第21話見た目
「いや、御主人様はちょ―」
「御主人様♪」
「いやだからね―」
「御主人様♪」
「あの―」
「御主人様♪」
………………………………………まさかのyesを選ばないと先に進まない類の無限ループか。orz
と肩を落とし落ち込んでいると。
「御主人様?」
と言い心配そうに顔を覗いているリーディアスさん。
……はぁ、まぁ可愛い女性からそう呼ばれるのは嬉しいしな。まっいっか。
ん~でも最低限の抵抗はしとかんとな。俺は見上げているリーディアスさんに。
「リーディアスさん。せめてさっきまで言っていた幸助様って呼んでください。」
それなら地球でアンジェリカさんに言われまくっていて慣れているからな。
だがリーディアスさんは速答で。
「いやです。私は御主人様のことは御主人様とお呼びしたいのです。それよりも、御主人様こそ私のことは呼び捨てで呼んでください。」
「うぇ!?それは関係な―」
「なくありません!私のことは呼び捨てにしてください!」
と真剣に言ってくる…上目使いで。
…………………はぁ、仕方ないか。これ以上抵抗しても意見は変わりそうにないしな。
「はぁ、降参だ。御主人様でいいよ。あと、君のことはリーディアって呼ぶことにするぞ。それで敬語でもいいから砕けた感じで接してくれ。それでいいか?」
と言うとパァ!と輝くような笑顔を浮かべて。
「はい。今後とも宜しくお願いします。御主人様♪」
と嬉しそうに言う。
はぁ、まぁ仕方ないよな。うっし、んじゃこれからどうするか決めんとな。
俺はリーディアスさん改めリーディアを向かいのソファに座らし俺もソファに座る。
「さて、これからどうする?」
ちなみに今の時刻は3時過ぎだ。
「そうですね。私としては御主人様の服装を改めて欲しいというぐらいですね。」
「…………そんなに怪しいかな?」
結構似合っていると思うんだけどなぁ。この戦闘服。
「御主人様が着ているその服は御主人様がいた世界の服なんでしょう?私たちから見たら違和感がしてすごく怪しく見えるんです。」
「ふ~む、そうか。」
そうだよなぁ~。でもなぁ~。俺はこれ以外の服っていったら作務衣(半袖)とジャージ(長袖)と学園の制服と白衣とかの実験服と数十着の戦闘服しかないしなぁ。
「それに、御主人様が腰に差しているその刀?ですか。それもこの世界では見ない形状ですから物凄く目立ちますよ。」
「そう?けどこれは『水系統』の魔法の増幅ができるものだから持ってたいんだよねぇ。」
「そうですか…………そういえば、先ほどのお話では剣を入手したら形が変わり刀になったと仰いましたよね?」
「ん。まぁそうだけど。」
「ちょっと刀を見せてもらってもいいですか?」
「ん。まぁいいけど。」
と言い俺は腰から刀を鞘ごと抜きリーディアに渡す。
リーディアは刀を両手で受け取ると、じ~っと刀を眺めている。しばらくして顔あげたリーディアが俺に。
「御主人様。この聖刀は所有者の望む形へと変形するみたいですね。」
と言った。
「あれ?眺めただけでそんなことが分かるのか?」
「はい、私は派生精霊とはいっても土精霊なので鉱物を主とした物に関してはある程度干渉できるんですよ。」
「ほほぉ、そうなのか。……ってことはこの刀は俺が望めば好きな形にできる。ってことでいいんだよな。」
「はい、そうなりますね。」
「ふ~ん。」
と言いながら刀を柄と鞘越しに刀身を両手で握る。
さて、何の形にしようか?剣……は別のがあるしそっちを使いたいから無しだな。盾……は壊れる可能性があるし却下。となると装飾品になるのか。う~ん、迷うな。首輪……はなんか嫌だから却下。腕輪は邪魔になりそうだから却下。となると。
「指輪かな?」
と無意識に呟くと刀が鞘ごと輝きだし、数秒すると光は消えた。
