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巻き込まれた魔法使い  作者: 白銀
第一章旅立ち
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第7話外出

―――翌日―――


~幸助side~



~朝だぞ起きろ。起きなけれb「ガン」……~


俺は昨日セットした目覚まし時計のアラームを叩き壊す程の勢いで止めた。現在の時刻は……


3時55分


「………………………………あぁ、『バイト』の時間にしたままだった。」


俺は半分寝ぼけたまま呟いてみる。俺が言った『バイト』っていうのは引き籠っていた中学2年、だいたい14歳ぐらいの時に、夜中に家を抜け出して近所の公園で『魔法』の練習をしようと公園に行ったとき、

たまたま知り合った狂科学者マッドサイエンティストの女性と出会ったんだよ。なんでも研究に行き詰ったとかで息抜きがてら此処に来たらしい、まぁ本当かどうか知らないけどね。んでまぁその人と一緒に話したり愚痴を言ったりしていたら、なんだっけ?……何かは忘れたけど俺が言ったことが助言になって研究が進んだそうだ。

んでその日から結構合うようになったんだよ。そいでなんか「助手してみない?」っていう軽いノリで『バイト』に誘われたんだよね。うん、『バイト』の時間は結構フリーだったんだけどその狂科学者マッドサイエンティストの女性は研究に没頭するとご飯を食べないから困るんだよなぁ。前は餓死寸前までいったんだよなぁ~。

で、ほっとけないじゃん。だから俺は朝早く起きてご飯作りに行っていたりするんだよね。……そういやご飯大丈夫ちゃんと食べてるかなぁ。また栄養剤で済ませようとしてないかなぁ。あ~、心配になってきた。一応彼女マッドサイエンティストが創った学習自立型女性アンドロイド『アンジェリカ』さんに毎朝夕はご飯を食べさせてあげるように言ってきたから大丈夫、だよな。

…………考えたって仕方がないか。あ!ちなみにさっきの目覚まし時計は狂科学者マッドサイエンティストの餞別でもらった。アラームの声は狂科学者マッドサイエンティストの音声だったりする。

俺はベットから這い出て『魔力』を使い空中に光の魔法陣を書き、俺が作った亜空間と繋げる。亜空間から下着と作務衣を引っ張り出した後魔法陣を霧散させる。俺は今着ているジャージと下着を亜空間の中に放り込み、新しく出した下着と作務衣を着る。


「あぁ~、今日どうしよ。」


合格発表は明日だし特にすることが無いんだよなぁ。二度寝……いや、そこら辺をぶらぶらするか。それとも『魔法』の研究と勉強でもしていようか。……『気』の修行か?いやないな。第一それなりのスペースがあるところじゃないと出来ないし、人目があったら何言われるかわかんないしな。ふむ、……そこら辺をぶらつくか。

俺は今日1日ぶらつくための準備をするために、鞄から携帯とPSPを取り出し机に置く。そして空中に光の魔法陣を書き亜空間と繋げる。亜空間からベルトにつける紺色のポーチと下駄を取り出し魔法陣を霧散させる。机の上から携帯とPSPと元から置いていた財布と腕時計を取り、携帯と財布とPSPをポーチに押し込み、腕時計を付ける。

後はベットを簡単に整え鞄を机の上に置き部屋を出る。


「ふぁああ。」


欠伸をしながら外を見る。外はまだ日が出ていなく薄暗い、微妙に霧が出ているように見えなくもない、朝靄か?そんなことを思いながら階段横のトイレに入り、用を済ませて下に降りる。リビングのところまで歩いていき中に入る。中にはだれもおらず少し薄暗かった。俺はカウンターの横にある『みんなの予定表』というホワイトボードに……


≪散歩、朝昼抜きで、夕方6時ぐらいに帰ります。 by幸助≫


と書いた紙を張り付ける。うん、これで良しっと、んじゃ行くとしますかね。俺はリビングを出て玄関に行き手に持っていた下駄を履き戸をあけて


「行ってきま~す。」


そう言って外に出る。



~side out~



~八千草side~



私は物音がして目が覚めた。…………どうやら隣の部屋から聞こえてくるみたいだ。隣の部屋は確か空き部屋のはず。


「泥棒……。」


と思ったがそういえば昨日来た受験生の仮部屋にしているんだったと思い出す。


「眠い……。」


時計を見てみるとまだ4時だった。……受験生、いや幸助だったっけ。幸助はこんな時間に何をしているんだろう。昨日見た幸助の印象からとても早起きのような感じはしなかった。むしろ1日中寝ている感じだった。

