第5話亜須香寮
~幸助side~
―――試験会場前―――
「ふぁああ、やっと終わったぁ~。」
俺はあの後、試験会場に着き試験を受けてきた。試験内容は5教科と自己PRの作文だった。……ってか5教科の試験内容が凄かった。中学校の問題が最初の1、2問で後の問題は高校の難問。しかも最後の3問ぐらいは大学ぐらいのレベルだったからな。
もうなんのイジメ?って思うぐらいだったからな。まぁ、ほとんど解けたんだけどね。いやぁ~まさか『魔法』のために勉強していたのが試験で役に立つとは思わなかったよ。うん、やっててよかったよ。あと、作文についてはまぁまぁの出来だったから駄文ではないと思う。
可もなく不可もない、妥協の作文だったな。
試験が終わると監督の先生から……
「知っている通り、合格発表までの2日間は指定の寮に泊まるように。その間は問題を起こさなければ好きにして構わない。」
とのこと。表の理由としては受験者の数が多いので時間がいる。と言うことらしい。真祓さんから聞いた話では試験を受けに来たほとんどの生徒は書類審査で合格しているそうだ。裏で何をやってんのかは知らん。
んで合格発表のあと、各生徒に『超能力』が芽生えている。または、芽生える可能性がある生徒とそうでない生徒を教室別に分けるそうだ。『超能力』に芽生えている。または、芽生える可能性がある人は先の試験で分かるそうだ。仕組みは知らんがな。まぁ『平凡』の俺は普通のクラスだろうけどな。
……あ~眠ぃ~
俺は監督の先生からもらった寮までの地図を片手に道を歩いている。もう夕方で7時が寮の門限だそうだ。門限を超えると絶対に中に入れてくれないらしい。俺は時計を見る。
4時37分
……微妙だな。まぁ微妙な時間でもまだ時間には余裕がある。俺はのんびりした足取りで寮に向かう。
―――亜須香寮―――
「……ここ、だよな。」
俺は地図を再確認する。
……確かに此処だ。
俺の目の前にある寮は普通の2階建てのマンションみたいな寮だ。まぁそれだけならよかったんだけど中から複数の女の子の姦しい声が……
「……あれ、俺の耳は腐ってんのかな?凄い厄介そうな姦しい声が。いかんな今度耳鼻科にいかんと。さて今度こそ寮はどこかな?」
俺は地図を再々確認する。と地図を持っている手の裏に何か書いてあるのが分かった。そこには……
≪PS:寮は元女子寮で女の子が大半だけど頑張って(笑)男は君を入れて3人ほどだから協力し合ってね。 by真祓強哉≫
俺は目を擦りもう1度書かれている言葉を見る。そして玄関の上にかかっている寮の看板を見る。
≪亜須香 寮≫
空白のところに目を凝らしてみてみると薄らと『何か』があった跡が見える。それを踏まえもう1度見る。
≪亜須香女子寮≫
……マジかよ。orz
ま、まぁ決まっちまったのはしょうがない。しょうがないんだ!俺は心の中で言い聞かせながら門の脇にあるインターホンを押す。
~ぴんぽ~ん~
俺がチャイムを押したら、中から聞こえた声は小さくなり代わりに、ばたばたと足音が聞こえてきた。その足音は玄関の向こう側に着いてドアの鍵を開け開く。
出てきたのは身長170㎝ぐらいの成人女性。おそらく寮母さんかな。巫女さんのような服を着ていてその上に白いエプロンを着ている。腰辺りまである茶髪を後ろに流している。
「あら?え~っと。どちら様でしょうか?」
と寮母さん(仮)が聞いてきた。
「あ~、たぶん此処に泊まることになっている受験生です。」
と言うと寮母さん(仮)が、あ~っと何やら納得したように頷き……
「確かに今日はいることになっていますよ。じゃあ上がってください。」
「んじゃ、お邪魔します。」
と言い俺は玄関に入り靴を脱ぎ玄関に上がる。
「じゃあ御部屋に案内しますね。着いてきてください。」
と言い寮母さん(仮)は先に行く。俺は寮母さん(仮)の後を追いながら周囲を見てみる。
玄関は寮の右端にあり、だいたい成人男性が3人ぐらいが並べれるスペースがある。廊下も大体そんな感じだ。右端だから右側には窓が幾つかあって、左側には扉が幾つかある。
