分からせてくれるから。 <with 水城の士官先生>
前回に引き続き今回も深沢義龍さんと赤峰さんが登場します。
七日目、昼。
最近学校を休んでばかりのような気がする。
それは多分軍人さんと深沢さんのせいだ。
「……赤峰と喧嘩したんだ…………」
と涙声で告げられた昨晩、私はどう反応していいかわからなかった。
そして今現在、
「…………はあ……赤峰……」
ソファで体操座りをして、深沢さんは沈んでいらっしゃいます。
軍人さんはというと、勤勉なのか暇人なのかわからないが、泊まってもらっている部屋で電子辞書を片手に新聞を読んでいる(らしい)。
「私は赤峰ともう逢えないのかな……」
ぐすん。
…………ってぇえぇえ?!
「あかね……もう一度逢いたい……」
泣いてる!?
泣いてますよこの方?!
「あの、ティッシュいりますか?」
そして不意に近づいてしまった私も馬鹿だった。
「あか、ね…………」
涙で真っ赤になった目で私を見上げて、抱き枕のように抱きつかれた。
私のお腹のあたりに顔を埋めて泣いていらっしゃる。
「ああああの、ふかざわさんん?」
ぎゅうぎゅう抱きつかれて、為すすべもない私は、とりあえず深沢さんの頭を撫でておくことにした。
「…………って苦しい!」
軍人の馬鹿力で抱きすくめられる私の身にもなってください。
「義龍……………………?」
そのとき。
すごくドスの効いた声。
その場にいた一同(といっても私と深沢さんしかいないけれど)の体感温度が三度ほど下がりました。
「義龍ってそんな人だったんだ…………」
私の背後で聞こえる、迫力のある声。
女性の声だ。
私はそろそろと後ろを向いた。
すると、そこには宙に浮いた金髪碧眼の女の子がいた。
「あ、赤峰!? これはその、その……違うんだ信じてくれ!」
深沢さんが((((;゜Д゜))))ガクブルしていらっしゃるんですが。
するとその赤峰と呼ばれた女の子は綺麗な顔を歪ませると、
「義、龍なんか、大、嫌い」
大粒の涙をこぼした。
「待ってくれ赤峰」
赤峰さんは声を震わせながら呟いた。
「……私は義龍に謝りに来たのに。義龍はこっちでほかの子と仲良くなって。……義龍はもともとこっちの人だもんね、北皇より日本がいいに決まってるよね、どうせ赤峰より金剛が好きなんでしょ」
金剛って誰だ。
ってことはさておき、赤峰さんはぶつぶつと呟いて、ソファに座って足を組んだ。
この二人好き合ってるんだ。
「…………深沢さん」
こそっと言うと、深沢さんはちらりと横目で私を見た。
「ちゃんと謝るべきですよ」
深沢さんは、首を振ると、赤峰さんの右手を見た。
「ああなってるとき、下手に刺激すると殺される」
赤峰さんの右手は、柄にかかっている。抜刀体制だ……。
深沢さんは腕を組んで、小さくため息をついた。
赤峰さんの表情を伺うと……、こっちも泣きそうなんですけど。
私、板挟みになってる?
「でも、ちゃんと伝えなきゃ、駄目ですよ」
この一日二日、深沢さんの口から出る固有名詞といえば、赤峰という女性名が圧倒的に多かったのだから。
二人は想い合ってるのに、どうしてこう……すれ違ったりするんだろう。
「…………私はもう帰るよ。邪魔してごめんね義龍」
そう言って立ち上がった赤峰さんは、確かに泣きそうに歪んでいて。
どうしよう。
どうしよう。
動揺している私を尻目に、赤峰さんはどんどん薄くなっていって。
「まってください!」
咄嗟に、赤峰さんの腕を掴んでいた。
「駄目です、赤峰さん」
「私は赤峰だよ」
上から蒼眼で見下ろされる。
「……赤峰さん。深沢さんはずっと―――
「待ってくれ佐和くん。私が言うよ」
深沢さんは私の手首を掴んで、そっと赤峰さんから離した。
「赤峰、ごめんな。私も悪かったよ」
深沢さんは赤峰さんを見上げて、優しく言った。
「あの日は私も苛々してたんだ。八つ当たりだった」
「義龍……?」
赤峰さんは薄くなったまま地面に立った。
「大人気ないな、私は。ごめん」
自嘲するように笑って、深沢さんは赤峰さんの頭を撫でた。
「逢いたかった」
赤峰さんは、ちょっとだけ複雑な顔をした。
「逢いたかった」
深澤さんは繰り返した。
「逢いたかったよ、……赤峰」
「義、龍」
赤峰さんは泣きそうになって――、深澤さんの次のこの言葉で、
「帰ろう、赤峰」
ふわりと綺麗に笑った。
「うん」
「佐和くん、この二日間、楽しかったよ」
「義龍、この子と浮気したの?」
「してないって。何抜刀体制になってるんだよ」
二人は薄れていった。
少しだけ静かになった、静寂が訪れた、七日目。
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(☆∀☆)キラッ
作者:はーいはろーこんにちはー。蒼龍ですー。
今回は原作者:水城の士官先生のお言葉で、ちょっとだけ校生です。(12月10日現在)
義龍さんと赤峰さんは帰っていきました!
千早:私今回あんまり喋ってないよ。
作者:ザシャに至っては一言も喋ってないね!
千早:今回は義龍×赤峰回だったんですよね。
作者:先に詫びておく。すまなかった。
赤峰さんをツン→デレにしたかったんだ。
千早:喧嘩の理由は、
赤峰:義隆が輝野たちとでれでれしてやらしい顔してた
義龍:赤峰が北村の手から「はい、あーん」で菓子をもらっていた
千早:だそうです。
作者:勝手に設定です☆ミ
水城の士官先生三度にわたってどうもありがとうございました!
ザシャ:次は雨の日のおはなしだよーん。
作者:お前もはや誰かわからないよ……。