第11話最後の晩餐
あれから半年が過ぎましたよ。
学園生活はなかなか充実したものでいろいろあったぜ。俺と真祓さんと黒部さんで放課後の校長室でボードゲームをして楽しんだりしたよ。そのせいか黒部さんがボードゲームに嵌っちゃってさ、『板遊戯連合』の構成員になったよ。いやぁ、一緒の趣味を持つ仲間が増えると嬉しいなぁ。この学園はボードゲーム同好会が無いから今度作ろうかな?
生徒会は思っていたような感じじゃなかったんだよなぁ。生徒会役員が集まって議論する。ってのは一緒なんだけど生徒会長と副会長っていう役職が無いんだよね。その代りが議長だったりするんだよ。役員が集まってその議長を中心に話し合う。っていう感じ、議長は全員がするように交代制だったりしたからなぁ。面倒くさかったなぁ。まぁ特にいい思い出はないな。
学校行事は悲惨だったなぁ。ほとんどが生徒会で行動するから生徒会美形集団の追っかけで揉みくちゃにされたこともあったっけ。まあそれだけじゃないんだけどね。なんか何時の間にか追っかけや非公式ファンクラブの連中から抹殺リストのトップに載っちゃってさ、毎日何かしらの手段で狙われるようになったのよ。酷い時は改造エアーガンをもった集団に追い掛け回されたときかな?
改造度がひどかったなぁコンクリ撃ち抜いてたし、まぁ『バイト』で鍛えざるえなかった戦闘技術で返り討ちにしてやったけどな。
あぁそうそう、『永久機関』の手伝いも5か月間の作業でやっとできたぜ。久々に衰弱死するかと思ったな。まぁ睡眠はちゃんと摂ってたからな。徹夜ならもっとひどい事に……あまり考えないことにしよう。まぁ『永久機関』のデータを彩子さんに送ったのよ、そしたらなんと『永久機関』を直接送ってきやがったのよ。驚いたぜ。まぁ送られてきた場所はあの南地区の廃ビルだったんだけどな。
んで、送ってきたのはアンドロイドの『アンジェリカ』さんだった。その日は久々に会ったアンジェリカさんと盛大におしゃべり(主に彩子さんの食事事情など。)をした後に『永久機関』を貰った。てか『永久機関』が意外と小さかったな。掃除機の本体並の大きさだった。スゲェ~。んでまぁ『永久機関』は『魔眼』でデータを脳内HDDに保存した後に亜空間に仕舞ってある『ある物』に取り付けたんだけどね。
まぁほかにもいろいろあったなぁ。イケメン君に纏わりつかれて(イケメン君曰く『友達』だそうだ。)イケメン君が巻き起こす人助けと言う名のフラグ作り(無自覚)に強制参加させられたんだよ。あぁ、思い返すのも嫌になる。てかいいことないんじゃね。一緒に女の子に絡んでいる不良を懲らしめた時にも感謝されたのはイケメン君だけだし、俺その後懲らしめた不良と励まし合ったよ。
その後もイケメン君はフラグ建てまくりだし、そのたびに相手側の人達と励まし合ってメアド交換する俺って……いや、もう考えるのはやめとこう。
ちなみに寮にはもう俺の居場所はほとんどなかったりする。いや、具体的に寮のみんなから何かされてるってわけじゃなくて空気的に、ね。渡辺さんと鬼崎さんがなんか良い雰囲気で、松村さんと霞野さんが、あれ?これ付き合ってんじゃね?ってなるほどの良い雰囲気なのよ。んで、イケメン君を希美と神成さんが取り合っているって感じ、てか寮の中でもプチハーレム形成とか、ハン!死ねばいいのに。
あと八千草さんは分かんないなぁ。いつもテレビ見てるだけだけど、前に隣に座ったらなんか避けられたんだよ。ってことは俺は嫌われてんだろうな。多分ね。……いかん、鬱になってきた。この話は終わりな、終わり。
