11 ネズミ型ロボット MR1
今日の主は、ネズミ型のロボットを出してきた。
吾輩とCR1は、しばらくねずみ型ロボットの動きを観察した。
ねずみ型ロボットの名前はMouse Robot 1を略してMR1と言う。
大きさは吾輩達の半分位であった。
吾輩はMR1を追いかけてみた。CR1も吾輩と同じように追いかけ始めた。MR1は吾輩達に捕まらないように必死で逃げているようだった。
吾輩は猫スマッシュを繰り出す。CR1も同様に動き出した。
吾輩達の猫スマッシュはまだ直撃はしていないが、少しずつMR1に当たり、MR1が吹き飛ぶようになっていた。
MR1はもはやアイスホッケーのパックのような状態で、吾輩とCR1で猫スマッシュの餌食になっていた。
MR1は今まで辛うじて猫スマッシュの直撃だけはなかったのだが、吾輩がジャンプ一番会心の猫スマッシュを放つと「バッシーン」と会心の直撃音の後直ぐに「ガシャーン」という音と共に壁に激突して部品などが飛び散り壊れてしまった。
吾輩は思わず「やってしまった」と思い、MR1を壊してしまった罪悪感から動揺していた。
CR1は動かず吾輩を見ている。「どうする?」とでも言っているようだった。
しばらくの間、吾輩は今後どうするかを考えていた。
とりあえず吾輩は、粉々になったMR1の部品を集める事にした。
飛び散った部品を集めた頃に、主が部屋に戻ってきた。
「ああ、やっぱり壊してしまったか」と言って、主はMR1の部品を拾い集めた。
主は吾輩達には何も言わなかった。部品を集めた主は、椅子に座り机で作業を始めていた。
吾輩達は、大人しくして主の作業を観察することにした。主はMR1の予備部品を用意して修理をしているようだった。観察していることに飽きてしまったので、しばらく寝て待つことにした。
「出来た!」という主の声で吾輩は目を覚ました。
「今度は、簡単には壊れないからね。試作2号だから、とりあえず呼び名はMR2でいいかな。さあ、今度はどうなるのかな」
主はMR2を吾輩達の前に置いた。MR1に比べると体全体に膨らみがある。動きはMR1よりも早く反応するようだ。吾輩とCR1は猫スマッシュを繰り出して攻撃をするが、MR2はとても反応が良く、すぐに距離を置いて逃げる。
吾輩のジャンプ一番会心の猫スマッシュを放っても、直撃には至らない。MR2の体全体にはゼリー状の膜のようなものがついているようで、衝撃も緩和されてしまう。
吾輩達の行動を見ていた主は「今のところは、問題なさそうだね。また壊れたらかんがえるかな」と言って、部屋を出て行った。
その後も吾輩達の追いかけっこが続いたが、その日は結局、MR2に直撃打を与えることは出来なかった。
吾輩とCR1とのコンビネーションも向上しているのだが、MR2はとても素早く優秀である。でも、吾輩の必殺猫スラッシュからはいつまでも逃げることは出来ないだろう。
明日は必ず、会心の一撃を与えてあげるのだ。と決意した吾輩であった。
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