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巻き込まれた魔法使い  作者: 白銀
第二章砂漠の都
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第20話契約


「……つまり、幸助様は御友人方達の召喚に巻き込まれたのですか。」


と向かいのソファに座っているリーディアスさんが俺を見ながら確認を取る。

あの後、気絶から復活したリーディアスさんが俺を見るなり凄い勢いで俺に迫り。


「人間てどういうことですか!!!!」


と某忍者学園の食堂の人にも負けず劣らずの大声で言ってきたのよ。いや~、念のために防音と防視の魔術を発動させていてよかったぜ。

んで、その後リーディアスさんをなんとか宥めてソファに座らせて、此処に来た(というより拉致された)経緯を説明してんのよ。あ、ちなみに今の俺は帽子とグラサンを外してんぜ。


「そゆこと。んでからその後は、砂漠の何処かにある遺跡に召喚されて、そこからなんだかんだありながら此処リスティナに辿り着いて、いろいろあって君に逢った。ということよ。」


「途中大分省きましたね。」


「ん~。詳しく言っても大して変わらないしな。」


「そうですか。」


「んで、どうする?」


「え?」


「俺が人間と知ってなお、その契約をするか。しないか。」


と俺は彼女を見ながら言う。

本当は目を見て言いたかったんだが、生憎彼女はいまだにボロ布を身に纏っていて顔の下半分と首しか見えてないから、無理なんだよなぁ。

そんなことを思いながら彼女を見ていると。……なんかプルプル震えて。


ガタン!


ビクッ!


リーディアスさんは凄い勢いで立ち上がり俺に迫る。

うお!何々!?何事?


「私を見くびらないでください!私はそんなことで……そんなことで契約をやめたりなんかしません!」


とリーディアスさんが俺の目の前で叫んでいる。


「……私が契約したいのは……私を助けてくれたあなたと……あなたと契約したいんです!」


と俺から少し離れ、ボロ布の奥にある砂色の瞳で俺を見ている。


「傲慢なのは分かってます。それでも……それでもお願いします!私と契約してください!」


と言いリーディアスさんが頭を下げる。

…………そこまで言われると、ねぇ。まぁ、俺はもともと断る理由はないし。

俺はソファから立ち上がり。


「うん。こっちこそよろしくな。」


と言い俺はリーディアスさんの頭をボロ布越しに撫でる。


「え、本当ですか!………………////ふにゃぁ」


と撫でられながら頭を上げて嬉しそうに返事をするリーディアスさん。

う~ん、撫でてると落ち着くなぁ~。

そんなことを思いながら頭を撫でていると。


「そ、それでは契約を行いたいのですが……。」


とリーディアスさんが言ってきた。

おっと、撫でるのは邪魔かな?


「おっと、ごめんね。」


と言いリーディアスさんの頭から手をのける。

あ!今更だけどリーディアスさんの身長は俺の身長(180㎝)より小さい。大体175㎝ぐらいかな?

リーディアスさんは俺を見上げながら。


「///ぁ……ぅ…け、契約なんですが、私と契約した後にですね、私の憑代が必要なんです。」


「ん?憑代?」


「はい、説明しますと……―――」


まぁ説明してくれたんだが簡単に纏めるとこんな感じだ。


―精霊の憑代

・簡単に言うと契約した精霊の家の様なモノ

・精霊は現世にいると自身を形成している『魔素』が徐々に減少する。自身を形成している『魔素』が無くなると当然『魔素』が無くなった精霊は消滅する。それを防ぐのが憑代である。

・憑代には一般的に装飾品が選ばれる。稀に武器に宿らせる場合もあるが宿った状態で憑代が壊れると精霊は消滅するので壊れる可能性がある武器や防具などには精霊は宿らせないのが一般的である。

・憑代が宿った精霊の属性や性質に合ったものだとその精霊を強化したりすることもある。逆に合ったものじゃないと宿った精霊が弱体化する場合もある。

・精霊が宿った憑代には精霊界にも繋がっているらしい。


というらしいのだ。

なるほど、そういう物なのか。

あぁ、あと最後のはリーディアスさんはまだ契約したことが無いのでよく分からないらしい。まぁ契約したらわかることだし、別にいいか。


「にしても俺、そんなもの持ってたかなぁ?」


「あの、私の種族は砂漠精霊デザーティアなので水に関するものはダメなので、砂に関するものを選んでくれたら嬉しいです。」


「う~む、砂ねぇ。砂、砂。……デザート?」


そういや確か砂漠で採れる石を亜空間に入れた様な気が……なんだっけ?