そのまま廊下を進み突き当りを左に向くと人2人が何もせずにすれ違えるぐらいのスペースがある階段があった。寮母さん(仮)が階段を上ろうとしたとき、寮母さん(仮)がこちらを振り向き……
「あら、そういえば自己紹介していなかったわね。私はこの寮の管理人兼寮母の亜須香高麗というものです。しばらくの間宜しくお願いしますね。」
と言う。……寮母さんであってたんだな。
「俺は受験生の真祓幸助です。こちらこそお願いします。」
と言い頭を下げる。まぁ頭を下げるのは世渡りの基本だからな。
「あぁ、いいですよ。そんなに畏まらなくても。もっとフレンドリーに行きましょうよ。さぁ、頭を上げてください。」
と言う寮母さんもとい亜須香さん。俺は頭を上げる。
「さぁ、行きましょうか。」
と言い階段を上っていく亜須香さん。俺はあわてて階段を上る。階段は一般の階段と比べると長いように感じる。だいたい1、5階ぐらい上る感じ。
2階に上がると最初に見えるのは此処(右端)から正面向こう側(左端)まで伸びる廊下だ。その廊下の右側に窓があって、左側に扉が幾つかある。亜須香さんは階段を上った後すぐ左の廊下を進む。
ふむ、この寮はだいたい長方形の形をしていて長方形の線の部分が廊下で線の内側が各部屋になっているってところか。
そんなことを考えているうちにおそらく寮の左端の部屋の前まで来ていた。
「ここが一応あなたの御部屋です。部屋は毎日掃除しているので綺麗だと思いますよ。」
と言い部屋の戸を開けて中を見せてくれる亜須香さん。部屋はだいたい縦の長方形の形をしている。戸が部屋の右底辺にあり戸から入って左側に、ベットが壁に沿うように鎮座してある。
此処から向こう側の壁には結構デカい学習机が設置されている。右側には壁と同化している箪笥と本棚があった。
「夕食は8時くらいなんで、その時間ぐらいに1階に降りてきてくださいね。他の寮のみんなにも自己紹介してもらうつもりだから。それまでは自由にしていて構わないわよ。トイレはさっき上がってきた階段の隣が2階トイレだから、それじゃあね。私はお夕飯の準備をしてくるから。」
と言い亜須香さんは来た道を小走りで去っていく。俺は床に鞄を降ろし中からノートを取ってベットに飛び乗る。……ふむ、なかなかの弾力だ。俺はしばらくベットで弾力を楽しんだ後、ベットの縁に腰掛けノートを開き『魔法』の研究と勉強を始める。
~side out~
~その頃の真祓side~
「ひぃ~~仕事がぁ~~書類がぁ~え?これ何の拷問!?」
校長室兼理事長室の執務机で真っ白い書類仕事と言う名の拷問を受けていた。
「僕1人じゃこんなの捌ききれないよぉ~」
真祓が言っている通り、この部屋には真祓1人しかいない。本当なら真祓が雇っている秘書が1人いるはずなのだがその秘書は現在、別の仕事のために此処にはいない。
「はぁ、まぁこれでも少ない方か……」
真祓がやっている仕事、それは『テスト解答』と言うもの。解答用紙を見てそれを書いた受験生が『超能力』が芽生えている。または、芽生える可能性がある者を見分けるというものだ。
「あ~、こっちは『普通科』っと、んでこっちが『超能力科』っと。」
真祓は『普通科』と言った解答用紙を左へ、『超能力科』と言った解答用紙を右へ置いていく。実際は『超能力科』はないが分かりやすく見分けるために真祓が勝手に言っているだけである。
「ん~この子は『超能力科』だね。さて次はっと、ん?へぇ~凄いなぁ」
真祓は一つの解答用紙を手に取りざっと解答用紙を見る。
「ふふふ、君は自分に才能が無いと言っていたけど。」
真祓は解答用紙を持ったまま1人呟く。
「本当に才能が無いんだったらこの解答は在りえないことだよ。だから君には才能がある。言うならば『努力の才能』。と言うのかな?」
と言い真祓はその解答用紙を右に置く。その解答用紙の名前の記入欄にはこう書いてあった。
≪真祓幸助≫と
~side out~
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