エニケイ様 【★★★】
俺は最近結婚した。
妻はバツイチで7歳の子供がいる。
俺は息子と仲を深めるために山に来た。
山を登りながら話そうと思った。
頂上には公園もあるしきっと喜んでくれる。
すると山に入ってすぐ老人に声をかけられた。
「おいあんた、18時までには山を下りな」
俺は疑問に思い老人に聞く。
「なぜ18時までに下りないといけないんですか?」
「エニケイ様が来るからだよ」
「エニケイ様?」
「この山にいる神様のような存在だよ」
「神様なら大丈夫では?」
すると老人は声を低くしてこう言った。
「エニケイ様に出会っちまったら食われちまうぞ」
俺はそんな老人の話をもちろん信じてなどいない。
俺と息子が歩き始めると後ろから老人が叫んだ。
「もしエニケイ様に出会ったら生贄を差し出せ!そうすれば助かるぞ!」
俺は後ろを振り向き老人に軽く会釈をした。
しばらくして俺はあの老人の言葉を忘れ山頂の公園で息子と遊んでいた。
ふと時計を見ると時刻は18時を過ぎていた。
さっきの老人の話もあるが暗くなってきたこともあり俺達は山を下りた。
すると前から誰かが近づいてくるのが見える。
(さっきの爺さんかな)
そう思い、目を凝らす。
そこには肌がとても白く骨が浮き出ていて頭が膨れ上がった怪物がいたのだ。
そいつは俺達を見つけると猛スピードでこちらに走ってくる。
「パパ、あれなに?」
俺は息子を抱っこして走ったがそいつにすぐに追いつかれてしまった。
そいつは俺の体を舐め始めた。
(もしかして食われるのか)
俺はあの老人の言葉を思い出した。
(そういえばあの爺さん、、、)
俺は山を登り始めた場所まで戻ってきた。
するとそこにはあの老人がいてこう言った。
「エニケイ様に会ったんだな」
俺は何も言わずに一人で車に乗り家へと向かった。
END
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