第14話冒険者ワークへ登録
―――砂漠:遺跡~リスティナ―――
俺は今、ロディアス、パロク、リディシアの3人と一緒に砂漠をリスティナ向けて横断中だ。ロディアスのおっちゃん曰く正午にはリスティナに到着するらしい。その道中で俺は3人からリスティナの事をいろいろ聞いたぜ。
俺が目指していたリスティナはこの大陸の主要な貿易国家なのらしい。昔は何処かに属していた街だったらしいが独立して貿易国家になったみたいだ。それが30年前なんだと。……やっぱ遺跡の情報は古かったわ。
んで、どうやらこの世界には『ワーク』っていうのがあるらしい。『ワーク』は商人ワークや冒険ワークなどがあるみたいだ。まぁ簡単に言うとハローワークだな。基本的には冒険者や旅人は冒険者ワークに加入しているみたいで、俺が入っていないと言ったら物凄く驚かれた。そんなに驚くものなのかい。ちなみに、登録料は無料らしい。
まぁ話を戻して、っと。どうやら『ワーク』に入るとワークカードという登録証を貰うみたいだ。なんでも持っているだけで国境を超えたりできるらしい。ふむ、一種の身分証明書か。んで、ワークカードにその持ち主の情報が書かれるみたいだ。その事もあって見せてもらえないんだけどね。そのことで落ち込んだら魔女っ娘に謝られてしまった。謝らなくていいのに。癖か?
んで、冒険者ワークでは何人かの冒険者が集まって集団で行動する『ギルド』というモノがるらしい。ちなみに、この3人は同じギルドに属していて、その仕事の帰りに襲われたんだとか。
まぁそんな感じの事を聞いていたのだが、突然魔女っ娘が……
「そういえばザザさん。その恰好はなんなんですか?」
と聞いてきた。俺は自分の格好を見下ろしてみる。パンサータイプの砂漠用迷彩服のカーゴパンツにジャケットと防刃ジャケットとバックパック、それとヘルメットと紅いレンズのガスマスク。その上から同じパターンの迷彩マント。…………怪しいな。ふっ、まぁこの格好を見て最初に聞かなかっただけ僥倖だな。……あれ?俺何言ってんだろ。
ま、まぁ今は適当に誤魔化しとくか。
「これか?これは俺の故郷の服だ。こういう砂漠地帯で真価を発揮する服でね。まぁ、あまり気にしないでくれ。」
「へぇ。じゃあその仮面もそうなんですか?」
とパロクさんが興味津々って言う感じで聞いてきた。
「ん、あぁ、そうだけど。」
「へぇ~、そうなのか。」
とロディアスのおっちゃんが相槌で返事をする。
そんなことを話しながら歩いていると前方に白い城壁が見えてきた。
「おお~デケェー!」
「くっくっく、どうだ。あれが俺たちの国。リスティナ貿易国家だ。」
とロディアスさんが胸を張って偉そうに答える。
此処から見えるリスティナの光景は、まず真っ白い城壁が目に入る。海沿いに半円を描く感じで城壁が築かれていて全体が光っている感じがする。その次に目に入ったのは天を穿つ尖塔が目立つデカい城だ。某ネズミ王国の灰被りの城よりもデカい。はぁ、スケールデカすぎ。
「さぁ、あと少しだからな。」
と言い歩き出すロディアスさん。俺と2人もロディアスさんについていく。
―――リスティナ貿易国家:城門前―――
今俺がいるのはさっき入ってきた門の前の噴水がある大広場だ。俺と3人はあの後、門まで歩いていき入ろうとしたのだが俺は身分証を持っていなくて、危うく門前払いされそうになった。が、ロディアスさん達が気を利かせてくれて何とか入れたよ。感謝也~。
「さて、儂はこれから『ワーク』に依頼の報告に行くんだけど、ザザ。お前はどうする?」
と聞いてくるロディアスさん。う~ん、特に行くところもないし、身分証は入手しておきたいからな。
「ワークカードは欲しいしな。うん、俺も行くわ。」
「よし、んじゃコッチだ着いてきてくれ。」
と言い正面にある幅広いおそらくメインストリートを歩き出す。俺はロディアスさんの後をついていく。あ、そうそう、パロクさんと魔女っ娘はなんか用事があるとかで何処かに行ったよ。
俺はロディアスさんに着いていきながら周囲を見渡す。周囲は石造りの建造物がたくさん並び、まんま中世の街並みを形作っている。道沿いには露店がたくさん開いて、客寄せの声が響きまくっている。そして何より、道を埋め尽くすほどの異形の人物たち。おお!ファンタジーだぜ!
