5 なめんなよ
今日の吾輩はママさんに散々弄ばれてしまった。
疲れを癒すために日の当たる窓際で、温かい光に包まれながら昼寝を楽しんでいた。
ふと目が覚めて窓の外を眺めると、窓から見えいる空き地に沢山の猫たちが集まっている。
何やら面白そうな事が起こっている予感がした吾輩は、衣装を身に着けている状態であったが、空き地に行くことにした。
空き地に着くと猫たちがさらに増え、とても騒がしい状況であった。
吾輩は、周りいる猫たちの間を掻き分けて中心へと向かった。
そして、そこへたどり着くと驚くべき光景を目にした。
この空き地に集まっている猫たちの集団の中心には、この空き地の近くの家に住んでいる三毛猫のミケ子ちゃんがいた。
ミケ子ちゃんはおそらく、ママさん作成の衣装を着ている。先ほどママさんに教えてもらったセーラー服というものだ。
そしてさらに驚いたのは、吾輩と似たような衣装を着ている猫が少なくとも10匹以上いた。吾輩が着ている衣装は学ランと呼ばれている事をママさんから教えてもらったばかりである。
それにしてもママさんは何故このような暴挙出たのだろう。かなりの暴走行為である。
言い争いの内容をよく聞いていると同じような事を何回も言い争っている。
俺が本家だ。「なめんなよ」
キャットテールのミケ子は俺にこそ相応しい。
そして、俺には死ぬまで有効の免許書がある。
にゃにおー。「にゃめんなよ」
お前達こそ「なめるなよ」
うるせぇ!我を「にゃめるな」
うううー「にゃんだと」
じゃぁ改名して「帰ってきた なめんなよ」
ほぉーあちゃ!貴様はもう「なめられている」
けっ。俺が元祖だ「なめてるよ」
ワシがなめ猫系「なめなめするなよ」
あたいが2丁目系よ。「にゃんにゃんしちゃうぞ♡」
お前ら本当に馬鹿ばっかし。俺がニュージェネレーション「New なめんなよ」
これからの時代は俺様だな。「真なめんなよ」
吾輩には彼らの言い争いが意味不明で理解できなかった。
「「「「「 で、お前はどうなんだよ 」」」」」
「 え? 」
「吾輩?なんで?」
「だってお前も学ランを着ているだろ。ここではつまりそういうことだ!」
「は?」
吾輩は訳が分からなかったが、前にパパさんに教えてもらったことがあった。
必殺のヤンキー言葉である。
『夜露死苦!!』
『本気だぜ!!』
「「「「「「「「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」」」」」」」」
この場に変な雰囲気が漂う。
「みんな帰ろうぜ、帰ろ」
「そうだにゃ。帰ろ」
「「「「「「「「「そうだな。みんな、解散」」」」」」」」」
いつの間にか、この場には吾輩しかいなかった。
吾輩は叫ぶ。
「どうしてこうにゃったー」
何も起きなかった。
吾輩は空を見つめて黄昏るのであった。
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