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巻き込まれた魔法使い  作者: 白銀
第二章砂漠の都
22/25

第22話買い物


「……服屋って、冒険者ワークなの?」


と俺は呟く。

俺達はあの後、普通に宿を出て外に出た。ちなみに言っとくが、ドアはまだ壊れたままだったから俺が魔術で直しといた。そういや直した時に店にオヤジがいなかったな。まぁいっか。

その後俺達は都市の各所に敷かれているメインストリートを歩いてリーディアが知っている服屋に歩いて行った。

あ、そうそう。リーディアは今は指輪の中に居てそこから案内してくれている。声は直接頭の中に語りかけている感じだ。学園島で何度か受けた所謂思念同調者テレパシーとか精神感応者サイコメトラーとかの声に似ているな。まぁ似ているだけでちょっと違うんだけどね。まぁ今はいいや。

そんな感じで案内通りに歩いてきてその建物を見た感想がさっきの言葉だ。

とそんなことを思いかえしていると。


(はい。冒険者ワークには何でもありますから服のついでに必要な物も買いましょう。)


(ん、ラジャ、ラジャ。)


俺はそう頭の中で返事をしながら俺はワークの中に入る。

あ~、相変わらずの人混みだな。なかなか前に進めねぇや。てか周囲からの視線が痛い。こりゃ早く買わんとな。

俺はそう思いながらワークの右側にあるショップに周りの人混みに流されながら歩いていく。

すると、リーディアが。


(そういえば御主人様は此処の通貨はお持ちになっているのですか?)


と聞いてきた。

そういや言うの省いてたな。


(うん。今日登録ついでに此処に来る途中で斃した魔物の素材を換金したからな。)


(そうなのですか。どのくらい持ってるんですか?)


(え~っと、宿代を払ったから今の所持金は64500Lだな。)


(64500Lですか。結構ありますね。)


(あ、やっぱり?)


(はい。それだけあれば十分必要な物を買えますよ。)


(ほいほい。)


と念話をしながら歩いていくとやっと人混みから抜けられた。

あ~人混みは疲れるなぁ。まったく、これだけは何処に言っても嫌なもんだぜ。

俺はそう思い、人が少ないところを選びながら歩きやっとショップに辿り着く。


(というより普通に歩いたら2分ぐらいで着けるのに10分ぐらいかかったよな。)


(まぁ人が多いですからね。それよりも、服を買いましょうよ。)


(ん、そうするかね。……あ、そうだ。リーディアも欲しいのがあったら言ってくれよ?何時までも布だけじゃ困るだろ?)


(え!////そ、そうですか。なら欲しい服があったら言いますので……。)


(ん、りょ~かい。)


とリーディアと念話で話した後俺はショップのドアを開けて中に入る。

ショップの中は大体コンビニと同じ構造で2倍ぐらいの広さがある。向かい側に剣とかの武器が樽や木箱や額縁?に入って置かれていて、コッチ側と右側に金属の鎧や盾が置かれている。中央には棚が幾つかあってその棚に布製や革製品の防具とナイフや火打石?なんかの旅の必需品が大量に置かれていた。んで入って直ぐの左側にカウンターがあって冒険者風の獣人が何かを買っている。

俺は他の展示されている商品を横目に中央の棚に向かう。

え~と、服、服。っと、あった、あった。さて、どれにするかな。

置かれている服や鎧の類を一通り見てみた結果。だいたい買う物は決まった。1つ目は材質不明のシンプルなカーキ色のTシャツとカーゴパンツ。多分材料は地球の麻とかそんなもんかな?まぁいいか。兎に角シンプルその上数が沢山あるから替えの心配もなさそうだな。ちなみに値段はシャツとズボンの1セットで30L程。なんかこの世界の物価が分からんな。まぁいっか。

2つ目は深草色で下の方に2本の黒いラインが縫い込めれているローブみたいだが多分マントだ。このマントはおそらく偶然だろうが縫い目の模様が俺が使っている魔法陣の形をしている模様があるんだよね、それも複数の魔法陣が重なっていて、重なっているところが違う魔法陣になっていたりするからなぁ。いやぁ~偶然って怖いね。このマントの値段は50L程。まぁこんなもんかね。

俺はシャツとズボンのセットを10セットとマント1着。それと革の指貫グローブ(40L)と見た目スキーゴーグルの防塵ゴーグル(ダイヤル式望遠魔術及び自動暗視付き:1500L)を入り口付近に置いてあった木製のバスケットの中に入れる。あ、そうそう服のサイズは『魔眼』で視て俺に合うのを選んだぜ。いやぁ~これって能力の無駄遣い?まぁいいか。


(さて、俺のはこれで良いとして、リーディア。何か買いたい服はあったか?)


