですか? これから日焼けも気になる時期ですし。それに司先生、今日みたいな、シンプルな服も良いですけど、可愛い服も似合いそうです」
「私の買い物に来たんじゃないぞ?」
「えーこれから夏だし、いろんなモノが要りますよ。清水先生とのお出かけもあるだろうし」
「あ、あああ、あいつとの外出ならジャージで……」
「そんなわけにはいかないでしょう? さ、先生早く見に行きましょう。そう言えばお昼ご飯は食べました?」
先生のお仕事が午前だけだったから、今は一時。ご飯の話をした途端、司先生と顔を見合わせて、二人で笑います。
「まずは腹ごしらえだな」
二人で食事して、買い物して。今日使いたいモノ以外は、宅配にしてもらいました。
楽しかったです。
今度のお祭りにつける髪飾りも買いましたよ。
梅と雪のイメージ。密かに清水先生の水のイメージも込めて。だって言ったら、司先生、照れてきっと買うって言ってくれないから。
「あの、帰りに病院に寄って帰ります」
「薬を取りに行くのか、付き合おう」
「それもあるんですけど、行く前にロッカーに寄っていいですか?」
「ん?」
私は交通網を調べる時に、病院の最寄駅に当たるうろな新田に荷物を置いて来たのです。到着して荷物を取り出すと、司先生は少し怪訝そうにしながら、B3が入る大き目なプラバックを見ています。
待ち合わせは東うろなでしたから。
「いつの間にここに置きに来たんだ? 」
「えっと、えっと」
「なんだ、ユキ、私に隠し事をするのか?」
「……朝から路線を調べにあちこち出かけて。地図に誤差があり過ぎるといけないでしょう? 清水先生が進めてくれたお話にミスがあってはいけないから」
小さい体ですが、威厳のある司先生がじっと私を見やります。
「ユキ、プロなんだな。それなら自分の体もちゃんと管理するんだ。いいな」
私は素直にこくんと頷きます。
「しかし中身は何だ?」
「こないだ病院に会った子に絵を描いてあげたくて」
「あ」
司先生の目が見開かれます。
「これ、萌、じゃないか?」
「あ、そうか、うろなに中学は1つしかないから、先生知っているんですね。うろな中、制服、どんなのか聞けばよかったなぁ」
「このレトロな制服は確か、八つ葉じゃないか?」
「私の最後に行った中学の制服なんです。知っているんですか?」
「知ってるも何も、超が付くほどの有名進学校じゃないか!」
「そうなんですか? 母が私学の方がお金があれば入りやすいって……彼女が早く治って、学校行ければいいなって思って」
「そうか、萌もきっと喜ぶな」
司先生の声に私も嬉しくなりながら、病院に向かいます。
あげるととても喜んでくれました。
「萌、お姉さんと一緒の中学の制服着せてもらっちゃった」
「かわいいぞ」
「今度は本当の制服が着れるといいね」
そう言うと彼女は笑って、司先生もすごく良い笑顔でした。
けれど、彼女の病室を出て、薬をもらう前に検査したのです。そしたら少々疲れもあってか、肝臓やらの数値が悪いから気を付けるように言われました。ので、司先生に怒られて、連絡を受けたタカおじ様から明日は一日寝てる様に言われました。
ぐすん。
YL様より、梅原先生、萌ちゃん、(清水先生の名前だけ)お借りいたしました。
うろな中の制服設定がわからなかったので、ユキの昔の制服を真似た事にしました。
更に萌ちゃん、短めの髪にしました、もし問題があればお知らせください。