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第10章「虐殺の狂宴と救済の戦い」

召喚者たちの復帰


王国の治療院で包帯に巻かれたナギサとリュウヤは、ようやく立ち上がれるまでに回復していた。魔王城での戦いで負った傷は深く、完治まで数週間を要していた。


「うう…まだ痛む…」ナギサが肩を押さえながらつぶやく。彼女の顔には、あの清廉な「聖女」の面影はなく、憎悪に歪んだ表情が浮かんでいた。


「クソッ!あの野郎…絶対に許さねえ」リュウヤは拳を握りしめ、歯を食いしばった。「俺達が怪我で苦しんでる間に、ミツルは獣人族ぶっ殺しまくってたんだからな。良いご身分だよ」


ナギサの目に涙が浮かぶ。しかしそれは悲しみの涙ではなく、屈辱と怒りの涙だった。


「私達は選ばれた存在のはず…なのに、なんであんな目に…」


「憂さ晴らしがしたいぜ」リュウヤが立ち上がり、窓から外を見やった。「怪我が治り次第、また魔族領でも襲いに行くか?ストレス発散にはもってこいだろ」


ナギサの顔がぱっと明るくなった。まるで子供が新しいおもちゃを見つけたかのように。


「それよ!魔族なんて害虫みたいなものでしょ? 駆除しても誰も文句言わないわ」


二人は顔を見合わせ、薄気味悪い笑みを浮かべた。



王国での会議


宰相バルザックの執務室では、ミツルが一人椅子に座っていた。彼の表情は以前のような確信に満ちたものではなく、どこか曇りがかっていた。


「ミツル殿」バルザックが静かに口を開いた。「ナギサ殿とリュウヤ殿が魔族領への襲撃を提案されているのだ…」


「止めません」ミツルは短く答えた。「あの二人の怒りはもっともです。魔族に味方するような人間がいる以上、強硬策も必要でしょう」


「しかし、君は同行しないのか?」


ミツルは窓の外を見つめた。そこには王国の街並みが広がっていたが、彼の目には何も映っていないようだった。


「僕は…もう一度、あの男と対峙する時のために力を蓄えます。次こそは必ず、正義を示さなければ」


ミツルは龍神の血を飲み干した。


バルザックは薄い笑みを浮かべた。


「そうですな。では二人には自由に行動していただこう。どんな手段を使っても構わん」




魔族領への侵入


数日後、二人は王国軍の一部隊を率いて魔族領へと向かった。国境を越え、深い森を抜けると、意外にも普通の町並みが広がっていた。


「え……思ったより普通ね」ナギサが眉をひそめる。


魔族の城下町は、確かに王国の町と変わらない風景だった。石造りの建物が立ち並び、商店街には活気があり、魔族たちが日常生活を送っている。角や翼、尻尾などの特徴はあるものの、その営みは人間と何ら変わりがなかった。


「つまんねー」リュウヤが舌打ちする。「もっとおどろおどろしい場所かと思ったのに」


「でも、殺しがいのある相手がたくさんいるわ」ナギサの目が光る。「始めましょうか」


二人は兵士たちを町の外で待機させ、まず情報収集と称して町の中心部にある食堂に入った。


「いらっしゃいませ」角の生えた魔族の店員が愛想よく迎える。「お客様、珍しい方ですね。人間の方ですか?」


「そうよ」ナギサが甘い笑顔を作る。「旅の途中で立ち寄らせてもらったの。何かおすすめはある?」


「でしたら当店自慢の魔獣肉の煮込みはいかがでしょう。香辛料が効いていて絶品ですよ」


リュウヤも席に着く。「俺にもそれくれ。腹ペコでたまんねえや」


料理が運ばれてくる。湯気を立てる茶色い煮込みは確かに美味しそうな香りがしていた。二人は一口食べてみる。


「……意外と美味い」リュウヤが驚く。


「本当ね。人間の料理と変わらないわ」ナギサも同意する。


他の客席には魔族の家族連れがいる。父親らしい魔族が子供に食べ方を教えており、母親が優しく微笑んでいる。まるで人間の家族と変わらない光景だった。


しばらくして、店員が会計に来る。「お代は銀貨2枚になります」


リュウヤがゆっくりと立ち上がった。「代金の代わりだ」


突然、リュウヤの拳が店員の顔面を直撃した。鈍い音とともに店員が吹き飛び、テーブルに激突する。


「きゃあああ!」


店内が一瞬で阿鼻叫喚に包まれた。客たちが立ち上がり、逃げ惑う。


ナギサも立ち上がり、手に光の剣を出現させる。「【光剣召喚】」


光る剣で近くのテーブルを叩き切る。木片が飛び散り、料理が床に散乱する。


「うわあああ!」魔族の客たちが出口に殺到する。


リュウヤは【破壊衝動】のスキルを発動。筋肉が膨張し、目が血走る。「逃がすかよ!」


壁を殴り抜き、逃げようとした魔族の背中を掴む。


「助けて!」


「誰か!」


リュウヤは魔族を持ち上げ、床に叩きつける。骨の折れる音が響いた。


ナギサは【希望の歌声】を逆用し、絶望の歌を歌い始める。魔族たちは動きが鈍くなり、恐怖に支配される。


「どうして……どうしてこんな……」


「子供だけは……お願い……」


しかし二人に容赦はなかった。


「うるせえ!」リュウヤが魔族の親子に襲いかかる。


「きゃああああ!」母親が子供を庇うが、リュウヤの拳が両方を貫いた。


ナギサは光の剣で店内の装飾を次々と破壊していく。「気持ちいい……久しぶりにストレス発散できるわ」


店員が血まみれになりながら這いずり回る。「お、お客様……なぜ……」


「客?」ナギサが冷たく笑う。「私たちは英雄よ。魔族を駆除する正義の使者」


店員の頭を踏みつける。頭蓋骨が軋む音がした。


リュウヤは【不死身の肉体】のスキルで傷を瞬時に回復させながら、暴れ回る。「最高だ!やっぱ殺戮は興奮する!」


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