23 勇者 現る 中編
勇者が吾輩に会いに来た。
驚くべき事に勇者は、らいでんであった。他のメンバーには、白猫のにゃむろと3バカ兄弟が一緒であった。
吾輩の頭の中は混乱状態であったが、とりあえず王様らしく振る舞う必要があるだろう。
「君は此処へ何をしに来た?」
「じょにー魔王陛下。拝謁する機会を頂きありがとうございます。吾輩は、じょにー魔王陛下の強さを聞き及んでおります。しかし、吾輩も勇者という立場にあります。吾輩は、じょにー魔王陛下に一度、手合わせを願いたく、ここまで参りました。手合わせの後、じょにー魔王陛下の軍門に下ることをお約束いたします」
「はぁ?」
吾輩は、らいでんが言った事に驚いてしまった。
「吾輩は、じょにー魔王陛下の優しさや強さに憧れを抱いております。故に失礼ながら、自身の事を吾輩と言うようになり、じょにー魔王陛下に少しでも追いつきたく、日々精進しております」
吾輩の混乱は収まらなかったが、何より一番驚いたのはらいでんが流暢に話をしていることだった。本来らいでんはロボットであり、口の部分に開閉機能や音声機能はなかった。今のらいでんは、普通に口があり自然に話が出来る状態である。
そして、らいでんが吾輩に憧れを抱いていた事にも驚いた。
「分かった。君の挑戦を受けよう」
吾輩は覚悟を決めた。
「猫じゃらし君。何処か戦いが出来る場所はある?」
「王城の外に闘技場があります。そちらがよろしいかと」
「じゃぁ、そこへ移動しようか」
「ハイ。じょにー魔王陛下、ありがとうございます」
その後、猫じゃらし君の指示によって、彼らは立ち上がり玉座の間から退出した。その時に3バカ兄弟のおしりがとても恥ずかしい事になっていることに気がついた。彼らのおしりがお猿さんのおしりのように赤くなっていた。しかもオルペカのおしりだけは2回り程大きくなっていて物凄く赤くなっていた。
「なんだ、あのおしりは・・・」
吾輩には強烈なインパクトのあるおしりであった。
彼らのおしりが赤いのは、叩かれて腫れが引かない状態なのではと思うのであった。
吾輩も猫じゃらし君の案内で闘技場に向かうと、城の外には町があり多くの人が生活しているのが理解できた。そして、目的地の闘技場は予想以上の大きい建物だった。石造りの円形状で観戦席は5階まである構造になっているようだ。
吾輩が到着すると、闘技場内で案内されたのは王族用の部屋であった。
「陛下。しばらくこちらでお待ちください」
猫じゃらし君がそう言うと、待機していた侍女達が飲み物を運んできたりと吾輩のお世話をし始めた。
「陛下。防具や武器などのご用意はいかがなさいますか?」
「うーん・・・・。」
「いらない」
「さすがは陛下。己の力だけで勇者をねじ伏せるのですね。すばらしいお考えです!」
「え?」
吾輩は防具を身に着けたこともないし、剣や槍のような武器は使ったこともない。
主が作ってくれた吾輩専用アイテム以外の武器は使ったことがないのだ。だから、武器を使っても意味がないと思ったのだ。それが、違う認識で捉えられてしまうとは困ったものだ。
「トン、トン」
扉を叩く音がしてから、猫じゃらし君が扉の所で騎士らしき人物から何かを聞いている。
「陛下。勇者達の準備が整ったようです。彼らは闘技の場で待機しているとのことです」
「陛下の準備がよろしければ、我々も向かうと致しましょう」
「そうだね。わかった。では行こうか」
闘技の場にはすでに、らいでん達の勇者一行が待機していた。観戦席には多くの国民が入場していた。
「いつの間にこんなに集まったの?」
観戦している者は猫・犬・ねずみなど動物が人になったような者達や、昆虫などが人になった者、猫じゃらし君やモグラ叩き君のような人ではないが、生き物として存在する者など様々な者が闘技場の観戦席を埋め尽くしていた。
「なんだかすごい事になっているね」
「何をまたお戯れを。陛下の人気があればこそですよ。皆だれしもが、陛下の強さを見たいのです」
「では、陛下。ご武運を!」
吾輩は、らいでん達と対峙するのであった
「お待ちしておりました」
「待たせたね。では、始めようか」




