第12話砂漠の遺跡
―――砂漠・古代遺跡―――
バリ、バリバリ、バリバリバリバリ!!バーン!!
「うお!」
俺は何やら真っ暗なところに召喚されたようだ。しかも召喚された場所が地面より1mほど上だったので着地に失敗してこけてしまった。恥ずかし。というのは置いといて、俺は瞬時に起き上がり右手で左腕の裾から警棒、もとい魔道具『打神鞭』を引き抜き勢いよく振る。カッカッカという音を響かせながら『打神鞭』を伸ばし、周囲の気配を探る。何の気配も感じない。ふむ、おそらく俺は想定外だったから俺だけ別の場所に召喚された。
ってところかな。俺は改めて周囲を観察するが暗すぎてよく見えない。てか自分の手も見えないよ。あと物凄く気持ち悪い。……ヤベ、吐きそう。あ、無理。
「おええぇぇぇぇぇぇぇ……~~~」
俺はしばらくの間ずっと吐いていた。……ふぅ、ちょっとは楽になったぜ。でもなんで気持ち悪くなったんだろ?と思いながら『魔眼』を発動すると理由が分かった。
「うお!『魔素』多!何これ?『魔素』多過ぎだろ。」
此処の『魔素』の量が半端じゃなかった。濃度を測ってみると7もあった。地球の濃度が4だったから……3も違うのか!う~ん、地球の濃度は一番高くても5だったからなぁ。7のところは全然なかった。ということは此処は異世界ってことで間違いなさそうだな。んで多分気持ち悪くなったのはおそらく魔力酔いだろうな。急激な魔力濃度の変化に身体が追い付かなかったんだろうな。
にしてもこれは『魔素』が多すぎて『魔眼』じゃ視界全部が『魔素』で埋まっちまうな。……調節してみるか。俺は『魔眼』の視る設定を変更して高密度の『魔素』だけを映すようにしてみた。そしたら意外と成功し地球と同じ程度に見えるようになった。ん、気持ち悪さもなくなったし、明かりをつけるか。俺は自分の『魔力』を練り『言霊』を紡ぐ。
「【火より生まれし輝く光よ。我が手に集いて力となれ>>>・明り】」
と言い両手を胸の前で空気の球体を握るように向い合せる。すると、両手の間から蛍光灯並の光の球が出現する。俺はその光の球を操り俺の頭上に持って行く。そしたら、この部屋の闇が光に浸食された。まぁ簡単に言ったら部屋に明かりをともしただけだけどね。んでこの部屋を見渡してみる。どうやら此処は何らかの遺跡のようだ。周囲はただの石の壁に囲まれていて正面に朽ちかけの木製の扉がある。ただそれだけの部屋だ。
いや、よく見ると木片が辺りに散らばっている。ふむ、此処は木材の保管所みたいな所か。てか、なんか俺の内包魔力が増えてんですけど。……まぁ、いっか。それにしても、このまま動くのもな~。異世界ってことはこういう遺跡にはモンスターがいるのは定石だ。ん~……調べてみるか。俺は足元に光の魔法陣を描き、呪文を唱える。
「【彼方なる情報の海に浮かびしものよ。その影を我に現せ>>>・探査】」
呪文を紡ぐと魔法陣が数回点滅し探査するための『魔力』の波を飛ばす。すると、すぐに魔法陣が点滅し消滅した。俺は『窓』に映し出された結果を視てみる。ん~……って、周囲には敵対生物がいないどころか俺以外の生命反応が無い、だと。……ふむ、どうやら此処は砂漠のどこか遺跡のようだ。遺跡自体は大した大きさではないな。せいぜい学校の運動場ぐらいの大きさかな。ん~とりあえずいろいろ調査してみるか。
俺は『打神鞭』を裾に戻してから、光の球を俺の前に誘導する。さて、行くか。俺は扉を開ける。すると……
「うお、何だこりゃぁ。」
扉の向こう側には膨大な量の本や巻物なんかが棚に入っていた。
「うぉ~。スゲェ~。何?図書館の遺跡なの?」
と言いながら周囲の探索を始めた。
~20時間後~
「くあぁぁぁぁ~ぁ。ふぅ。」
俺は持ってた本を閉じて亜空間に放り込む。
「あ~、疲れた~。」
俺はこの遺跡を探索してみたところ、どうやら此処は魔法使いの研究所のようだ。かなりの量の魔法に関する資料があったよ。けど此処はかなり前に放置されたようだ。まぁ何時か?までは判明しなかったけどな。んで、本を読んでみたところ……読めん。だってミミズがのたくった様な文字なんだぜ。しかも地球のどの言語とも一致しないしな。……まぁ、そこは俺の膨大な魔法の知識をフル活用して何とかこの世界の文字を解読できたんだけどな。
んでまぁ此処の本を片っ端から読んでいったらいろいろなことが分かったぜ。まず、この世界っていうか惑星?……世界の方でいくわ。まぁこの世界は典型的な剣と魔法のファンタジーな世界の様だ。んで科学のかの字もなくて魔法が発達した中世並のテクノロジーのようだ。まぁ此処の資料は最新の情報じゃないから今はどうなってんのかは分からんけどな。んでからこの世界には6つの大陸と多数の島があるみたいだ。
んで国の事に関しては資料が無いから省くがなんか群雄割拠な感じらしい。まぁ詳しい事は分からんがな。んでまぁどうやらこの世界には人間がいないみたいだ。んで人間の代わりに魔族や獣族などがいるみたいだ。まぁ資料には大雑把にしか書いていなかったから何とも言えないんだがな。まぁそれだけなら楽だったんだけどなぁ。どうやらこの世界には魔物、という存在がいるみたいなんだよね。
