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シロとクロ(全年齢版)  作者: はもはも
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57.サトリの烽火

 サトリ先生は世界の反応を見守っていた。


 いま、全世界のネット環境を有するあらゆる国と地域において、ある動画が流されている。反応はさまざまだ。頭ごなしにフェイクだと決めつけるのは主に体制側。さっきも定例「記者クラブ」会見で菅野大官房長官が、バーコード頭を脂でテカらせ、薄ら笑いを浮かべながら怪動画呼ばわりしていた。いまのうちに好きなだけ吠えているといい。


 政府は必死に圧力をかけて揉み消させようと右往左往しているが無駄だ。動画は字幕とナレーション付きで多言語に翻訳され、あらゆる国の様々な動画配信サイトとレンタルサーバーに登録されている。削除されてもすぐに同じ動画がアップロードされる。それは白黒団のメンバー以外の手によっても行われ、その数は加速度的に増えていた。


 もはや誰にも止められない。国全体でネットを遮断すれば負けを認めたも同然だ。もし仮に令和帝国で遮断が強行されても、その状況を逆に利用する手筈は整っていた。いまのところ、その動きは無かったが。電子の海での商取引ができず、パヨクへの陰口も叩けなくなる華士族の反対がもっとも大きいようだった。


 動画では、カオリが、エミが、マユカが、そしてサトリ自身が、自分と家族に起こった理不尽な仕打ちと、強制労働施設での虐待を訴えていた。他の20人もそれに続いている。


 しかし最も反響が大きかったのは、違法性風俗店で監禁使役されていた少女たち293名の告発だった。借金のカタに、あるいは数万から数十万円の現金で売られた少女たちが、スタッフに「調教」されて客を取らされた。いやに高額な食費・宿泊費・店舗施設使用料・メイク代ヘアセット代を取られ、それでも余るお金は架空の借金返済に充てられてしまう、奴隷労働としての実態が衆目を集めた。


 児童の強制労働は世界の片隅ではまだまだ根強く残っており、決して珍しいものではない。しかし自称「最先端先進国」の首都圏大都市圏で公然と行われていることに対する拒絶反応は大きかった。やがて人々の関心は、そうした虐待と搾取が何者によって行われているかにも及んでいく。


 中でも最も再生数が多かったのが、おおたリカの動画だった。店のホームページに27歳と記載されていたことから、7歳と推定されている彼女が、店員の暴力、み~なという源氏名、初めての客、食事のシステムといつまでも溜まらないお金について語っている。そして、動画の最後に、まだ見つかっていない家族に向けてメッセージを発していた。


「パパ、ママ、リカはおにいさんおねえさんにたすけられて、いまはげんきです。もしまだリカのことをおぼえていてくれたら、パパとママにあいたいです。あっておはなししたいです。いっしょにごはんをたべたいです。またいっしょにくらしたいです。リカはパパとママをまってます」

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