あっ!っと、忘れてたぜ。最近になって知ったんだが2年になったら『超能力専攻』の生徒は実技試験とかいうふざけた試験があるらしい。なんでもどれくらい超能力をコントロールできるかとかいろいろ計測するらしい、ちなみに、イケメン君の超能力は『武具創製』っていう名前だ。まぁ読んで字の如く武器や防具を創り出す能力だ。まぁ|人助け(フラグ建て)の時に見てるからな。普通は仲が良くないと教えないな。
希美は何でも『再生』とかいう名前の能力らしい。まぁ噂程度だからな。本当かどうかは分からん。なんとな~く解る気もするが、っまどうでもいっか。八千草さんは何でも植物を操るとかなんとか。詳しくは分からん。渡辺さんは身体能力強化系らしいな。松村さんはなんだっけ『不動』だったっけかな?なんか防御系の能力だったと思う。霞野さんは、あ~なんだっけ。水系統だったと思う。
神成さんはあれよ、『奈落の業火』っていう純粋な炎の能力だ。あの炎で車が灰にもならずに無くあったのを見たからなぁ。超怖かった。しかも少しずれてたら俺に当たってたんだぜ。そこまで嫌われることしたかなぁ?……まぁいい。鬼崎さんは『鬼人化』という能力らしい、まぁ例にもよって詳しくは知んないけどな。
んで計測が終わったら大規模な、具体的に言うと4日ある体育祭があるんだけどな、その体育祭には超能力者強制参加のイベントの超能力トーナメントとかいうふざけまくったイベントがあるみたいだ。まぁ普通に超能力者同士が闘うんだろうな。んでま、そのために俺は新しい攻撃系の魔法をいくつも開発してたりする。早く使ってみたいなぁ~。まぁトーナメントはチーム戦だから俺の出番はほとんどないのかなぁ。
だったらちょっと残念だ。せっかく新魔法やら魔道具やらいろいろ作ったってのにお披露目できないなんてなぁ。まぁ何時か見せ場があると信じて待つかぁ。
んで今は寮で全員集まっての夕食だ。まぁ、黙々と食べているのは俺と八千草さんだけで他のみんなはおしゃべりしながらの夕食なんだけどね。
「―――……でさ、そう言ったんだよ。そr、ん?」
とイケメン君がなんか話していると突然顔をしかめて周囲を見渡し始めた。お!このサバ飯美味いな。今度作ってみるか。
「どうしたの?」
「なにか具合が悪いの?」
と希美と神成さんがイケメン君に声を掛ける。俺を除くほかのみんなもイケメン君に注目している。ん、この餃子は冷凍じゃないな、亜須香さんが作ったのかな?
「いや、誰かに呼ばれたような……。あ!まただ。」
とイケメン君がなにかほざいているが気にしない、気にしない。うん、この漬物おいしいな。
「え?……声なんて聞こえないよ。」
「でも確かに聞こえるよ。ほら、「助けて、ゆう……」って言う声が。」
とイケメン君が言った。「助けて、ゆう……」ってもしかして。俺は箸を机に置きイケメン君の方を向く。
「おい、もしかして「助けてください。勇者様」っとかって聞こえないか?」
と聞いてみる。イケメン君以外のみんなはキョトンとしている。たぶん何言ってんだこいつ、って思ってんだろうな。
「……っ!た、確かにそう聞こえてきた!」
「「「「「「「「え!!」」」」」」」」
とイケメン君が叫んだ。それを聞いて嘘!っと言う感じでみんなが驚いているが今は無視。俺は『魔眼』を発動する。すると視界の端に『窓』が現れ、周囲の『魔素』がハッキリと見えてくる。俺は辺りを見渡す。ん?おかしい、周囲の『魔素』が少なすぎる。っていうかほとんどが消失している。どういうことだ?俺は周囲を見渡しながら『魔素』の濃度を測る。すると濃度は1を表した。