「どうしたんですか?」


「う~む、ちょっと待ってね。」


俺は空中に光の魔法陣を描き、亜空間と繋ぐ。


「え!?こ、幸助様!?」


う~ん、なんかリーディアスさんが驚いているようだけど。まぁいいか。

俺は亜空間を『魔眼』で探り、目的の物を探す。う~ん何処だ、何処だ。何処にあるんだ?この亜空間はバカデカいからなぁ。……あ、あった、あった。コレだ。

俺は亜空間から目当ての物を取り出す。


「ほい、これでもいいかな?」


と言って取り出した物を投げ渡す。

渡した物はデザートローズという石が付いたシンプルな銀の指輪だ。確かこの石は砂漠で採れる石だと聞いたことがあるからな、多分相性は良いんじゃないかな?んで石言葉は確か平穏と平静……だったかな?……まぁいいか。

リーディアスさんは何か言いたそうにしていたが俺が指輪を渡したらそちらの方に興味が向いたようで指輪を持って真剣に眺めている。


「……これは……これなら大丈夫です。ですが幸助様……。」


とリーディアスさんが指輪を持ったまま、おそらく目がボロ布から見えていたならばジト目で見ている感じの声で言う。

え?何々?俺なんか悪いことした?


「えっと、なんでしょうか……。」


と恐る恐る聞いてみる。


「さっきのは何でしょうか?」


「さっきの?」


「そうです。幸助様が先ほど描いた魔法陣の事です。」


となんかすごい迫力で言ってくる。

……物凄く怖えぇ。ビ、ビビッてなんかないんだからね!……すいません。


「あ、あれは俺の魔法構成の1種で見たまんま魔法陣と云うモノで、術式は俺が創った亜空間に繋ぐ魔法です。」


と若干、ホントに若干気圧されながら言う俺。


「そうですか…………幸助様。その魔法は他の人がいるところでは使用しないでください。」


「あ~、此処の人は自然魔力は使えないからか?」


「はい、この世界では自然魔力を使う魔法は精霊が使う魔法を除いたら超大規模魔法陣でしか使用できません。それも主神級の神殿の最奥部でしか。普通の人は幸助様のようにその場で自然魔力を行使することはできないのです。」


「ふむ、ということは使ったら最後、捕まって研究所で実験体モルモットか。」


「はい。恐らくそうなります。だから決して使わないでください。」


なるほどね。……まぁいざとなったら人目に付かなきゃいいだけだしな。


「ん、わかったよ。」


「……お願いしますね。それでは幸助様、契約の儀式を始めます。」


と真剣な声音で宣言するリーディアスさん。

いや、契約はいいんだけどね。


「んで、儀式ってどうやるの?」


まだ教えてもらってないんだよねぇ。


「はい、儀式は前に説明したとおり、最初に真名の交換をします。そしてその後に私が憑代を持って契約をすると完了という簡単なものです。」


「ではまず真名の交換から行いましょう。こちらに来てください。」


とリーディアスさんは部屋の中央に歩いていく。

俺は後を付いていき中央にくる。配置はだいたい部屋の中央で俺と指輪を胸の前で両手で握っているリーディアスさんが向かい合っている感じだ。


「それでは儀式を始めます。私が言った言葉に続いて言ってください。あ、名前のところは自分の真名に変えてください。」


「それでは、【我、汝と契約を結ぶもの。真名リーディアス・デザーティア・コロル・アルクリムス。此処に契約の誓いを捧げる。】」


とリーディアスさんが契約の言葉を唱えると俺とリーディアスさんを囲むように魔法陣。いや、高濃度の『魔素』の円が現れた。円はゆっくり回っている。

うおぉ!スゲェ!……っと、感動は後だな。

俺はそう思い契約の言葉を唱える。


「【我、汝と契約を結ぶもの。真名コウスケ・クガ。此処に契約の誓いを捧げる。】」


と言い切る。

さて、この後どうするんだろ?……これで終わりなのかな?