とひそかにハイテンションになりながら周囲を見ていると……
「さぁ、着いたぞ。此処が『冒険者ワーク:リスティナ支部』だ。」
と言いながら此方を見てくる。……見てるだけなのにスゲェ怖い。
と若干恐怖しながらも冒険者ワークを見てみる。……デカ。俺が最初に思ったのはその一言だ。とにかくデカい。冒険者ワークはおそらく3階建てだろう(窓が3列あるから)。だが、他の3階建ての建物とくらべてみたら冒険者ワークの高い。おそらく1階1階の天井が高いんだろうな。んで建物は石造りなんだがところどころにドラゴンの石造とかが彫られている。
入口は門で大の男が3人は並んでは居れるぐらいの幅があり今もいろいろな種族の人が出入りしている。門の左右には魔法使いの女と鎧姿の男の石像が佇んでいて、門の上にはデカい看板がかかっいる。
「デカ。」
「そうだろ?此処に来たやつはみんなそう言うんだよ。じゃあ儂は報告に行くから此処でお別れだ。新人受付は入口から真っ直ぐ言ったカウンターだからな。それじゃぁな。」
「あぁ、此処まで案内してくれてありがとうよ。」
と言いロディアスさんは人混みに紛れながら中に入って行った。あ、もう見えねぇや。
……さて、此処に立っていても邪魔だろうしな。受付に行きますかな。
そう思いながら俺は冒険者ワークに入る。中は酒場のように長テーブルが一階のほとんどに置いてあり、いたるところで冒険者風の者たちが酒?を飲んで騒いでる。左の壁は掲示板のようになっている。そこに大量の紙が張り付けられていて冒険者風の人物たちがそれを取ってカウンターに持って行っているの。それを見るにどうやらあの紙が依頼書とかいう物だろう。
右側にはなんか……売店?っぽいのと2階に上がる階段がある。多分売店はワークが運営してるのかな?そんで正面にデカいカウンターがあって冒険者風の人たちが並んでいる。いや、1つだけ並んでないところもある。その受付のところにはプレートがかかっているが……よ、読めない。何故だ!遺跡で読めるように……って、もしやあそこの文字は古かったのか!?……うぅ、仕方がない。そこの受付で聞くか。
そう思いながら受付に歩いて行ってるんだが……
「なんか見られてる?」
と呟く。
何か知らないけど俺、なんか見られてるんだよね。……やっぱこの格好は怪しすぎるか。あとで着替えるかな。でもガスマスクは必須だよなぁ~。あと髪を隠す物も。
とそんなことを考えていると受付に着いた。受付にはカウンターに突っ伏して爆睡している少女が1人。…………ど、どうしよう。できることなら起きてほしいが周囲の目がそろそろ痛くなってきたからな。俺が起こすか。
「す、すいませ~ん。新規加入したいんですが。」
と言うが。
「くーくーくー……―――」
なおも爆睡。わお、此処まで来るといっそ清々しいな。
俺は裾から『打神鞭』を取り出し右手に持って。
「おい。おい、おい。」
と受付嬢を突く。
「う、う~ん。……くーくーくー……―――」
……う~ん、だめだこりゃ。別のところに並んだ方が速いな。と言っても他の列はどれも30人以上いるからなぁ。なんか、並ぶの億劫なんだよなぁ~。といってもこのままじゃ受付も出来そうにないし。仕方ない。並ぶか。
と思い別の受付に並ぼうとカウンターを離れようとした時。
ピン!
と俺のマントが張るような音が聞こえた。てか喉苦し!俺はサッと後ろを振り返る。するとさっきまで爆睡していた受付嬢が俺のマントを両手で握っていた。俯せのまま。
………なに、ツッコまなきゃダメなの?てか何で掴んでんの?え?新手のツンデレ?寝たふりだけど構ってほしい。とかいうやつか?