(////は、はい。)


(んじゃ、その服買いますか。んで、何処にあるの?)


(////は、はい。えっと右から3番目の棚の一番上の服です。)


(ん、ラジャ、ラジャ。)


と返事をして俺はリーディアが言った棚に行く。

え~っと、3番目、3番目。……っとあった、あった。

俺は1番上にあった服を取る。

…………あれ?この服って、メイド服?

俺は目を擦りもう一度服を見てみる。

あ~うん、一般的な黒い服とスカートと白いエプロンのメイド服だわ。あ、カチューシャまであるわ。

俺はそう思いながら念話でリーディアに確認を取ってみる。


(リーディア。これでいいのか?)


(////は、はい。……いいですか?)


と前半は恥ずかしそうに後半は不安そうに言ってきた。

まぁ、本人がこれが良いって言ってるんだから別にいいか。

俺はメイド服(550L)をバスケットに入れる。


(さて、他に欲しい物はあるか?)


(い、いえ。私はこれの服で充分です。)


と焦ったように言っている。


(遠慮しないでいいんだぜ?)


(いえ。大丈夫です。)


(そう?んじゃこれでいっかな。)


(そうですね。御主人様は旅道具は持っているんですよね?)


(そりゃ、向こうの旅道具なら一式持ってるけどコッチの旅道具の必需品はないぞ。)


(えっと、方位羅針盤フラグメントは持ってますか?これがあれば後は食料と地図があれば最低限の旅はできますよ。)


(ふむ。方位羅針盤フラグメントって東西南北を示す物と解釈していいんだよな?)


(はい。その通りです。)


(それなら持ってるよ。)


方位磁石でいいよな。うん。


(そうですか。なら地図を買いますか?)


(いや、地図なら持ってる。てか覚えてる。)


(覚えているんですか!?)


(ああ、暇だったから宿のオヤジに頼んでここら一体の地図とこの周囲の大雑把な地図を見せてもらってな。その時に覚えた。)


(そ、そうなんですか。凄いですね。)


(まぁねぇ~。)


とそんなことを念話で話しながらレジ?に向かおうとすると。


ガシッ!!


とかなり強い力で足首を掴まれた。

あ~嫌な予感。というか面倒事の予感だな。

そんなことを思いながら俺は念話でリーディアと相談する。


(どうする?)


(どうする。とはどういうことです?)


(いや、後ろから俺の足首を掴んでる人をどうするか。っていうことでございますですよ。)


(私は御主人様が決めたことに従いますよ。)


と嬉しそうに言うリーディア。

……なにか嬉しい事でもあったのか?って今それは置いといて、この足首を掴んでる人をどうするかってことだよな。話しかけたら面倒なことになりそうだし、手を無理やり振り払ったら後味悪いし、う~ん。どうしよ。

といろいろどうするか考えていると。


「…………お腹減った…………でござる。」


という声が聞こえてきた。

まぁ大方声の主は足首を掴んでいる人なんだろうけど……ござる?なに、江戸時代から来た人か?

と思いながら後ろを振り返ると。


「……世界樹の侍?」


と思わずつぶやいてしまう。

いやだって格好がね、身に付けている衣服といえば胸に巻いてるサラシと薄汚れている蒼炎の刺繍がされている紅い袴、そんで下駄を履いている。背は俺と同じ180㎝ぐらい。髪は紅く、ポニーテールで足元まであり黒い縄?で蝶結びで結んでいる。腰には細身のロングソードを差している。差しているのは刀じゃないがこれを侍と言わずして何と呼ぶ。てかなんかエロい。

