表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/51

カズマ対ナギサの決着

ナギサは影の拘束から逃れようと必死にもがいていた。


「離しなさい!私は選ばれた聖女よ!」


「聖女?」カズマの声は氷のように冷たかった。「子供を殺そうとした奴が聖女だって?」


カズマは【封雷結界】を発動。雷の結界がナギサを包み込み、動きを完全に封じた。


「う、動けない…」


「君は最初から演技だったんだな」カズマは悲しそうに言った。「本当の君は、こんなに醜い心の持ち主だった」


「違う!私は被害者よ!」ナギサは涙を流しながら叫んだ。「元の世界では誰も私を見てくれなかった!この世界でやっと認められたのに!」


「だからって無関係な人を殺していい理由にはならない」


カズマは【氷結侵食】を発動。ナギサの体内に氷の結晶を生成し、内部から凍結させ始めた。


「ひっ…冷たい…」


「これで終わりだ」


ナギサは意識を失い、戦闘不能になった。



リュウヤの最後の抵抗


リュウヤは膝をつきながらも、まだ戦意を燃やしていた。


「まだだ…まだ終わってねえ!」


彼は【殺戮の悦び】を発動。周囲の死体から生命エネルギーを吸収し、傷を回復させ始めた。


「気持ち悪い能力ね」リーフィアが眉をひそめた。


「だが、これで終わりだ」カズマが前に出た。


彼は【重力制御】を発動。リュウヤの周囲の重力を10倍に増大させた。


「ぐあああああ!」


リュウヤの体が地面に押し付けられる。骨が軋む音が聞こえた。


「重い…動けねえ…」


「もう諦めろ。お前たちの負けだ」


カズマは【空間断絶斬】を発動。空間を切り裂く斬撃がリュウヤに向かった。しかし直前で軌道をずらし、彼の武器だけを真っ二つにした。


「次は体を切る。抵抗をやめて降伏しろ」


リュウヤは完全に戦意を失い、地面に倒れ込んだ。



戦後の慚愧


戦いが終わった後、カズマは魔族の死体の山を見て愕然とした。数百もの命が理不尽に奪われていた。


カズマは倒れておるナギサとリュウヤにとどめを刺そうとするが…


「ダメだ…やっぱり殺せねえ…」


ナギサとリュウヤを見下ろした。二人は意識を失って横たわっている。


「クソッ!なんでお前らは同じ日本人なのに、こんなに冷酷に命を奪えるんだ!」


カズマの拳が震えていた。怒りと悲しみで胸が張り裂けそうだった。


「カズマ…」リーフィアが彼の肩に手を置いた。


「分からないんだ。同じ世界で生まれ育ったのに、なんでこんなに違うんだ…」


女王ヴェルザがゆっくりと近づいてきた。


「お前は優しすぎる。だが、それが強さでもある」


「女王様…」


「この二人をどうする?」


カズマは長い間考え込んだ。そして決意を固めて言った。


「人質にしよう。王国に獣人王を返してもらうための交渉材料にする」


魔王城の牢獄で、ナギサとリュウヤは鉄格子の中に閉じ込められていた。二人とも意識を回復していたが、力を封じる魔法の鎖に縛られていた。


「なんで私達がこんな目に…」ナギサがすすり泣いた。


「クソ野郎…絶対に復讐してやる…」リュウヤが歯を食いしばった。


カズマは牢獄の前に立った。ナギサとリュウヤが彼を睨みつける。


「お前ら、しばらくここにいてもらう。王国との交渉が済むまでの間だ」


「ふざけるな!私達は英雄よ!」ナギサが叫んだ。


「牢獄だ? ふざけるな! 俺達は選ばれた存在なんだぞ! この力は神に与えられたスキルだ! 神が悪にスキルを渡すか? 俺達が正義だろ!」リュウヤが激高して叫んだ。


「そうだよ! 魔族なんてバケモンじゃん! 獣人なんてモンスターじゃん! 倒すべき存在なんだよ! 敵を倒すためにスキル与えられたんじゃん!」ナギサも続けて叫んだ。