「………」
「……くーくーくー。」
「………」
「く、くーくーくー」
「面倒くさい。起きるなら起きる。寝るなら手を離して寝ろ。」
「チッ、ノリが悪い冒険者だなぁ。」
おい、この受付嬢、ノリが悪いってだけで初対面の相手に舌打ちしやがったぞ。
「…………まぁ、そんなことは丸めてゴミ箱に捨てといて、登録したいんだけど。」
「す、捨てないでよぉ~。」
と俺の言葉の後半を無視して、ボケを捨てたことについて涙目で抗議してきた。
……うん、超どうでもいい。
「登録したいんだけど。」
と威圧感たっぷりに言う。が受付嬢には効かなかったようだ。
「はい、新規登録の方ですね。では向かって左側の扉の部屋にご入室してください。担当者が暫くしたら来ますのでそこでお待ちください。」
と先ほどまでとはまったく違う。120%の営業スマイルと敬語で話しかけてくる。なんか気味悪。しかも営業スマイルがニッコリ。じゃなくてニヤニヤ。ってのがまた何とも気味悪い。……まぁ登録は左の部屋でやるみたいだし、さっさと行くか。
俺はカウンターから離れ、左の部屋へ行く。まぁ案の定その道中でも誰かに見られてる視線を感じるんだけどね。……まぁ実害がなけりゃいいか。
そんなことを考えながら歩いているといつの間にか扉の前に来ていた。俺は扉を開け部屋に入る。部屋の中には、中央に長方形のテーブル、そしてテーブルを挟んで簡易ソファが2つあった。テーブルの下には暇つぶし用の本?が何冊かあった。そして部屋の反対側にもう1つの扉がある。殺風景な部屋だな。……まぁ、いいか。
俺は簡易ソファに座ってテーブルの下にあった本を手に取る。
「ふむ、今のうちに勉強しとくか。」
俺は手に取った本を開き中身を読んでみる。
「お!ラッキー!魔術書じゃん。」
なんと、俺が手に取ったのは魔術の手引書っぽい本だ。これなら俺の知識をフルに使えば解読できるぜ!ひゃっほ~い!
とまぁそんなことを考えながら俺は魔術書を|読んで(解読)いく。
………それから約30分ぐらいしたころ。俺が魔術書の文字を|読み切った(解読し終わった)頃に、反対側の扉が開いて眼鏡を掛けた事務員みたいな男の人が入ってきた。その事務員みたいな男は簡易ソファに座って……
「あ~、君が新規登録者だね。」
と聞いてきた。
「はい、そうですけど。」
「んじゃ、はい、これに書いてある必要事項を書いてね。」
と言い書類と万年筆っぽい物を渡してきた。
「あぁ、はいはい、了解しました。」
と言い書類に必要事項を記入していく。てかやたら項目が多いんですが、まぁいいか。
えっとまずは名前か、名前はザザでいいよな。
んで種族か。人魔族っと。
次は神殿公認のクラス。ってなんだ?
「すいません。この神殿公認のクラスってなんですか?」
「ん、あぁそれですか。いえ、分からない項目でしたら飛ばしていいですよ。後で説明いたしますんで。」
「あぁ、さいですか。」
んじゃ、飛ばすか。
さて、次は、っと。
……俺はだいたい30分ぐらいかけて書類の必要事項を全て記入した。いやぁ~地味に疲れるぜ。ちなみに内容はなんか依頼中に死んでも『ワーク』は一切責任を問いません。とかそういうモノだった。まぁあんまり関係ないかな?
「……はい、クラス以外は記入済みですね。では次はこの……よいしょっと。この水晶玉に手をかざしてください。」
と言い足元からバスケットボール並の水晶玉を取り出し机に乗っける事務員もどき。
「……これ、何ですか?」
「これですか?これは所謂測定器というやつです。この水晶に手をかざした人の魔力や属性なんかを数値化する水晶玉です。ワークカードを作るときに必要になるんで、やらないという選択肢はありませんので悪しからず。」
なるほどね。
「ん、了解。」
と言い俺は水晶玉に手をかざす。すると、水晶玉が淡く輝き始めた。そして、チン!という電子音に近い音がして輝きが止む。よく見てみるが水晶には特に変化は見渡らない。……てかチン!って。電子レンジ?