とそんなことを思いながら侍女さむらいおんなを眺めていると。


「……お腹減った……でござる……何か恵んでください……でござる。」


……はぁ、やっぱり面倒事か。てか「ごさる」って。いや、まぁ別にいいか。

そう思いながら俺はバスケットの取っ手を腕に通しその場にしゃがみ、『打神鞭』を取り出して侍女を突きながら。


「おい。しっかりしろ……大丈夫か?」


と俺が言うと。


「……お腹減った……でござる。」


……さて、どうする。って、何か食い物でもあげたら大丈夫か。

そう思いながら俺はポケットを探ってみる。

え~っと、何かあった気が……っとあった、あった。

俺はポケットから栄養満点だが味はいまいち、1本食ったら1日満腹。がキャッチコピーの形や大きさはソ○ジョイ並の俺特製の携帯食料を取り出し。


「ほれ、食うか?」


と言いながら侍女の口の近くに携帯食料を差し出す。

すると。


「ッ!!頂くでござる!!」


と言いながら素早く俺の左手ごと携帯食料を食べた。

……あ、手が食べられた。なんか俺の手を携帯食料と一緒に甘噛したり舐めたりしている。


「……って!うおぉぉぉぉい!!」


俺は急いで左手を侍女の口から引っ張り出す。が、遅かった。俺の左手は侍女の唾液でぬるぬるになっていた。


「むぐ、むぐ。」


侍女はそんなことは関係ない。とでも言う感じで未だに倒れたまま口の中にある携帯食料を食している。

うわぁ。ぬるぬるだよ。でもなんか……って何を考えているんだ!!俺は変態じゃねぞ!!ホントだぞ!!

そう思いながら俺はポケットからハンカチを取り出し手を拭く。


「もぐ、もぐ。ごくん。」


俺が手を拭き終った丁度に侍女も倒れたまま食べ終わったようだ。

俺は侍女の頭を『打神鞭』で突きながら。


「で、アンタ大丈夫か?」


と聞くと侍女はバッ!っと両手を付いて上半身を背筋で起こし瞬時に正座の姿勢になり。


「あ、はい。食べ物を恵んでくださりありがとうでござる。」


と言いながら頭を下げる。

侍女の顔はなんつうの典型的な日本人みたいな顔だ。少しやつれているけど大和撫子?っていう感じかな。瞳は深紅で、額に一本の角が生えてるからオーガかな?けど肌の色は肌色だな。うん?あ~訳分からん。だけど凄く可愛いね。う~ん、もしかしたら案外過去の日本人勇者の血を引いてるんじゃね?侍の格好してるし。


「ん、もう大丈夫そうだな。それじゃ。」


と言い俺は『打神鞭』を裾に仕舞い回れ右をしてレジへ向かう。

てか正直言って周りの目が痛いしこれ以上構っていると面倒なことになりそうだからな。もう早く買って帰りたいのよ。

だがしかし、世の中はそんなに甘くなかった。


ガシッ!!


っと結構な力で腕を胸に、脚を腰にまわして何かが俺の背中にしがみつく。なんかバックパックがへしゃげる感じがしたが、まぁ大丈夫だろうな。だって中身からだし。

まぁ何かって言ってるけど多分、おそらくいや、確実に侍女だろうなぁ。

と思いながら首を回して左肩を見ると。


「……(うるうる)」


と涙ぐんだ侍女が俺の肩に顎を付いて背中にしがみついていた。


「……えっと、何?」


「実は、拙者は武者修行の旅の途中に2日前にこの国に来たのでござるが、その時に置き引きに荷物を全部持って行かれてしまったのでござる。」


「……へぇ~、それは大変だったな。」


「大変だったでござる。お金もワークカードも取られたでござるからな。」


「そ、そうなのか。」


……何故それを俺に言う?


「拙者は一生懸命荷物を探したでござる。けど見つからなかったでござる。」


と悲しそうに顔を俯かせながら言っている侍女。

……どうしよ。てか今ショップの真ん中にいるから物凄く目立つんだよね。


「荷物を取られご飯も食べられなかった拙者に声を掛けご飯を分けてくださったのは貴殿だけでござる。本当に感謝にしているでござる。ありがとうでござる。」


「はぁ。そりゃまたどうも。」


……何でそれをしがみついたまま言うのかな?っていうかなんでしがみついてんの?


「見たところ貴殿は魔術師でござるな?」


と俺の持っているバスケットを指さしながら言う侍女。


「まぁそうだけど。それがどうした?」


と聞くと。

しがみついていた体勢を解いて俺の前に移動し。


「お願いでござる!拙者を雇ってくだされ!!」


と土下座をしてきた。

…………何故に。

そう思っているとさっきまで空気だったリーディアが。


(御主人様。この人はどうするんですか?)


