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魔族女王との対面

玉座の間は圧巻だった。天井は見えないほど高く、柱には生きた炎が巻きついている。そして、その奥にある黒い玉座に座る女性。


魔族女王ダークネス・ヴェルザ。


彼女は想像以上に美しかった。長い銀髪、紫色の瞳、そして威厳に満ちた表情。しかし、その美しさの中に深い悲しみと怒りが隠されているのをカズマは感じ取った。


「人間よ」女王の声が響いた。「なぜここに来た?」


その瞬間、空気が変わった。


風が止まり、松明の炎が静止する。時間が止まったかのような静寂の中で、優しい光が玉座の間に満ちていく。


周囲の精霊たちが静かに集まってくる。光の精霊、影の精霊、様々な自然の力を司る存在たちが、霧のように空間を満たしていく。


そして、圧倒的な存在感と共に、一人の女性が姿を現した。


白銀の衣をまとい、透明感のある美しさを持つ女性。しかし、その美しさの奥に、数万年という時の重みが感じられる。精霊女王ミュリエル。


その場にいた全ての者が、自然と頭を垂れた。魔族女王ダークネス・ヴェルザですら、恭しくひざまずく。バルログや長老たちも、畏敬の念を込めて跪いた。


カズマも圧倒され、思わず膝をついた。リーフィアとセルヴァンも同様だった。


「精霊女王ミュリエル様…」女王ヴェルザの声が震えていた。「なぜこのような場に」


ミュリエルは優雅に微笑む。その笑顔には、母のような慈愛と、長い年月を生きた者の叡智が宿っていた。


「ヴェルザ、そしてバルログよ」ミュリエルの声は清らかに響く。「あなたたちの怒りは理解できる。人間たちがあなたたちにしてきたことは、決して許されることではない」


魔族たちがほっとした表情を見せる。精霊女王が自分たちの味方だと思ったのだ。


「しかし」ミュリエルは続けた。「憎しみの連鎖を断ち切らなければ、この世界に真の平和は訪れない。私たち精霊は、長い間そのことを学んできた」


彼女はカズマに視線を向ける。


「あなたが見込んだ者ならば、私にも見せてほしい」ミュリエルはヴェルザに語りかける。「信じられぬのも無理はない。それほどに人間は多くを奪った。だが、それでも我ら精霊は"可能性"を捨てない」


女王ヴェルザは複雑な表情を浮かべる。


「精霊女王様のお言葉ですが…この人間を信じろと?」


「信じる必要はない」ミュリエルは首を振る。「ただ、話を聞いてやってほしい」


カズマは一歩前に出た。「俺の名前はカズマです。古代魔法を学ぶため、古代魔導書を探しています」


女王の瞳が鋭くなった。「古代魔法だと?現代にそんなものが残っているはずがない」


「これを見てください」カズマは【封雷結界】を小規模で発動した。雷の結界が彼の周りに現れる。


玉座の間がざわめいた。魔族の臣下たちが驚愕の声を上げる。


「まさか…本当に古代魔法を」女王は玉座から立ち上がった。「どこでその力を?」


「異世界から召喚された時に目覚めました」カズマは正直に答えた。「でも、まだ完全にコントロールできません。だから、もっと学びたいんです」


女王の表情が複雑になった。「召喚者…王国の犬か」


「違います」カズマは強く否定した。「王国は俺を処刑しようとしました。俺には他の召喚者のようなスキルがないと判断されましたから」


「まぁ古代魔法が使える者が存在するとは、思いもしないだろうからな」女王は玉座に座り直した。「では、なぜ古代魔法を学びたい?力を得て王国に復讐するためか?」


「復讐のためじゃありません」カズマは真っ直ぐ女王を見つめた。「大切な人たちを守るためです。そして、いつか人間と魔族が理解し合える日が来るかもしれません」


玉座の間が静まり返った。臣下たちは呆れたような顔をしている。


「理解し合う?」女王は冷笑した。「人間と魔族が?愚かな夢だな」


「夢かもしれません」カズマは諦めなかった。「でも、不可能じゃないと思います。俺は魔族に悪意を持っていません。リーフィアだってそうです。セルヴァンは精霊だけど、俺たちと友達になってくれました」


女王はセルヴァンを見た。「精霊よ、この人間をどう思う?」


「面白い男だ」セルヴァンは率直に答えた。「少なくとも、他の人間とは違う。私は彼と契約を結んだ」


女王の瞳が見開いた。「精霊と契約を?」


「はい」カズマは頷いた。「セルヴァンだけじゃなく、水の精霊とも火の精霊とも契約したいと思っています」


玉座の間が再びざわめいた。三体の精霊と契約など、伝説の中の話だった。


女王は長い間カズマを見つめていた。そして、ゆっくりと口を開いた。


「人間にしては…面白い男だな」女王は微かに微笑んだ。「古代魔導書を探しているというなら、一つヒントをやろう。この城の地下には古い遺跡がある。そこにお前が求めるものがあるかもしれない」


カズマの心臓が跳ね上がった。「本当ですか?」


「ただし」女王の表情が厳しくなった。「そこは危険な場所だ。古代の守護者が眠っている。無事に帰れるかどうかはお前次第だ」


「やってみます」カズマは即答した。


女王は立ち上がった。「では、今夜は城に泊まっていけ。明日の朝、地下への入り口を教えよう。ただし、覚悟しておけ。その遺跡で命を落とした者は数知れない」



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