と思っているとリーディアスさんが俺の方に歩いてきた。


「////で、では契約を行います。まず、私が先ほど加護を与えたこの指輪を付けてください。」


と言い俺に渡してきた。

う~む、見た目は変わってないなぁ。なにか魔術的細工でもしたのかな?……まぁいいか。

俺はそんなことを考えながら指輪を右手の人差し指にはめる。

はめた終わったのを見てリーディアスさんは俺を見上げながら。


「////で、では、け、契約を行います。か、屈んでくだしゃい。」


と噛みながら言ってくるリーディアスさん。ヤベ、可愛い!!

やっぱ初めての言ってのは誰しも緊張するんだねぇ。……いや、1部の人間は緊張なんかしてなかったな。

そんなことを考えながら俺は少し屈む。丁度俺とリーディアスさんの目線が合う感じだ。……実際はボロ布で見えないんだけどね。


「////で、では、いきます!」


とリーディアスさんが宣言する。

何処に?っと思った瞬間。リーディアスさんは俺の頭を両手で掴み、俺の唇にリーディアスさんの唇を押し付けてきた。俺の唇には『あたたかいもの』が伝わってきた。そして、その『あたたかいもの』は強引に唇をこじ開け口内へと侵入し俺の舌に絡みついてくる。

まぁ平たく言うとディープキスってやつか。


「ん、んん。んん~。」


と何やらリーディアスさんが呻いてるが俺の心理状態はそれどころじゃねぇ!

俺の視界には、おそらくリーディアスさんの薄い砂色の髪が視界いっぱいに広がっている。鼻には女性特有?なのかは知らないが何やらいい匂いがしてくる。

……………………………………………………へ?これが契約っすか。そっすか、そうですか。なるほど、なるへそ。さっき噛んでいたのはコレの緊張のためだったんだなぁですね。え?何やら冷静そうじゃないかって?はっはっは。ただ単に混乱が天元突破しちゃっただけだぜベイビー!多分夜あたりになると羞恥心がこみ上げてくると思うぜヒャッハー!

……はぁ、そういやこんなこと過去に何度かあったなぁ。主に酒に酔った彩子さんとか。

そんなことを思い出しながら現実逃避をしていると。銀の指輪に付いているデザートローズに先ほどの高濃度の『魔素』が入り込んで行き砂色に輝き、そして暫くして輝きが消えた。


「ぷはぁ…………////こ、これで契約は完了です。」


と言い輝きが消えたと同時に俺から少し離れる。

それでもまだお互いの息がかかる距離なのだがな。俺とリーディアスさんはお互いが見つめ合う感じで突っ立ている。

リーディアスさんの顔は今までボロ布で見えなかったが今はそのボロ布を外しているのでよく見える。顔つきはスレ○ヤーズのオ○ルのような顔つきで、瞳は砂色で、髪も同じ砂色のショートヘアーだ。そんでから、なんつうかできる人。っていう雰囲気があるな。

とそんなことを思いながらリーディアスさんを眺めていると。リーディアスさんの顔が真っ赤になっている。うん、凄く可愛い!!俺はおそらく無意識にリーディアスさんの頭を撫でる。てか気づいたら撫でてたよ。


「んじゃ、これからよろしくな。」


と言いながらリーディアスさんの頭から手を除ける。

リーディアスさんはなんか除けた手を眺めているが……気のせいかな?

そんなことを思っているとリーディアスさんは俺の方を向き。


「はい!宜しく願いします。御主人様♪」


と笑顔で仰るリーディアスさん。

…………御主人様?



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