カズマの異変察知
カズマは突然頭を押さえてうめいた。
「うぐっ…!」
「カズマ、どうしたの?」リーフィアが駆け寄る。
カズマの脳裏に強烈な殺意の波動が押し寄せていた。それは遠く離れた場所から発せられているが、その凶暴さは肌を刺すように感じられた。
「これは…新しい力か?」
カズマは目を閉じ、集中した。すると頭の中に鮮明な映像が浮かんだ。魔族の村を襲う二つの強大な殺意。その正体は…
「ナギサとリュウヤだ!」
「何ですって?」リーフィアの顔が青ざめた。
「あいつら、魔族の村を襲ってる。大勢の命が危険だ!」
カズマは立ち上がり、【転移】の準備を始めた。
「待って、一人で行くつもり?」
「リーフィア…」
「私も行くわ」彼女は弓を手に取った。「あなた一人じゃ危険すぎる」
魔族の村での惨劇
カズマたちが【転移】で到着した時、既にそこは地獄と化していた。
石造りの家々は炎に包まれ、街の中心部には魔族の死体が山のように積み重なっていた。老人も、女性も、子供も関係なく殺されていた。血の川が石畳を流れ、空気は死と絶望の匂いで満ちていた。
「ひどい…」リーフィアが手で口を押さえた。
カズマは拳を握りしめた。怒りと悲しみが胸の奥で渦巻く。
「許せない…こんなの虐殺だ!」
その時、狂気じみた笑い声が響いた。
「あはははは!これは楽しい!もっと逃げろよ!」
リュウヤが血まみれの剣を振り回しながら、逃げ惑う魔族を追いかけていた。その表情は完全に正気を失っており、殺戮そのものを楽しんでいた。
一方のナギサは、泣き叫ぶ魔族の子供たちの前に立っていた。
「あなたたちのせいよ!私がこんな目に遭ったのは!」
彼女の手には光の槍が形成されている。【希望の歌声】で周囲を支配し、魔族たちを絶望に陥れながら一方的に攻撃していた。
その時、カズマの後ろで温かい光がゆらめいた。火の精霊イグニスが姿を現し、瀕死の重傷を負った魔族たちの元へと駆け寄る。
「【紅蓮爆炎】!」
イグニスの周囲に優しい炎が広がった。攻撃のための爆発的な炎ではなく、治療のために温度を調節された癒しの炎だった。半径20メートルの範囲で、傷口を焼灼して止血し、細菌を殺菌する特殊な炎が魔族たちの傷を包み込む。
「お前ら!!」
カズマの叫び声が戦場に響いた。そして彼の視線の先で、血塗れで倒れている魔族女王ヴェルザを発見する。
「ヴェルザ!」
カズマは駆け寄り、息も絶え絶えの女王を抱きしめた。
「しっかりしろ!死ぬな!」
その瞬間、カズマの体から眩い光が放たれた。それは新たな古代魔法の発現だった。神々しい光があたり一面を包み込み、ヴェルザの傷がみるみる癒されていく。やがて女王の瞳がゆっくりと開かれ、意識を取り戻した。
「カズマ…?」
大規模戦闘の開始
ナギサとリュウヤが振り返ると、そこには血相を変えたカズマの姿があった。
「おお、お前に会いたくてたまらなかった!」ナギサの顔が歪んだ笑みで満たされた。「復讐の時間よ!」
「最高潮の興奮だぜ!」リュウヤも剣を構えた。「今度こそ殺してやる!」
「貴様ら…」女王ヴェルザの全身から暗黒のオーラが立ち上った。「我が民を…よくも…!」
戦場に緊迫した空気が流れる。カズマは【朧影転写】を発動し、3体の影分身を展開。リーフィアは弓を構え、精霊たちも戦闘態勢に入った。
セルヴァン「久しぶりの本格的な戦いだな」
アクエリア「あの子たちの心、完全に歪んでしまっている…」
イグニス「燃やし尽くしてやる!」
戦いは同時多発的に始まった。
ナギサが【偶像崩壊】を発動。周囲に巨大な光の結界を展開し、敵の精神を攪乱する魔法を放った。
「私を傷つけた分、百倍にして返すわ!」
しかしカズマは【心影結界】で精神攻撃を完全に無効化。そのまま【朧影転写】の影分身でナギサを囲んだ。
「なっ!効かない!?」
「もう君の手には乗らない!」
カズマの影分身がナギサに襲いかかる。ナギサは慌てて【民衆の盾】を発動。周囲の空間に光の盾を無数に展開して防御したが、影は物理攻撃を通り抜けてナギサの体を拘束した。
一方、リュウヤはリーフィアと対峙していた。
「エルフの小娘が!俺の邪魔をするな!」
リュウヤが【狂戦士の血】を発動。全身の筋肉が膨張し、戦闘能力が飛躍的に向上する。彼は獣のような速度でリーフィアに突撃した。
しかしリーフィアは【精霊召喚陣】を展開。
「来なさい、風と水と火の精霊たち!」
三体の精霊が同時に現れ、リュウヤを囲んだ。セルヴァンが【疾風召喚】で時速200キロの風の渦を作り出し、リュウヤを吹き飛ばす。アクエリアが【浄化の水流】で彼の【狂戦士の血】の効果を中和し、イグニスが【炎獄結界】で逃げ道を封じた。
「ぐああああ!」
リュウヤは炎の壁に阻まれ、風に翻弄され、水に力を削がれた。リーフィアは冷静に【精密射撃】で彼の急所を狙い撃ちした。
「がはっ!」
リュウヤの膝から矢が突き出る。彼は地面に崩れ落ちた。