と聞いてきた。

その間もこの侍女はずっと土下座の姿勢のまま固まっている。


(う~ん……。どうしよ。)


正直言ってどうしたらいいのか分からん。雇ったら雇ったで余計に『魔法陣』が使いづらくなりそうだし、雇わなかったら雇わなかったで罪悪感で押し潰されそうになりそうだし。


(あ゛あ゛~~どうしよ?)


(特によこしまな気配は感じないので、私はどっちを選んでも御主人様に従いますよ。)


と言ってくる。

う~~む。さてはてどうしたものか。


(…………むむむ、うっし。決めた。この人雇うぞ!)


(そうですか。理由を聞いてもよろしいですか?)


とちょっと嬉しそうに答えるリーディア。

……何が嬉しいんだろう?


(理由か?理由は2つ。まず1つ目は俺は魔法使いだから基本的に遠距離からの魔法攻撃が得意だからだ。その分近距離での戦闘にはちょっとした難があるんだよ。まぁ近距離戦闘もできるけど敵を欺くためにも近距離の人材はいた方がいいだろう、という判断だ。)


(そうですか。それでは2つ目は何ですか?)


(2つ目か?それは俺がお人よしだからだ。……まぁ、単にここで断ったら俺が罪悪感で押し潰されそうだったからだな。)


と最後はできるだけ小さな声で言う。


(クスクス、そうですか。分かりました。私は御主人様に従いますよ。)


と嬉しそうに言うリーディア。

……だから何で嬉しそうなんだ!

と思いながら俺は侍女に向かって。


「あ~、まぁ、顔を上げてくれ。ていうか立ってくれ。」


と言う。

侍女は俺の言葉を聞くと恐る恐るといった感じで立ち上がる。


(えっと、なんて言ったらいいのかね。)


(普通に思っていることを言ったんでいいんじゃないですか?)


(む~、普通にねぇ。)


(はい。)


(む~……そういや此処の世界の平均的な護衛の賃金ってどれぐらいなのか知ってる?)


(えっと、平均的なのかは知りませんが多分大銅貨5枚、およそ500Lだと思います。)


(ふ~ん、それって月々?)


(いえ、護衛の本分は雇い主を敵から護ることですから護衛が戦ったらその戦闘の回数分の賃金を払う。という感じです。)


(ふ~ん、なるほどねぇ。)


とリーディアに相談しながら何と言うか決めていると。


「拙者は何でもするでござる。だからお願いでござる。雇ってくだされ!」


と言ってまた土下座の体勢になろうとした。

……はぁ、だから何で土下座するのかねぇ。

と思いながら俺は侍女の腕を掴み引き上げて土下座を中断させて。


「いいか。俺の言うことはちゃんと聞くこと。俺を守ること。それから何より自分の身を守ること。これが守れるなら銀貨1枚で雇う。どうだ?」


と言い手を離す。

侍女は一瞬何を言われたのか分からなかったようでポカンっとしていたがすぐに我に返り。


「わ、分かったでござる!拙者の全力で貴殿を……主様を御守致すでござる!!」


と言った後、倒れるように抱き着いてきた。

って、うぉい!


「お前何も抱き着く必よ……。」


抱き着く必要ねぇだろ!と言おうとしたが止めた。いや、だってよぉ。これは言えないぜ?

俺は自分に抱き着いて肩に顎を乗せている先ほど護衛になった侍女の顔を見る。


「スー、スー、スー……―――」


と安心しきった顔で寝息を立てて寝ている。


(ふむ、よっぽど疲れていたのか、雇ってくれた安心感で寝てしまったのかね。まったくどっちの理由にしろ俺を悪人と思わないのかね?)


(クスクス、御主人様の隣は安心できますからね。その気持ちは私にも分かりますよ。)


と嬉しそうに言うリーディア。

ふむ、そうなのかね。まぁいっか。

と思った後俺はある重要なことを思いだす。


「…………あれ?もしかして俺が運ぶのか?」


片手にバスケットを持ち、右肩で侍女を支えている状態で俺はどうするか苦悩する。

それよりも男性店員の嫉妬を大量に含んだ視線が痛いんだけどね。



新年明けましておめでとう御座います。


今年もよろしくお願いいたします。


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