22 勇者 現る 前編
吾輩は目が覚めると、ベットの上にいた。
「陛下。お体は大丈夫ですか?」
「え? これってまだ続いているの?」
「何をまたお戯れを」
「そうですぞ!どれほど我々が陛下のお体を心配したことか。お疲れであればもうしばらくお休みください」
猫じゃらし君とモグラ叩き君が吾輩のそばで、心配そうに吾輩を見ている。
「分かった。もう少し休んでいるよ」
「「 それが良いでしょう 」」
2人は部屋から出て行った。
吾輩は部屋の様子を観察すると、この部屋もまたとても豪華な作りになっているようだ。
部屋はとても広く、大きな窓からは日の光が入り込み、とても気持ちの良い場所であった。
吾輩は考えていた。何故、このような状況になっているのかを。
おかしな事の始まりは、悪魔のようなささやきがあった事である。いわれるままに3バカ兄弟にお仕置きをして、再び声が聞こえた時には『 魔王 』なる言葉が聞こえた。
猫じゃらし君とモグラ叩き君が魔王で、吾輩が2人を倒したから、吾輩が魔王になったと言っていた。
悪魔のささやきの原因と関係があるのかさえ分からない。
本当によく分からない状況になっている。
「どうすればよいにゃ・・・・」
ドン、ドンと扉を叩く音がしてから「陛下。大変です!」と猫じゃらし君が慌てた様子で部屋に入ってきた。
「どうしたの?」
「それが申し上げにくいのですが・・・。勇者が城へやって来ました」
「勇者?なんで?」
「はい。勇者は魔王に謁見を求めております。まだ、戦いにはなっておりません」
「陛下。どうされますか? 勇者は城門にて待機しています」
「何がどうなっているのか・・・。本当に訳が分からないよ。まぁ、とりあえず会ってみるよ」
「分かりました。陛下は玉座の間にお越しください。勇者は配下の者に連れて来るよう指示します」
「よろしく」
吾輩の返答を聞いた猫じゃらし君は、早々に部屋から出て行った。
「とりあえずは勇者に会うしかないかな。吾輩が悪者で、勇者が正しき者なのか?」
「吾輩、討伐されたらどうなっちゃうのだろう? やだなぁ・・・。お家帰りたい」
吾輩は仕方がなく玉座の間へ向かう事にした。
部屋から出た吾輩は、しばらくして重大な事に気づいた。城が予想以上に大きな作りの為に玉座の間が何処にあるのか分からず迷子になってしまった。
「これは困った・・・。どうしよう・・・」
吾輩が途方に暮れていると、鎧らしき物を身に着けている者が遥か前方を歩いていた。
吾輩はダッシュして、彼に声を掛けた。
「君、ちょっと待って!」
「はっ、陛下。なぜここに?」と彼は言って、左手を胸に当て片膝と右手を床につけ、頭を下げた。
「なっ」と吾輩は驚いてしまった。吾輩はパパさんから見せてもらったことのある映画の中の『 騎士 』という存在を思い出していた。
「この世界は本当になんなのだ!」と驚くことしかできなかった。
それでも吾輩は目的を達成しなければならない。だから今大切な事を優先した。
「玉座の間に行きたいけど、場所が分からないから教えてくれる?」
「ハッ!私が陛下を玉座の間まで護衛させて頂きます。私の後に続いてお歩き下さい」
「よろしくね」
「ハッ!光栄の至り」
吾輩は彼の案内で何とか玉座の間へたどり着くことが出来た。
「陛下。こちらからお入り下さい」と言って彼は扉を開けてくれた。
「ありがとね。とても助かったよ」
「ハッ。身に余るお言葉をいただき、大変恐縮です」
入り口を入ると目の前には玉座が見えた。今の入口は裏口のようなものなのだろうか?と考えながら、とりあえず玉座に座った。玉座の間にはすでに勇者一行、猫じゃらし君やモグラ叩き君の他に知らない者が沢山いた。勇者一行は、先ほどの騎士が行ったように床に片膝をついて、頭を下げている。
「頭をあげよ」と猫じゃらし君が言うと、皆、頭をあげて吾輩を見ている。
「なっ!」
勇者一行は吾輩の知っている者達だった。
「どうして此処に君がいるの?」
勇者は、らいでん であった。
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