「では、ワークカードを作るんでこれで失礼します。あなたは受付で待っていてください。」
と言い残し、重たそ~に水晶玉を抱えながら出て行く事務員。てか入ってきたとき持ってなかったよな、ソレ。……まぁいっか。
俺は部屋を出てさっきの受付嬢の所に戻る。戻ってみたところ受付嬢は……
「くーくーくー」
また寝ていた。……もう寝かしとくか。
俺は受付嬢をそのままにしてカウンターにもたれる。さ~て、今日はどこで寝ようかなぁ。野宿も気楽でいいけど、久々にベットで寝たいしなぁ~。……いや、一応亜空間にベットを入れてるんだけどね。出すスペースもないから出さないけど。……あ、そういや、脅し用の威嚇の魔法を考えていたんだった。さて、構成はどうしよ。『魔法陣』で行くか。……いや、『言霊』で十分発動できるか。
とそんなことを考えていると後ろからマントを引っ張られた。
「ん?」
振り返ってみると、寝ていた筈の受付嬢が起きていて俺のマントを引っ張っていた。
「何だ?爆睡少女。」
「誰が爆睡少女だぁ!」
と言いながら俺の頭目掛けて殴り掛かってきた。俺はそれを首を傾けるだけで躱す。
「誰って、お前しかいないだろ。来た時も、戻った時も爆睡してたじゃん。」
「煩い!あれはサボる為のタヌキ寝入りなの!」
「じゃあ、タヌキ少女。」
「誰がタヌキ少女だぁ!」
とフーフー言いながら抗議する少女。
ふむ、いぢめ慨があるな。ワークカードができるまでいぢめて遊ぶか。
「あんたこそ変な顔のくせに~。」
と口を尖らせながら講義する少女。
「ん?あぁ、これは顔じゃなくてマスクだ。」
「はぁ?マスク?ってなにそれ。」
……マスクは通じないのか。
「まぁ仮面だよ。仮面。」
「へぇ~。そうなの。じゃさ、じゃさ。ソレ脱いで見せてよ。アンタの素顔。」
「だが断る。」
「む~。何よケチ~。」
「ケチじゃない。」
「ケチでしょ。」
「ケチじゃない。」
「ケチよ。」
「ケチじゃない。」
「ケチよ!」
「ケチだ。」
「ケチじゃない!」
「そうだ。ケチじゃない。」
「そうそう、ケチじゃない。……て、そうじゃない!」
「どっちだよ。」
「う~、アンタが変なこと言うからでしょ!」
「惑わされるお前が悪い。」
「煩~い!もう寝る!」
と言いまた机に突っ伏し寝始める少女。
言い合いに負けたから不貞寝って、子どもか!
「くーくーくー」
あ、もう寝てるし。……いや、タヌキ寝入りか。てか、今更だけどこの世界にタヌキ寝入りって言葉あるんだ。
そんなことを考えながら少女のアホ毛を弄って遊んでいたら少女の後ろからさっきの事務員が何やら小さい箱を持ってやってきた。
「あ、ザザさんですね。こちらがワークカードになります。」
と言い箱を開けて中身を俺に渡してくる。箱の中身は10㎝ぐらいの黒い延べ棒だった。俺はそれを手に取り眺める。
………………………………………
「……で、何をすりゃいいんですか?」
「あぁ、えっと。まずソレを握ってください。」
と言うので俺は右手で延べ棒を握る。
「握ったならソレの形をイメージしてください。そしたら勝手にソレがイメージ通りに形を変えますから。大概の人は指輪や腕輪をイメージしますね。それでは、あとの質問はこの受付嬢に聞いてください。」
と言って去って行った。俺はイメージを考える。さて、何をイメージしよう。……ふむ。…………そうだ。アレにしようかな。
俺は延べ棒をさらに強く握り、イメージする。すると黒い延べ棒の輪郭が曖昧になりグニョグニョと形が変化する。黒い延べ棒はだんだん形を整え1つの形となる。
「へぇ~。何の形なのそれ?」
と少女が聞いてくる。延べ棒の形は、黒い鎖で繋がった1つの黒い歯車のペンダントの形になった。
うん、この形が落ち着くな。ちなみにこの歯車は彩子さんの研究所のマークだったりする。ただ、彩子さんのは5つの歯車だ。
「これは俺の恩人がよく使っている形だ。」
「へぇ~。」
「んで、これはどうするんだ?首にかけてたらいいのか?」
「うん、掛けといていいよ。あと、そのギザギザで丸いのを手に持って【自情報表示】って言えば多分、その形状だと円の中心の膨らんでる所から、光が出てねアンタにしか見えないウィンドウが表示されると思うから、1回出してみて。」
ととても敬う気配のない言葉づかいで説明してきた。まぁ敬わないのは別にいいけどさ。俺以外だとキレるんじゃないかな?……、まぁ、いいや。
「こんな感じか。【自情報表示】」
と黒い歯車を手のひらに乗せながら呪文を唱える。すると、中央の少し膨らんでいるところから青白い光が上空に投射される。……てかこれって立体映像?……まぁ、細かい事はいっか。立体映像で通そう。立体映像にはいろいろな事が書かれている。
≪所有者の現在のステータスは以下の通りです。≫
所有者名:ザザ
種族:人魔
身分:冒険者
性別:男
レベル:不明
加護:不明
クラス:不明
系統:不明
魔法適性:不明
得意武器:『刀』『警棒』
不得意武器:なし
平均体力:不明
平均魔力:不明
平均精神力:不明
平均攻撃力:A
平均防御力:D
平均回避力:A
平均瞬発力:B
運:不明
≪ステータスは以上です。≫
……………………………
「どう、どう。自分のステータスは良かった?悪かった?あぁ、詳しくは言わなくていいわよ。さすがにそれはイケないことだしね。」
と言っている少女。いやぁ。どう言ったらいいんだろ?