寝癖のついた黒髪に、眠そうに閉じかけたゆるんだ瞳、覇気のかけらもない万年やる気のなさそうな雰囲気、これが幸助の第一印象だ。それに昨日は人生を掛けた受験日だったはず。普通の15歳の少年なら緊張解けてまだ眠っている時間だ。自分も中学入試翌日は昼間で寝ていたことがあるから。

そう考えていると隣の部屋の扉が開いて多分幸助が出てきた。


ふぁああ。


うん、この声は幸助だ。何をしに行くんだろう?疑問に思うと思考が止まらなくなる。気になって気になって仕方が無くなってくる。………私も起きて下に行こう。結局私は好奇心に負けて付いていくことにした。

私はベットから出てクローゼットの戸を開ける。中から久留間高校2年の制服を取る。久留間高校2年の制服は白と水色のツートンカラーのワンピースで、その上に2年生の証の赤いスカーフを巻いているものだ。余談だけど、高校に上がったら私服登校ができるから半分ぐらいの人しかこの制服は着いない無かったりする。……だれに言っているんだろ?

そう疑問に思いながらも着替える。もし見つかっても制服なら適当に誤魔化せると思う。……たぶん。着替え終わると携帯と財布が入った革鞄を持ち廊下に出る。すると階段の方から水を流す音が聞こえてきた。おそらくトイレに行ったのかな?その後階段を下りる音がしたので足音がしないように忍び足で廊下を渡り階段を下りる。すると、幸助がリビングから出てきた。

私は慌てて階段の影に隠れる。何をしてたんだろう?そう疑問に思っていると……


「行ってきま~す。」


と幸助が言い玄関から外に出て行く。一瞬バレたのかと思ったけど、どうやら違ったみたい。私は幸助の後を追うように玄関に行き靴を履き外に出る。……この辺りは寮街で周囲の建物はすべて寮だ。ところどころに寮の部屋の電気がついているだけで辺りは薄暗かった。私は周囲を見渡し幸助を探した。が、幸助はいなかった。まるで煙のように消えていた。

周囲には足音ひとつ聞こえない静まり返った街だけだった。



~side out~



~リビングside~


「――ということ……。」


と八千草が今朝あったことを皆に説明している。


「へぇ、消えていた、ねぇ。」


と神成は胡散臭そうに八千草を見る。正直言って此処にいる神成、鬼崎、亜須香は、八千草の語ったことについては半信半疑だった。それもそのはず、此処に住んでいる者全員が幸助の第一印象は八千草のと同じ様なものなのだ。


「本当……。」


と少し怒ったような表情を出しながら八千草は言う。


「あら?杏奈ちゃん怒った?」


と驚いたように亜須香は言う。


「少し……。それが?……。」


と小首を傾げながら亜須香に問う杏奈。


「ちょっとね。杏奈ちゃんが感情を表に出すのってなかなかないから驚いちゃって。」


と亜須香は言う。


「そう……。」


と言い何やら思案顔になる八千草。


「ふむ、ということは6時まで帰ってこないということか。」


と残念そうに鬼崎は言う。


「なんで残念そうなのよ。」


と面白くなさそうに神成が言う。


「いや、ここら辺にはガンランサーはいないのでな。せめてギルドカードくらい交換しときたかったのだよ。」


と鬼崎はPSP片手に言う。


「あっそ。」


と神成はそっけなく言う。


「はいはい、まだ言いたいことはあるだろうけどあなた達は学校でしょ。早く行かないと遅刻するわよ。」


と時計を指さしながら亜須香は言う。


「行ってきます……。」


と既に部屋から出ていた八千草が言う。


「では、行ってくる。」


「はぁ、仕方がない、じゃあ行ってきますね。亜須香さん。」


と言い鞄を手に部屋から出て行く2人。


「行ってらっしゃい。…………さて、掃除をしましょうかね。」


と言い掃除道具を取ろうと席を立つが、ふっ、っと横を見る。そこには『みんなの予定表』とそこに張られた1枚の紙があった。


「……幸助さんは一体何者なんでしょうね。」


と亜須香はどこか遠くを見て呟いた。


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