おかしい、普通なら4を表すはずなのに今は1だ。何かが起こっている。っていうか考えなくてもわかるな。イケメンで主人公補正を持つ奴が突然女の声を聴く。しかもその声の内容が「助けて勇者様」っていう物、あれだ、確実にあれだ。勇者召喚に間違いない。俺は上を見てみるが何もない。イケメン君を含めたみんなの視線が痛いが今は気にしてられない、俺は瞬時に下を向く。すると。
「……あった。」
「え?何が?」
と誰かが言ったが気にしない。下にあったのは地中深くに構成されようとしている魔法陣だ。周囲の『魔素』を喰らい必要な『魔力』を補おうとしているのが『窓』を視なくても周囲の『魔素』の動きで分かる。そして、『窓』にはこの膨大な『魔力』を備えた魔法陣の構成などが映し出される。チッ、思った通り勇者召喚の魔法陣か、しかも魔法陣の上にいる『勇者』の強制召喚だ。
俺は魔法陣の端っこ。片足が入っている程度だが『窓』の情報からすると俺も召喚対象になっているな。あれだ、巻き込み確定ってやつか。あ~、逃げようがないな。今更魔法陣から出たとしても強制的巻き込まれて召喚されるだろうしな。厄介だな。……はぁ仕方がない。俺は小声で『言霊』を紡ぎ俺と亜空間との結びつきを強固にする。これで異世界に行こうと亜空間は繋がるな。
さて、あとは何もないな。あ、う~ん、まぁ嫌がられても一応渡しとくか。俺はポケットから自作の『お守り』を取り出す。
「八千草さん、これあげますよ。」
と言い『お守り』を八千草さんに投げ渡す。さすがにこの『お守り』ではこの強制召喚は防げんがな。行った後いろいろ役に立つだろう。
「ん……。何これ……?」
と渡された『お守り』を見ながら首をかしげている。
「それ、一応持っといてください。いろいろ役に立つと思うんで。」
とだけ言って今度はイケメン君の方を向く。イケメン君は訳が分からずに顔をしかめている。
「んで、今はどうだい?」
「ん、ああ、なんか呪文のような歌?が聞こえてくるよ。」
と言っている。なんか希美と神成さんがなにか言っているが無視。俺はもう一度下の魔法陣を見る。『窓』の情報ではあと少しで召喚が始まるようだ。俺はイケメン君の目を見て真剣な口調で話す。
「イケメン君、いや、聖上晃。お前に言いたいことがある。」
「え?な、なにかな?」
と俺が真剣に話しているもんだから驚いて少しドモっている。まぁ気にしないがな。
「お前は今、俗に云う主人公だ。」
「はぁ?」
「お前は自覚していないだろうがな、お前は女子にモテているんだぞ。それも尋常じゃない数の女子にだ。そういうやつを俗にフラグメーカーと云う。」
「はぁ。」
「そして、お前には主人公補正と云うモノがあるんだよ。それは別名ご都合主義とも言うこともある。そういうやつは決まって物語だけの特別な出来事を現実に持ち込んできやがる。」
「えっと、どういうこと?」
「まぁ簡単に言うと、だ。お前は現在『勇者』とかいうふざけた者として異世界に召喚されるんだよ。」
「……え?」
「あと30秒だ。んでまぁ本当ならお前1人だけなんだろうが何故かしらんが此処にいる全員を召喚しようとしてんだよ。まぁこれは推測だから多分俺以外のみんなを『勇者』として召喚しようとしてんじゃないかな?俺は巻き添えってやつだ。」
「え?え?どういうこと。」
「あと10秒か、最後に言っておく、お前はつくづく主人公ってやつだよ。」
「え?どういう意味……って何これ?」
とイケメン君がそういった直後に、足元から地面の感覚が消えた。と思ったら俺は勇者召喚に巻き込まれた。
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