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2話「ポクが神の使いフー二でふ!」

『ふくふくふーに! ふくふーにぃ!』


 神の使いは達成感に溢れた表情をすると、話を進めようとした。


『これでいいでふ! えっと……何を話してたんでふか?』

「いや、その前に今何をしたの?」

『時止めのまほーう! でふよ』

「……え?」


 私は半信半疑で、カーテンを開けて窓の外を覗くと、道行く人は立ち止まり、車は停車していた。空を暫く見上げていたけど、雲はピクリとも動いていなかった。


「何も動いてない……」


 私がボソッと口を動かすと、神の使いは元気よく言い放った。


『えっとでふね……そういえば自己紹介がまだだったでふね。このポクは神の使いのフー二でふ。性別はないでふ。これからリョウの為に頑張るんでふよね?』

「うん、もちろんよ……」

『だったら時止めを使って正解でふ!』

「でも、時を止めたって……まだ亮太の葬式も通夜もやってないのよ?」


 私は胸がざわめく思いを必死に抑えて、フー二に強く当たってしまう。


『そこら辺は大丈夫でふよ? 時間が止まってるから気にしなくていいんでふ!』

「そう……なのね」


 まだ私の中で整理出来てはないけど、今は考えないようにしないと……集中出来そうにないわ。


『そうでふよ! 異世界に干渉するんでふから、こっちの世界の時間を止めないと大変な事になるんでふよ』


 フー二は眉を八の字ににし、大袈裟に振る舞う。


「大変な事って?」


 私がそう問うと、フー二は小さい手を精一杯動かして説明した。


『大変は大変でふ! 時間軸がズレて、こっちの世界が色々おかしな事になっちゃうでふよ』

「へぇ……」


 さっぱりわからないけど……まぁいいわ。


『ふにふに。いいでふね! これで話の続きができるでふ』

「うん、お願い」


 フー二は満足そうな顔つきで咳払いをし、続きを話した。


『では……コホン! リョウは転生時にあるスキルを選んだでふ。転生する時に一つだけスキルを選べるっていう、お決まりのアレでふね!』

「へぇ~すごいわね」


 その辺の事情はよくわかっていなかった。だけど、まずは話を聞いて理解しようと必死だった。


『それでリョウが選んだスキルは……』

「なんだったの?」

『支援者っていうスキルでふ』

「へぇ~それはどんな効果があるの?」

『自分一人では成長出来なくなるけど、特別な支援者によって様々な"ギフト"を受け取る事ができ、それによって強くなる事ができる。でふよ』

「へぇ~特別な支援者って……」

『そうでふ! お母さんであるリョウコちゃん。チミでふ!』

「あれ? 私、名前言った?」

『ポクは神の使いでふよ。名前なんてお見通しでふ』


 疑っていたわけではないけど、本当なんだと実感する事になる。


「それで、私は何をすればいいの? 亮太の役に立つには……」


 私は亮太に対して母親らしい事はしてあげられなかった。亮太が欲しいって言ったものは、全部買ってあげて来たけど、何一つ受け取って貰った事はない。

 恥ずかしいとか投げられた事もある。


 ――こんなくだらねぇモンに金使ってんじゃねぇよ。


 これが亮太の口癖だった。

 今思えば亮太は……私が嫌いだったのかな。


 でも最後の亮太は……呼吸器を付けながら口を開くのも辛かったでしょうに、最後の力を振り絞ってこう言った。


 ――ごめ……ん。


 どういう気持ちだったんだろう。

 自分が辛いのに、やっとの思いで発した言葉が謝罪の言葉なんて。

 私は悲しかった。悔しかった。

 最後くらい幸せな気持ちで逝ってほしかった。


 だから私は……亮太の役に立ちたい。子供がどんな状態になったって親は親。

 今度こそ亮太を……救いたい。


『リョウコちゃんは、そこら辺のお店で物を買ってくるでふ。それをリョウの元に贈ると、異世界で勝手に変換されて、"ギフト"としてリョウ元に届くでふ』

「物って何を買えばいいの?」

『何でもでふ。ホウキでも熊手でも包丁でも何でもでふね。因みに今言った物は全部、あっちでは武器として認識されるでふ』

「へぇ~とにかく何でもいいのね。ホームセンターに行けば何でも買えるかな? 善は急げね。ちょっと行ってくるわ」


 涙を拭いて立ち上がった。

 亮太の為に貯めていた貯金、ここで使わないでいつ使うの?

 よし、まずはATMね。次にいつものホームセンターでできるだけ沢山の物を。


『でもでも、意味がない物もあるでふよ。そういうのは物に変換されないでお金や換金アイテムに……ってもう聞こえてないでふね。ふくぅ……。さて、ポクは神様ショップの準備でもするでふか』


 フー二は何か言っていたみたいだったけど、私にはもう聞こえていなかった。

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