25 平穏な日常
らいでん達との戦いが終わり、王城に戻ると立食形式のパーティーが開かれた。
らいでん達も意識を取り戻し、パーティーに参加していた。
黒猫3兄弟のおしりは未だに赤く腫れているようで大変な状態であった。オルペカのおしりは、みんながくすくす笑い注目の的になっていた。とても痛そうである。
吾輩は配下らしき者達に囲まれて、パーティーを楽しむ余裕がなかった。
しかし此処は本当に不思議な世界だ。
元の世界では動物や昆虫、その他の生物、置物や玩具などが人の形をなして話をしている。
「君、口がないけど、どこから声が出ているの?」と聞いてみたくなる者や、目・耳・手・足がない者もいる。それでも器用に動いたり、会話をしたり出来るのだから本当にびっくりな世界である。
でも吾輩は一体いつまで此処にいるのだろう。
早く主の所へ帰りたい。
パーティーは長い時間行われた。吾輩は、戦いや配下達へのなれない対応でいつも以上に疲れてしまった。
吾輩は、パーティーが終わるとすぐに寝室に戻り眠りについた。
ーーーーーーーーーー
「じょにー。じょにー。ご飯だよ」
「そろそろ目を覚まして」
主が吾輩に声をかけている。
吾輩は眠っていたようだが、目を開けると吾輩の目の前に主がいた。
「にゃんにゃーん」
吾輩は会いたかった主の元にいる。そして、此処は研究所の部屋である。
いつも吾輩がいる場所である。ようやく一安心出来るのである。
らいでんや猫じゃらし君が話しかけて来ることはない。
「じょにーが全然起きないから、具合が悪いのか少し心配したよ。何もなさそうで良かった」
どうやら主は吾輩の心配をしていたようである。
吾輩はいったいどうしてしまったのだろう?
あれは夢だったのか?
吾輩は魔王に憧れているわけではない。いつも気ままに暮らせればそれで良いのだ。
吾輩の本当の夢が実現することは、今でなくて良い。
将来、夢が叶えば、それが吾輩の最高の幸せだろう。
今は、この生活が吾輩にとってはとても大切な時間である。
「じょにー。今日のご飯は、君の好きな魚の猫缶を用意したよ。ゆっくり食べて」
「にゃー」
吾輩は、主が用意してくれたご飯をゆっくり食べた。
ご飯を食べ終え満足したので、日課の毛づくろいをしてから散歩をすることにした。
らいでんは、いつものように吾輩についてくる。でも、話しかけたりはしない。
らいでんもいつもと変わらない様子だった。
吾輩はふと思った。夢の中のらいでんは自身を吾輩と言っていた。吾輩に憧れているとも言っていた。此処にいるらいでんも同じ気持ちなのだろうか?
吾輩がらいでんを見つめても、らいでんは頷きもせず、吾輩を見ているだけである。らいでんと話が出来て、らいでんの気持ちがわかるようになれば良いのだけど、今は無理だから諦めるしかないね。
部屋の外に出て、多目的ホールへ行ってみる事にした。今日は珍しく、白猫のにゃむろと黒猫の3兄弟はいなかった。会って様子を知りたかったが、いなければ仕方がない。明日にでもまた、ここへ来てみよう。
吾輩は部屋に戻り、猫じゃらし君やモグラ叩き君の様子を見てみたが、彼らが話すことはなかった。
今になってみると、らいでん・猫じゃらし君・モグラ叩き君達と話が出来ないことに少し寂しさを感じた。
魔王の世界には戻りたくないけど、彼らと会話が出来れば、今の生活はより楽しくなるだろうと考えたからである。
それでも平穏な日常は、吾輩にとってはとても大切な時間であることを再認識したのであった。
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