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吾輩は猫である。夢は秘密である。  作者: ゴリさん


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4 主のママさん

吾輩は、車の中にいる。正確にはカゴのような作りの物の中に入っている。

今日は久しぶりに(あるじ)の家に帰るようだ。家には主の家族でパパさん・ママさん・妹のミキちゃんが住んでいる。

研究所からは車で2時間ほどの距離のようだ。

吾輩は、この移動時間はいつもやることがなく暇なので寝ている。


「じょにー。着いたよ」


どうやら家に着いたらしい。ようやくこの入れ物の中から解放される。


「ただいま。帰ってきたよ」


「おかえり」


主の声にママさんが答えた。


「やっと、じょにーに会えた。おかえり。私のかわいいじょにー」


「にゃー」


ママさんは吾輩のことがとても大好きなようである。

でも毎回必ず、吾輩はママさんのおもちゃと化す。


「はる、今回はじょにーを研究所へ連れて帰るのはやめて」

「じょにーは私の彼氏のような存在なんだから」


ママさんは吾輩を優しく抱き上げた。そして、しばらくの間、笑顔で吾輩に頬擦りをしているのであった。

主は苦笑いしながら自室へ戻っていった。

吾輩はママさんに拘束されたまま、衣装部屋に連れていかれる。

ママさんがいくつかの衣装らしき物を手に取ると今度はリビングに連れていかれる。

リビングのソファーに座ると


「さぁ、じょにー。新作よ。今日は特殊系なのよ。似合うと良いけど」


ママさんは吾輩用に衣装を作り、着せることを趣味としているらしい。

吾輩が家に帰ってくると必ず、このパターンがお約束である。

ママさんは最初の衣装を吾輩に着せた。


「うゎー。かっこいい。じょにー似合っているわよ」


「じょにー。ニャンダー変身って言ってみて」


ママさんはニコニコしながら吾輩にお願いをしてきた。

吾輩に人の言葉を話すことなど出来ないのだけれど、無茶ぶりをすることに躊躇(ちゅうちょ)はしない。

仕方がないので吾輩に出来ることをする。


「にゃ にゃにゃにゃ にゃー」


これで良いのかわからないが、がんばってみた。すると


「キャー!じょにー最高よ!!」


すぐさま吾輩は抱きかかえられて、ママさんのキス攻撃を受ける。


「今度、はるにお願いをして、光るベルトを作ってもらわなくっちゃ」

「これは光るベルトを着けたら完璧ね。あっ、でも肝心な赤いスカーフをわすれていたわ。絶対に真っ赤なスカーフを用意してあげないと」


ママさんは張り切っていた。



「次はこれね」


吾輩は次の衣装に着替えさせられた。なにやらとてもゴージャスな衣装だ。

しかし、首元に着けられた物が少し小さい感じがした。


「キャー!!!」「アンドレー!!!!!」「大好き!」


吾輩はさらなるキス魔に襲われたのであった。でも、アンドレって誰?


「じょにーの首に着けたクラバットは少し小さかったかしら?今度はリボンスタイルも良いわね」


ママさんは喜色満面の笑みを浮かべている。


「最後にもう一着ね」


その後も吾輩はママさんにされるがままに(もてあそ)ばれた。

あとでゆっくり、日の当たる窓際で昼寝をすることを決意した吾輩であった。




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