表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/51

第9章「王国の侵攻と獣人王の捕獲」

ミツルの夜襲計画


その夜、王国の軍営では緊急作戦会議が開かれていた。


大きな天幕の中央に地図が広げられ、その周囲を王国の将軍たちと、そして回復したミツルが囲んでいる。彼の表情は昨日までの迷いを捨て去り、冷徹な決意に満ちていた。


「獣人国は今、武道会の疲労で守りが手薄になっている」将軍の一人が地図上の獣人国を指差した。「今こそ電撃作戦を仕掛ける絶好の機会です」


「ナギサとリュウヤはまだ治療中なのか?」ミツルが静かに尋ねる。


「はい。あの時の傷が思った以上に深く…完全回復まであと数日はかかるでしょう」


ミツルは小さくため息をついた。あの戦いでカズマに敗北した屈辱は、まだ胸の奥で燃え続けている。


「構わない。僕一人でも十分だ」


彼の声には絶対的な自信が込められていた。龍神の血の影響で、彼の力は以前とは比較にならないほど向上している。


「ミツル様、やはり危険では…」


「獣人どもに正義の鉄槌を下すのに、危険も何もない」ミツルの目が冷たく光る。「それに、あの裏切り者カズマがまだ近くにいるかもしれない。今度こそ、必ず始末してやる」


地図上の獣人国の城を見つめながら、ミツルは拳を強く握りしめた。心の中で、あの日の屈辱が何度も蘇る。


(僕は選ばれた存在なんだ。正義の執行者なんだ。なのに、なぜあいつは僕の邪魔をする?なぜ魔族なんかの味方をする?)


「夜襲を開始する。月が雲に隠れる深夜二時、全軍で獣人国の城を包囲せよ」


ミツルの命令に、将軍たちが一斉に敬礼した。



深夜の奇襲


深夜二時。月が厚い雲に隠れ、獣人国の城は静寂に包まれていた。


城壁の見張り台では、獣人の衛兵が眠気と戦いながら警備についている。武道会の興奮と疲労で、いつもより警戒が緩んでいるのは事実だった。


「ふわあ…今夜は静かだな」


衛兵がそう呟いた瞬間、空気が変わった。


遠くから、かすかな足音が聞こえてくる。最初は風の音かと思ったが、だんだんとはっきりしてきた。それは大軍が移動する音だった。


「な、何だ?」


衛兵が双眼鏡で遠方を覗こうとした瞬間、空から眩い光の槍が降り注いだ。


「【審判の光】!」


ミツルの声が夜空に響く。光の槍は正確に見張り台を貫き、衛兵を一瞬で戦闘不能にした。


「敵襲だ!敵襲ー!」


城内に警鐘が鳴り響くが、すでに遅かった。王国軍の精鋭部隊が城壁を越え、四方八方から侵入してくる。


城の正門では、ミツルが一人で立ちはだかっていた。厚い鉄の扉も、彼にとっては紙同然だ。


「【聖剣召喚】」


光の剣が彼の手に現れ、その輝きで周囲が昼間のように明るくなる。一振りで城門が粉砕され、王国兵たちが雪崩のように侵入した。


「獣人どもを一匹残らず捕らえろ!抵抗する者は殺して構わん!」


ミツルの冷酷な命令に、兵士たちが応えた。


城内では、突然の襲撃に混乱した獣人たちが慌てて武器を取っていた。


「王様を守れ!」


「侵入者を城から叩き出せ!」


しかし、王国軍の装備と戦術は獣人国を圧倒していた。魔法による遠距離攻撃、統制の取れた集団戦法、そして何より、ミツルの圧倒的な力。


城の中庭では、獣人の精鋭戦士たちがミツルに立ち向かっていた。


「人間め!我が国になんの用だ!」


熊の獣人が巨大な戦斧を振り下ろすが、ミツルはそれを軽々と受け止めた。


「用?正義の執行に理由など不要だ」


ミツルの聖剣が閃く。光の刃が熊獣人の胸を貫き、彼は倒れ伏した。


「つ、強い…」


狼の獣人が震え声で呟く。しかし、仲間のために戦わなければならない。彼らは一斉にミツルに襲いかかった。


「無駄だ。【絶対正義】」


ミツルを中心に正義の力場が展開される。王国の価値観に基づいた「正義」に反する者、すなわち獣人たちの能力が大幅に削がれた。


動きが鈍くなった獣人戦士たちを、ミツルは次々と倒していく。その表情には、もはや迷いも躊躇もなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