その言葉を聞いて、ヴェルザが悔しそうに拳を握りしめた。魔族である彼女にとって、その差別的な言葉は深く心に刺さった。


カズマは小さく言った。「バケモノか…」そして手を掲げ、新たなスキルを発動した。


形態変化強制ケイタイヘンカキョウセイ


光がナギサとリュウヤを包み込んだ。


「な、何これ!?」


光が収まると、そこには変わり果てた二人の姿があった。リュウヤは緑色のガマガエルのような外見になっており、ナギサは半魚人のような姿になっていた。


「うわああああ!なんだこれ!?ゲコ」


「きゃあああああ!私の美しい顔が!ギョ」


「少しはマシな面になったな」カズマはため息混じりにに言った。


「元に戻せ!ゲコ」


「お願い!元に戻して!ギョ」


「反省が見られるまでは無理だね」


カズマは背を向けて立ち去った。牢獄に二人の絶望の叫び声が響いた。



治療活動の開始


翌日、カズマとリーフィアは襲撃を受けた魔族の村で治療活動を行っていた。


カズマは【水流操作】で傷の治癒を行い、リーフィアは【浄化の水流】で毒素を中和していた。精霊たちも協力し、アクエリアが清浄な水を供給し、イグニスが【紅蓮爆炎】で傷口を焼灼して止血を行った。


「ありがとうございます…」


重傷を負った魔族の老人がカズマに頭を下げた。


「いえ、当然のことです。申し訳ありませんでした、同じ人間として」


「あなたは違います。あなたは優しい心を持っておられる」


魔族の子供たちがカズマの周りに集まってきた。最初は怖がっていたが、治療を受けるうちに懐くようになった。


「お兄ちゃん、痛くない!」


「すごい魔法だね!」


カズマは微笑んだ。この瞬間のために戦ってきたのだと実感した。


女王ヴェルザが彼の隣に立った。


「お前のような人間もいるのに…なぜ同じ種族でこんなにも違うのだろうな」


「俺にも分からない。でも、だからこそ諦めたくないんです」


女王は複雑な表情でカズマを見つめた。そして、ふと頬に軽く口づけした。


「えっ!?」


リーフィアが慌てて駆け寄ってきた。


「ちょっと女王様!何してるのよ!」


「礼だ。深い意味はない」ヴェルザは微笑んだ。「…たぶんな」


カズマは赤面し、リーフィアはぷんぷん怒った。その様子を見て、魔族の子供たちが笑い声を上げた。


久しぶりにこの場所に笑顔が戻った瞬間だった。



人質交換の実現


数日後、王国との人質交換が行われることになった。交換場所は中立地帯である大草原。


王国側からは騎士団長ガイウスが来訪し、魔族側からは女王ヴェルザとカズマが参加した。


「獣人王と引き換えに、召喚者二名を返していただく」


ガイウスは公的な口調で言ったが、その表情は複雑だった。彼は軍人として命令に従っているが、内心では疑問を感じているようだった。


「条件を呑もう」ヴェルザが答えた。


人質交換は滞りなく行われた。獣人王ガル・バオが解放され、ナギサとリュウヤ(ガマガエル人間と半魚人の姿のまま)が王国に引き渡された。


「助かった」獣人王がカズマに頭を下げた。「礼をしたい」


彼は特別な装備をカズマに贈った。


【魔力還流マント】


「ただし、魔力を半端なく消費する。常人は数分で魔力が枯渇するだろう。まあ、とてつもない魔力を持ったお前なら問題ないと思うが」


カズマはマントを身に着けた。魔力の流れが変化し、より大規模な魔法が使えるようになったことを実感した。


王国の一行が立ち去る際、ガイウスが振り返った。


「もしかしたら…あなた方が正しいのかもしれません」


小さくそうつぶやいて、彼らは去っていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