本の中にもその図鑑っぽい物があったから見てみたけど、ヤバそうな感じの奴ばっかだったよ。……まぁ、この世界に来ちゃったからには近いうちに会うんだろうな。まぁ覚悟しとくか。……そんで、あとはっと、そうそうこの世界の魔法だ。どうやら此処の世界の魔法と俺が使っている魔法は違うようだ。てか、まるっきり違う。俺の魔法は前にも言った通り、自分の内包魔力を練って呪文を唱えて魔法とする『言霊』。
と『魔素』を体内に取り込み『魔力』に変えて魔法陣に通して魔法にする『魔法陣』の2つがあるが、この世界の魔法はどちらかと言えば『言霊』だが厳密に言うと別物の魔法のようだ。まず、俺は呪文に『力ある言葉』を入れて属性を決めているが、この世界は個人個人で属性が決まっているようだ。んで基本的にはその決まっている属性しか使えないとか。んで此処の魔法使いはその制限を無くそうと研究していたみたいだが、どうなったのかは分からんな。
んでまぁ此処の魔法に関する資料を読んでみたんだが……構成がお粗末だ。しかも構成の無駄が在り過ぎだ。こりゃこの世界の魔法はあんまり期待できんな。……まぁ今はいっか。まだ読んでない本が大量にあるし、しばらくは此処で本を読みながら勉強しとくか。そう思い、俺はまだ読んでない本を手に取り読み始めた。
~3日後~
あれから3日、俺は亜空間に仕舞っていたカップヌードルを食べながら本を黙々と読んでいたよ。ちなみに、お湯は魔法で出したぜ。んで、此処にあった本や資料は全部読み終わったよ。だけど新しく分かった事はあんまりないなぁ~。分かったことはね、この世界には『神々』が本当に存在しているらしい。ということだけだ。詳しい事は資料には全く書いてなかったからな、詳細は不明だ。んでもう1つ、これは意外と重要かもしれないな。
あの『魔剣』に彫られたいた『魔剣』の銘は、どうやら此処の文字だということが分かったんだよ。どういう経緯で地球に来たのかは分からないから省くとして、解読してみるとこの『魔剣』。実は『魔剣』じゃなくて『聖剣』だということが判明したのよ。いやぁ、メッチャ驚いたぜ。……これはあくまでも仮説なんだが、最初に握った時に出てきた黒い『靄』は多分持ち主を選ぶためのいわゆる試練なのかもしれないな。
んで俺がその黒い『靄』を消し去ったことによって俺が持ち主になった。というところかな。おそらくだがこの仮説はあっていると思う。だって消し去って剣が刀に変わったらなんかこう神聖な感じがしたからなぁ。あっ、そうそう、この『聖剣』……いや、刀だから『聖刀』かな。まぁ兎に角、この『聖刀』の銘は『氷の聖刀:エクスカリバー』と彫られていた。…………えくすかりば~?しかも、光じゃなくて氷?んで、『聖剣』じゃなくて『聖刀』、いやこれは変化したからか。
…………まぁ、異世界だし、こういうこともあるのかな?うん、もうそういう事にしておこうか。あとは、氷の聖刀と彫られるだけあって『水系統』の魔法の効率が物凄くよくなったよ。うん、まぁこんなもんかな。
さて、そろそろこの砂漠のどこかにある遺跡から出て人……いや、誰かがいるところを目指しますかな。俺は残っていた本を全て亜空間に放り込む。その後亜空間からまずは、パンサーパターンの砂漠用迷彩服のカーゴパンツとジャケットと防刃ジャケットとヘルメット、んで替えの下着を取り出してその場で着替える。着替え終わったら今まで着ていた作務衣を亜空間に放り込んでから、亜空間からエクスカリバーと50口径デザートイーグルと装填済みマガジン3つ、
それと抜き身のサバイバルナイフを2本とパンサーパターンのフード付の迷彩マントを取り出して、エクスカリバーをベルトの左腰へ差してデザートイーグルを右腰のガンホルダーへ仕舞う。サバイバルナイフを右腿についているナイフホルダーに差し込み最後に全身を包み込む迷彩マントを羽織る。最後に亜空間から携帯食などのサバイバル用品が入ったバックパックと愛用の腕時計を取り出して亜空間を閉じる。閉じた後腕時計を付けてバックパックを背負う。
あぁ、そうだ、言うのを忘れてたけどエクスカリバーの鞘、これ自分で作りましたぜ。まぁ普通の黒塗りの鞘だけどな。
……さてと、忘れ物はないかな?無いな、まぁ忘れてても大丈夫だろうしな。俺は腕時計を見て時間を確認する(時間は地球と同じ時間だった。)。だいたい夜の8時ぐらいだ。何かの漫画かなんかで、砂漠は夜移動して昼は休むのが定石だ。とかなんとか書いてたと思うので夜移動することにしたのよね。
俺は装備の最終チェックをする。……うん、異常なしだ。んじゃ行くかな。
俺は遺跡を出て砂漠に出る。砂漠は昼とは違う雰囲気を放っていた。砂は月明かりに照らされて銀色に光っている。俺は空を見る。そこには銀色に輝く2つの月があった。
「う~ん、メッサ異世界に来たって感じがするなぁ。」
そんなことを呟きながら俺は歩き出す。目指すは唯一地図に名前があった街、砂と海の街リスティナへ
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