7 おニャンコクラブ
吾輩は只今、お食事中である。
朝になってようやくミキちゃんの拘束から解放されてリビングに来ると、いきなりママさんからの強烈なキスが待っていた。しかし、朝はママさんもやることが多く忙しいようですぐに解放される。
ママさんは朝ご飯を用意してくれていたが、残念ながらキャットフードであった。それでも、いつも研究所で食べている食事よりも数段おいしく食べらるものだった。
食事を終えた吾輩は、リビングのソファーに座り毛づくろいしながら、パパさん・ママさん・ミキちゃんが慌ただしくしている様子を観察していた。パパさんはすぐに家から出て行った。
主はまだお休み中である。
ゆっくりできる時間を満喫していると、主がまだ眠そうな顔をして姿を現した。
食事中の主にママさんが必死に、吾輩を研究所へ連れて帰るなと抗議をし始めた。それに対して、主はすました顔で食事を済ませていた。ミキちゃんも少しだけママさん同様に抗議をしていたが、2人ともあまり時間がなかったようで長くは続かなかった。その直後、ママさんとミキちゃんからの猛烈なキスが吾輩を襲う。しかし今回はすぐに終わり、2人とも急ぎ身支度をして出かけて行った。
「じょにー。今日、研究所へ戻るよ」と主が吾輩に声を掛けた。
吾輩は「にゃー」と返事をしておいた。
主がゆっくりと身支度をしていたからなのかは分からないが、結構な時間が経過してから吾輩は、主と一緒に研究所へ戻ることになった。
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ようやく、いつも生活をしている研究所に戻ってきた。
研究所に戻ると、主が同僚の仲間と話をしている。話の内容が聞こえたので、耳を澄ましていると今日の夕方にイベントがあるようだ。どうやら主は参加することで話が終わったようだ。
吾輩は研究室に戻ると、昨日の出来事から解放された安心感から疲れを感じていた。
その為、室内でゆっくり過ごすことにした。
主は少し休んでから机で仕事を始めていた。
そして吾輩がのんびりしていると夕方頃になり、主が何やら準備を始めた。
突然吾輩の頭にハチマキなるものを巻いた。主とお揃いのようだ。
主は光る棒のようなものとカバンを持っている。
その後、主が吾輩を抱きかかえ、多目的室に向かった。
多目的室に着くと主の同僚たちが20人程いた。
そして、沢山の猫たちがいた。みんなこのフロアーの研究員たちが飼われている猫だった。
吾輩はこの段階でようやく今日のイベント内容を理解した。
主はカバンから何やら取り出し、何人かの同僚の人たちに渡していた。
その人達の様子を観察していると、すぐさま飼っている猫たちに何かを着せ始めた。
「まさか・・・・」「暴走?」
ママさんはここでも暴走行為を辞めていなかったようである。
しばらくすると掛け声が室内に響いた。「3・2・1・0!」
「「「「「「「 ゆうやけニャンニャン! 」」」」」」」
「「「「「「「 フォー! 」」」」」」」
イベントが始まったようだ。
部屋が薄暗くなり、小さいステージが用意された場所にだけ光が当たっている状態であった。
このイベントとは基本的に会員制になっているらしい。
ちなみに吾輩は、おニャンコクラブ 会員番号8番である。主は9番である。
「にゃんと」驚くべきことにメス猫たちがセーラー服なるものを身に着けていた。
そして、音楽が流れ、それぞれの主たちと一緒に踊っているようだった。
これは飼い主たちの自己満足大会であるのだろう。
特別編成チームとして3チーム結成されたらしい。
第一チーム おやゆびサムズアップ組
第二チーム にゃんキララ
第三チーム まえ髪ながいね隊
主の同僚たちはとても興奮している。光る棒を振り回している。
いつの間にかユイちゃんが主の隣におり、周りと同じような行動を取っていた。
とてもみんなノリノリである。
しかし、このイベントの闇を吾輩は知っている。吾輩は毎回最後まで正気を保ったことがない。
深ーい。とても深ーい。猫たちは抗う事が出来ない。でも、白毛のにゃむろは平気らしい。さすがは白い奴である、強い。
イベントは順調に進んでいるようだ。その時、不意打ちのように辺りに粉がまかれる。
吾輩を襲う粉は、吾輩を無力にする。他の猫たちも同様に抗うことが出来ない。にゃむろはケロッとしている。なぜだ!
そして、ダメ押しとばかりに木の枝がばらまかれる。
今日も吾輩は敗北を悟った。吾輩は・・・・・
マタタビの粉や枝は、吾輩を狂わせる。
吾輩はイベントの終了を待たずに、安らぎの世界へと誘われるのであった。
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