俺は自分の手を見ると握っていた筈の刀が鞘ごと消えて、右手の中指にアクアマリンという宝石が付いたよく見れば青っぽい銀の指輪がはめられていた。
「ほう、持って言うだけで形が変わるのか。」
「そうみたいですね。」
と俺が呟いた言葉に律義に返答してくれるリーディア。
俺は『魔眼』を発動し指輪を視てみる。……ほう、指輪には裏に≪聖輪:エクスカリバー≫と彫られていて、刀の時と同じく『水系統』の威力の増幅&詠唱破棄の効果が付いているが……こりゃぁ他の効果も付いているな。う~ん、けど今の『魔眼』じゃ読み取れんな。まぁいいか。
「兎に角、刀はこれでいいとして、次は服装か。」
「そうですね。取り合えず御主人様の持っている服でこちらの世界にあった服はありませんか?」
「いや、無いな。」
「そうですか……。では、服屋に行きますか?」
「服屋ねぇ。いや、行くのは良いんだけど。行く途中までがねぇ。ほら、俺黒髪黒目だろ。隠さないと面倒なことになるし、かといって隠したらまたあの怪しい格好だしなぁ。」
「え?御主人様は染色の魔法は使えないのですか?」
染色の魔法ねぇ。一応前開発したことはあるけど実験で動物の毛の色を変えようとしたら全身の色が変わったからなぁ。あれは大変だった。結局色は戻らなかったしなぁ。
「うん。使えないわ。」
「それなら私が染色の魔法を掛けましょうか?といっても私が変えれるのは髪の色だけ、それも私と同じ砂色だけなのですが。」
と最初は若干嬉しそうに最後の方は若干残念そうに言ってくるリーディア。
ふむ。いいかもな。色が変わったら変装する必要もないし。それに瞳の色は自力で変えれるしな。
「うん。頼むよ。」
とリーディアに向かって言う。
リーディアはパァ!っという感じの笑顔になり。
「はい!それでは髪の色を変えますね。」
と笑顔のまま返事をし、真剣な顔になって目を瞑り胸の前で手を組んで詠唱を始めた。
俺は呪文を聞いてみると、言語ではなくハミングのような感じだ。
う~ん、こりゃ分からんわ。リズム感は人並みにあるけどそれじゃあ分からないみたいだなぁ。
そう思っているとリーディアが。
「【変色】」
と呪文を唱える。
……………へ?終わった?
と思っていると。
「はい、これで終わりです。」
「え!?こんだけ?」
「はい、これで終わりですけど。どうしました?」
「いや、思ってたより簡単だったから。」
「まぁ髪を染めるだけの魔法ですからね、そんなに難しい魔法ではないんですよ。」
と何が面白かったのかクスクス笑いながら言うリーディア。
そして、思い出したように笑うのをやめ。
「それで、瞳の色はどうするんですか?」
と聞いてくる。
「ん。こうするんだよ。」
と言いながら『魔眼』を発動する。
「???」
俺は『魔眼』の出力を1%から5%に引き上げる。
すると『魔眼』の性能が上がり、構成を見取る範囲が増えて、さらに『窓』に映し出される情報が一気に増えた。
うし、鏡が無いから見えないけどこれで俺の瞳の色が黒から藍色になったはずだ。
そんなことを思いながらリーディアを見てみると。
「御主人様。ソレどうやったんですか?」
と聞いてきた。
俺はやったことをリーディアに説明する。ちなみに、100%まで発動した『魔眼』は眼球が深紅に染まるんだよねぇ。んでそうなったら『窓』が消えマト○ックスみたいな視点で見れるんだけどな。
そんなことを思いながら説明すると。
「……凄いです。」
と感心したように言った。
「ごほん、まぁ、これで俺は変装しなくても大丈夫な格好になったことだし、服屋に行きますか。」
「そうですね。そろそろ行きませんと閉まってしまいますしね。」
そう言うと俺とリーディアは荷物を持って(まぁ、俺のバックパックだけなんだが。)部屋を出た。
今年もあとわずかです。
来年もよろしくお願いします。
感想お待ちしております?