大砂漠への旅立ち
獣人国での武道会を終え、古代魔導書を手に入れたカズマたち一行は、次なる共鳴を求めて旅を続けていた。森の精霊セルヴァンが風を起こしながら、砂埃を払っている。
「次の共鳴はどこから感じる?」リーフィアが汗を拭いながら尋ねた。
カズマは目を閉じ、精神を集中させる。古代魔法適性により、遠くからかすかに響く魔力の波動を感じ取ることができるようになっていた。
「あっちだ...大砂漠の奥深く。でも、なんだか他とは違う感じがする」
セルヴァン「砂漠か...あそこには古い遺跡がいくつかあるらしいが、どれも危険だと聞く」
「危険でも行くしかない」カズマは決意を込めて言った。「古代魔導書を集めることで、この世界の真実が見えてくる気がするんだ」
三日間の砂漠横断の後、カズマたちは奇妙な光景に遭遇した。砂の中から突き出ている巨大な建物の頂上部分。
「これは...都市の一部ね」リーフィアが驚嘆する。
セルヴァン「伝説の『沈黙の都市』だ。かつて魔法で大いに繁栄したが、禁忌の実験に失敗して一夜にして砂に沈んだという」
建物の入り口を見つけ、地下へと続く階段を降りていく。内部は完全に保存されており、まるで時が止まったかのようだった。壁には古代文字で何かの警告が刻まれている。
「『炎の番人は眠る。されど目覚めれば全てを灰に』...なんて書いてある」カズマが翻訳する。
「炎の番人?」リーフィアが不安そうに呟く。
その時、足元から熱気が立ち上り始めた。
火の精霊イグニスとの遭遇
遺跡の最深部に到着すると、そこには溶岩のような赤い池があった。中央の祭壇には炎に包まれた魔導書が浮いている。
「あれだ!あの魔導書が共鳴の源だ」
カズマが近づこうとした瞬間、溶岩池から巨大な炎の塊が立ち上がった。炎は人の形を取り、燃える瞳でカズマたちを見据えた。
「オレの炎で全部燃やし尽くしてやる!何百年ぶりかの来客だ!存分に楽しませてもらうぜ!」
火の精霊イグニスが現れた。セルヴァンとは対照的な、荒々しく情熱的な存在だった。
セルヴァン「イグニス...相変わらず暑苦しい野郎だ」
「セルヴァン!久しぶりだな、風野郎!それにしても人間なんかと一緒にいるとは...落ちたもんだぜ」
「この人間は特別だ。お前も分かるはずだ」
「ハッ!試してみるか!人間、名前は?」
「カズマだ」
「よし、カズマ!オレと戦って勝ったら魔導書をやる。負けたら炭にしてやる!」
イグニスが両手を上げると、周囲の気温が一気に上昇した。溶岩池からマグマが噴き出し、遺跡内部が地獄のような熱気に包まれる。
「【紅蓮爆炎】!」
イグニスの手から巨大な火球が放たれる。カズマは咄嗟に【転移】で回避するが、爆発の余波で壁が溶解した。
「すげー威力だ...直撃したら即死だった」
リーフィア「カズマ、私も援護する!」
彼女が弓を引き絞り、矢に自然の魔力を込めて射る。しかし矢は火の精霊に触れる前に燃え尽きてしまう。
「無駄だぜ、エルフ!オレの炎は全てを燃やし尽くす!」
イグニスが地面を叩くと、足元から炎の柱が噴き出した。カズマは【朧影転写】で影を分離させ、本体は別の場所に移動する。
「影分身か!面白い技だな!」
しかしイグニスは範囲攻撃で影を全て燃やし尽くす。カズマは【封雷結界】で防御しようとするが、雷の結界も高熱で溶解してしまう。
「雷程度じゃオレの炎は消せねえぜ!」
セルヴァン「カズマ、一人で戦うな!連携だ!」
風の精霊が【疾風召喚】で強風を起こし、炎の勢いを弱めようとする。しかしイグニスは逆に風を利用して炎の威力を増大させた。
「風があれば炎はもっと燃えるんだぜ!」
水の精霊の登場
絶体絶命の状況で、カズマの心の中で新たな存在が目覚めた。涼やかな声が響く。
『私の力を使いなさい』
美しい水色の髪をした女性の精霊、アクエリアが現れた。
「水の精霊...!」リーフィアが驚く。
アクエリア「あなたの心、清らかな流れを感じます。この力、あなたならきっと正しく使えるでしょう」
カズマの手に水色の魔導書が現れる。内容が直感的に理解できた。
「【水流操作】!」
カズマの手から清らかな水流が噴出し、イグニスの炎と激突する。水蒸気が立ち上り、遺跡内部の温度が下がり始めた。
「水だと!?チッ、面倒な奴が出てきやがった」
イグニス「だが、水程度でオレを倒せると思うなよ!【炎獄結界】!」
周囲が炎の壁に囲まれ、逃げ場がなくなる。温度はさらに上昇し、カズマたちの体力が急速に奪われていく。
「このままじゃ蒸し焼きになる...」
その時、カズマは気づいた。イグニスの攻撃には規則性がある。彼は戦いを楽しんでいるのだ。
「イグニス!お前、本当は戦いそのものが好きなんだろう!」
「当然だ!戦いこそ生の証明!燃える心こそが全てだ!」
「なら、もっと燃えるような戦いを見せてやる!」




