35 チャッピーのプロモーション活動 後編
今朝はチャッピーのプロモーション活動に出掛けるため、主が慌ただしく準備をしている。
吾輩はママさんに抱きしめられ、連続キス攻撃の無限ループ中である。
ママさんは吾輩を抱きしめているにも拘らず器用に朝食の支度などを行っている。
合間合間の吾輩へのキス攻撃は不要なのだが、なんとも凄い技である。
暫くしてから主の仕度が終わり吾輩に平和が訪れると思っていると強烈な一撃が吾輩を襲う。
その技の名は『マッスルディープキッス』である。吾輩が命名した。
吾輩のライフポイントは残り僅かである。辛うじて生存しているが、本当に恐ろしい一撃である。
吾輩は主によって何とか救い出された。
現在、主の車で移動中であるが吾輩はカゴの中でぐったりとしている状態である。
主はユイちゃんの家に向かっているらしい。
今回のチャッピープロモーション活動の旅にもユイちゃんが同行するようだ。
しかし、今回、吾輩にはどのような役目があるのだろうか。嫌な予感しかしないのである。
ユイちゃんの迎えも済んで最初の目的地に向かう事となった。
目的地までは車で2時間程度であり、会場は電気製品などの販売で有名な地域の大型電気店であった。
店舗に到着すると早々に主とユイちゃんはチャッピーのプロモーション活動の準備に大忙しである。
吾輩はユイちゃんに衣装を着せられ、らいでんも衣装を着ていた。
今日の吾輩の衣装は、中世の貴族が着るような衣装らしい。ママさんがここにいれば間違いなく吾輩を「アンドレー」と呼ぶのだろう。
ユイちゃん。アンドレって誰か知ってる?吾輩の言葉はユイちゃんには伝わらないので当然答えは返ってこない。何時になったら答えを知ることが出来るのだろうか。吾輩の知りたいことランキングトップ5には入っているかな。
「そう言えば、ハル君のお母さんって熱烈なベルばらのファンだったのよね。オスカルの衣装も作っているのかしら。うふふふ・・ じょにーが女の子なら見てみたかったなー」
ユイちゃんが何か独り言を言っていたが、吾輩は聞き逃してしまった。何か吾輩にとって大事な事を言っていた気がした。もう一度、吾輩に話して欲しいがどうすれば良いのか。
「にゃにゃー」
とりあえず、ユイちゃんに訴えてみた。
「どうしたのじょにー?僕は男だよと言ったのかな?今のじょにーは貴公子じょにーね♡」
ダメだった。吾輩の伝えたかったことは伝えられなかった。残念である。
「さあ、いよいよチャッピーのプロモーション活動の開始時間だよ。頑張っていこう!」
主とユイちゃんは嬉しそうであるが、吾輩はなんだか気が重い。
『チャ。チャ。チャチャ。チャ。チャァーッピー♪ チャッピー♪ チャッピ!』
変な歌が流れ始めた。これはチャッピーの歌なのかもしれない。と考えていると主とユイちゃんに抱えられた吾輩が会場に設置された壇上の端から入場する。驚くことに沢山の人達に拍手で迎えられていた。
吾輩はなんだか恥ずかしかった。
大型のテレビが5台ほど置かれており、チャッピーのプロモーション活動用の映像が流れている。
吾輩の目の前には毛皮付きのチャッピーが20種類ほど置かれている。吾輩の知っている色からさらに倍に増えていた。
司会役の人と主とユイちゃんが会話の中でチャッピーの紹介をしている。
テレビの画面で吾輩がチャッピーを猫スマッシュで豪快に弾き飛ばしている映像が数回繰り返し流れている。1回はスローモーションで流れておりとても恥ずかしい。
『ご紹介しましょう。キャット界の貴公子の登場です。プリンスじょにー!』
『相棒のらいでんも一緒の参加です!』
吾輩達の紹介で再び会場に大きな拍手の音が響いた。吾輩への声援も聞こえる。
ユイちゃんが吾輩の右手を持ち上げて声援にこたえるようなしぐさを取る。
知らないうちに主がらいでんを抱えているが、らいでんは会場の来場者を見ておらず、何故かここでも吾輩を見ている。らいでんの気持ちは吾輩にはさっぱり理解できない。
チャッピーのプロモーションは順調に進行しているようだ。
主とユイちゃんがチャッピーの着せ替えや機能について説明をしている。
司会の人の話からプロモーション活動も予定していた内容がそろそろ終わりが近づいているようだ。
最後の企画として20種類ほどのチャッピーが一斉に踊りだした。
データをインストールすると複数のチャッピーで同じ動作をさせることが出来るようだ。
20種類ほどのカラフルなチャッピーが同じ動きをしているのを見るのは、とても不思議であった。
会場も大盛り上がりである。今日一番の盛大な拍手が会場内に響き渡っていた。
主とユイちゃんの顔の表情を見ると満足そうな笑みを浮かべている。
最初のチャッピーのプロモーション活動はとりあえずは順調に行えたようだ。
これでようやく吾輩はゆっくりすることが出来ると一安心するのであった。