「う~ん、微妙だな。」
「へ?微妙なの。どして?」
と聞いてくる。……聞くのはイケない事じゃなかったのか?……まぁ、いいか。
「いや、ステータス欄に不明が多いんだよ。平均なんたらのところも半分が不明だし。」
「えぇ!半分が不明なの!」
「あぁ、あと加護ってなんだ?」
「……平均値が不明なんて、聞いたことないわよ。」
む、なんかブツブツ言って聞いてないな。まぁ加護とクラスってのは多分神殿で判明するのかな。クラスってのは多分あれだな剣士とか魔術師とかの事だろうな。多分。……そういや、結局あの事務員教えてくれなかったな。まぁ、いいか。加護はぁ~なんだろ。実際の『神々』に加護を与えてもらうのかな?
でも人間の身に断片とはいえ神の力を容れるのは無理なんじゃ……あ、そういや此処の人は人間じゃなかったな。ってことは此処の人はできるのか。あれ、じゃあ俺にはできないのかな?う~ん、まぁ、神殿に行ってから考えるか。
ありゃ、そういや俺の魔法適性が不明になってるけどこりゃ一体。……あ、そうか。俺は基本的に決められた属性は持って無かったんだった。だから不明なのか。なるほどな。さて、んじゃ、今度は金だな。金。
「お~い、不貞寝少女~。」
「……何で不明なのよ。って、誰が不貞寝少女だー!」
フガーっと少女が唸りながら俺に抗議する。まぁ俺はそれをスルーしてバックパックを床に置き中から牙や爪を取り出し手に持つ。
「これ、換金したいんだけど。」
と言って爪や牙、羽なんかを20個程ほどカウンターに置く。
「へ?あ、あぁ、換金ね。分かったわ。ちょっと待ってね。」
と言ってアホ毛を揺らしながら爪なんかを持って奥に行く不貞寝少女。
ちなみにさっきの爪とかは、来る途中に斃した魔物の部位を剥ぎ取って持っていたのよ。爪はデザートドラゴンで牙がデザートヴォルフとデザートストーカー、羽がデザートバードの素材だ。ちなみに換金値段はさっきの登録する部屋にあった本で調べておいた。値段が変わってなかったら大銀貨が6枚と銀貨が6枚が手に入るはずだ。
ちなみに、此処のお金の単位がLという単位で小銅貨が一の単位、銅貨が十の単位、大銅貨が百の単位、銀貨が千の単位、大銀貨が万の単位、金貨が十万の単位、大金貨が百万の単位、白銀硬貨が千万の単位だ。だいたい日常で使うのは最高で金貨までで大金貨から上は国家間の取引ぐらいでしか使われないらしい。
あと、普通の平民の月間収入は大銀貨3枚らしい。本に書いてあった。あ、あと俺のバックパック。中は俺が使うときに限り亜空間に直結だったりする。んで亜空間にはまだまだ魔物の素材が入っていたりする。
とそんなことを考えていたら、奥からアホ毛を揺らしながら袋を持って少女がやってきた。
「はい、換金の大銀貨6枚と銀貨6枚をお届けしに来ました。」
とワザとらしい敬語を使いながらやってきた。いや、まぁいいけどさ。
「ありがとよ。んじゃ、世話になったな。また来るわ。じゃあな。」
「ん、じゃあねぇ~。」
と後ろ手で手を振りながら人でごった返す冒険者ワークを出て行く。
……あ、宿の場所聞くの忘れた。
感想お待ちしております?