表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/4

高校入学

 何度も言いますが、僕の兄は超イケメンです。

 子供の頃からミュージカルで活躍し、歌も上手くて人気があります。

 

 そんな兄が好きになったのは、僕のピアノの先生の息子さんの冬弥(とうや)さんです。


 冬弥さんが受験する高校が分かり、兄も同じ学校を受ける決心をしたようです。

 進学校なので、一念発起して勉強を頑張っていました。

 『頑張れ、お兄ちゃん!』


「どうして、その高校なの?」

 葵生ちゃんは兄に聞いていました。

「葵生には関係ないよ」

 と素っ気ない態度でした。ゴメンね、葵生ちゃん。


 兄の事を心配して、葵生ちゃんも同じ高校を受ける事にしたようです。


 一度、葵生ちゃんに聞いてみました。

「葵生ちゃんは、お兄ちゃんのこと、好きなの?」

「うーん。好きだけど、弟みたいな感じね。利人君も好きよ。お婆ちゃんに愁の事を頼まれたもの」

 そっか……


 無事、兄も葵生ちゃんも高校に合格しました。

 が……


 冬弥さんは、普通科でした。

 兄も葵生ちゃんも芸術科を受験しました。


 冬弥さんはピアノをしていたので、兄はてっきり芸術科に行くと思い込んでいたようです。


 入学してクラスに冬弥さんがいなくてガッカリしていました。

 お兄ちゃん、何科を受けるかちゃんと聞かないとダメだよ。


 高校に入ってから、学校で冬弥さんを見る事ができるからか、僕のピアノレッスンに付いてこなくなりました。

 ミュージカルの練習など、忙しかったせいもあるのかな?


 兄は学校で人気があったようだけど、みんな葵生ちゃんを彼女だと思っていて近づく人は少なかったみたいです。

 兄にとっては好都合だったのかな?


 長い片思いの末、ついに兄は冬弥さんに思いを告げたようです。

 冬弥さんのピアノ伴奏で、兄が歌った演奏会の日だと僕は確信しました。

 演奏会の後、一緒に帰った時の兄がいつもと違う感じで、にこやかだったし。


 あの演奏会での兄は、本当に歌声が綺麗で感動しました。

 けど、僕はピアノを弾く冬弥さんもすごくカッコイイなと思いました。


 しばらくして、どうやら両想いになったようです。

 毎日、楽しそうにウキウキで歌っている兄は、可愛らしかったです。


 兄がアメリカ留学した時は、冬弥さんが可哀想なくらい落ち込んでしまい、心配でした。

 冬弥さんも、兄の事を本当に好きになってくれたんだなと、嬉しい思いもあったのだけれど……


 冬弥さんが何とか立ち直って、大学受験に向かっていった時は、ほっとしました。

 僕は、ピアノレッスン後、冬弥さんの様子を窺っていました。

 そして、こっそり携帯で写真を撮り兄に送信していました。


『お兄ちゃん、冬弥さんは受験勉強を頑張ってるよ』って……

 兄もその状況を知り、留学先で奮闘したようです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