距離があることを実感させて
十四日目。
いつもより三十分早く起きた。
寒い部屋を出て、暖かいであろうキッチンへ向かう。
そこは予想通り暖かくて、少しだけ癒された。
できるだけ音を立てないようにしながらご飯を作る。
ひとりきりで食べるご飯は、なんだか味気なかった。
「いってきます……」
返事はない。
そっと家を出た。
今から歩いて学校に行っても、すごく早い時間に着いてしまう。
これからどうしよう。
「へー。それで?」
「それで、って?」
学校で、友達の早蕨初音に今の心境を話す。
彼女は私の方を向いて、ぼけっと話を聞いてたみたいだったけど、いきなりそう切り返されてなんて答えたらいいかわからない。
「だから、その人が女の子の写真持ってて、千早はどう思ったの?」
どう、って言われても。
「嬉しかったわけ?」
「……ううん」
半ばキレ気味に言われて、そういえば私はあまり嬉しくはなかったと思った。
「でも、恋人には逢えないかもしれないから、可哀想だって」
「それだけ?」
は? みたいな表情されても……。
「…………かも」
肯定すると、初音は眉をつり上げた。
「もやっとしたり嫌だなあって思ったりはないわけ?」
「…………そんなの、私が思っていいはずないじゃん」
「肯定したね、やっと」
にやっと笑う初音。何を?
「千早はその人が好きなんだね」
「違うよ、何言ってるの?」
私は軍人さんのあの世間知らずなところは好きだけれど、大半は嫌いに入るし。
「好きなんだよきっと。だから女の子の写真で過敏に反応するんだって」
「違うよ、多分。そういう風に思えてなかっただけなんだって」
「そういう風?」
「女の子と親しくしたり、恋人がいたり、って思ってなかった。むしろ男だと思ってなかったかも」
自嘲気味に笑うと、初音は私の肩を掴んでがくがくと揺さぶった。
目が回る……。
「じゃあ今は男の人だと思ってるんだね。よかったね自覚できて」
なんでそうなる。
軍人さんが男だろうが女だろうが恋人がいますって言われたらショックですよ。うん。
きっとそれだけだ。
家に帰る途中、朝を思い出していた。
軍人さん起こさずに行っちゃったけど、怒ったりとか無いよね。よね……?
そっとドアを開けると、昨日と同じように軍人さんがTVの前で、今度は制服をアイロンがけしていた。
靴を脱ぐ音に気づいたのか、軍人さんの足音が近づく。
「おかえり。今日は随分早起きだったんだね」
「あ、まあ……そうですね。ただいま帰りました」
穏やかな声音が上から降ってくる。少しだけ安心して、微笑む。……と。
なんか昨日とは違う女性の写真があるんですけど!?
「随分お友達が多いんですね、もてもてですね軍人さん」
なんかむかついて嫌味っぽく言ってしまった。
しまった。これじゃ昨日と同じだ。
びこーず作者VS登場人物あとがきこーなー(*´д`*)
作者:こんばんは。作者です。頭が痛くて熱っぽいです。
ザシャ:免疫力ないとか笑えるね作者。
作者:か弱いと言って欲しいな。
ザシャ:うん。それでも頑張って書いたんだよね、えらいえらい。
作者:ありがとう……ってなんか子供扱いされてるし!
ザシャ:いいじゃない。
作者:まあいいけど。次回はもっと酷い目にあいます。
ザシャ:作者が風邪をぶり返したみたいだから、今日はこれにてドロン(笑。




