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普通の関西人、魔法使いになる  作者: かわむら咲
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~魔法の日々の始まり~

 こんにちは、かわむら咲です。やっとの思いで、二話目投稿です。

今回だけで新キャラが三人も増えます。落ち着いたら、キャラクターの見た目とかも公開していきたいなーなんて。

顔に注ぐ朝日で目を覚ます。昨日はあのまま寝てしまったのだろうか。朝のほんのり肌寒い気候は、少し違えど日本に似たものを感じる。体を起こして見渡す部屋は、昨日見たそれと変わらない。部屋の右端に置かれた机の上には、何やらメモが乗っている。持ち上げて読んでみれば、″目が覚めたら、いつでもいいから昨日の部屋においで。 イノセントより″だそうだ。そういや今何時なんだろうか、って、時計ないやんこの部屋。ぼーっと天井を眺めていると、ノックする音が聞こえる。

 「広臣さーん、もう起きてますか?着替え持ってきましたよ!ここの制服です」

 「おっ、エレナシア。おはよう」

 あいさつしながらドアを開くと、彼女は突然吹き出す。

 「えっ、なんなん、急に笑うとか中々に失礼やぞ」

 「っふふ、だって髪型が面白いんですもん」

 「えー、そんなことは…ほんまや。」

 「あはは!それが俗にいうノリツッコミというやつですね!」

 「そんなことはないから」

 「そうなんですか、着替えたらイノ先生呼んでるんで行ってあげてくださいね」

 「おう、着替えありがとうな」

 「こちらこそ朝から笑えてうれしいです」

 「地味に失礼やな」


 着替えて、心機一転歩く廊下。心機一転といえど、あんまりピンと来ないのはあたりまえである。

新しいであろう制服は、石鹸のようないい香りがする。喉元に触れる襟は少しばかり窮屈な気もするが、新品特有のやつだろう。というか道がわからない。呑気に制服の感想考えている場合じゃなかったな。昨日すごく疲れていたので最初の部屋から自分の部屋までの道のりを全然覚えてないのだ。誰か聞ける人がいるならいいのになと思いつつ二度目の場所を通る。明らかに、はたから見てしまえば不審者だろう。キョロキョロと辺りを不思議そうに眺めていると、人影が二人見つかる。

 「すみませーん、そこのお二方」

 「何よ」

 「なんだい?」

 雰囲気の随分違う二人は、ここの生徒であること以外共通点を一切感じさせない。

 「道がわからんので教えてもらってもいいかな」

 「いいわよ、どこに行きたいの?というかあんた誰?まさか不審者とかじゃないでしょうね!?」

 「いや、なんか昨日からここの学校の生徒になった五代広臣っていうんやけど。職員室…ってかあのイノセントっていう人の居る部屋教えてほしいねん」

 「なーんだ、そこなら僕も用事がある。連れてってあげよう。」

 「え、なによ!あんたそれで納得してんの!?」

 「ああ、なんとなくどういうことか目星はつくからね」

 「なによ、あたしやっぱりあんたのことよくわかんない」

 

 さっきの二人組の男の方、不思議な髪型の人が連れてってくれるらしい。なんの気なし、直感的にこの人は危ない気がしてちょっとだけ距離をとって歩く。

 「僕のことちょっと避けてる?」

 「い、いや別に避けてへんけど」

 「自己紹介まだだったね。ユヅキ・ヴァレンタイン。ユヅキでいいよ」

 「へー、ユヅキさん。あ、俺は五代でも広臣でも眼鏡でもええよ、って、今眼鏡かけてへんかったわ」

 「それじゃあヒロオミくん。急で悪いけど僕の傀儡にならない?」

 「…は?」

 やっぱこいつヤベー!と思いながらも話題は次の方向へと進む。今の自分で言っといて流すとは流石やりおるわいヤベー奴。

 「ヒロオミくんは名前と話し方から見るに日本の人だよね」

 「ハァ…、そうやけど」

 「イノ先生が拾った感じか」

 「正確にはエレナシア・マリなんちゃらかんちゃらが俺のこと拾うてきたよ」

 「ふふ、お人好しも行きつくとこまでいってるね」

 「え、もしかして俺が来たの嫌やった?それやったら帰り方教えて、正味今すぐ帰りたい」

 「そんなことあるわけない、君は将来有望そうだもん、あと帰り方とかはわかんないかな」

 「ほー…、」

 「そうこうしてたらついたよ」

 「ここだったっけか」

 言われてみれば見覚えのある気がするドアを前に、挨拶をしておく。

 「ごめんくださーい、五代です」

 「あ、はーい!よく来たね!!」

 入れと言われたので入った部屋で、座れと勧められ、なんか高そうに見える木の椅子に腰掛ける。近くのテーブルに置かれた紅茶からは、アールグレイ特有の香りがする。

 「わざわざ来てくれてありがとうね、五代くん」

 「ああ…いえ、メモ置いたの先生やないですか」

 「まあ、それもそうなんだけど」

 「お話かなんかあるんですよね?」

 「うん、いくつか。何から話そうかな。」

 「というか後ろのユヅキさんはそのままでいいんですか」

 「うーん、ちょっとだけ外出ててもらおっか」

 「え、僕追い出される感じ?」

 「うん」


 それからたくさんの、話をされたと思う。正直空腹と眼鏡がないことへの違和感のせいで頭に話が入ってこなかった。きっと、内容も難しかったんじゃないのだろうか。まあ、大まかなことは覚えている。この学校は生徒三人しかいなくて、俺が来て四人。んで、やっと学生対抗魔法なんちゃらトーナメント的なアレに定員ギリギリで届いたと。だから、魔法頑張ろうぜ、と。いや、何魔法とか漫画だけやと思ってた人に急に使えいうてきとんねん。しばくぞ。

って、そうではない。魔法て、本当にそんなものあるのか。いや、嘘だとかは思ってない。ただ単に、現代日本の住民としての一般的な疑問を抱いているだけだ。


 とりあえず、空腹。イノセントさんが出してくれた紅茶と申し訳程度の焼き菓子のせいで空腹が加速した。

とりあえずふらふらと校内を歩き回り、探訪気分を味わっておく。歩く先々で違う景色が見えたり、違う香りがしたりするのは自分の状況からでは不謹慎すぎるが楽しい。朝日を通したステンドグラスはいっとうきれいだった。様々な色合いに透き通るステンドグラスの赤を見て、家族のことを思い出す。ちょっと感傷に浸ったりなんかしながら歩いていると、後ろから聞き覚えのある声がする。

 「広臣さーん!」

 「エレナシアやん」

 「朝ごはんまだだったら一緒に食べに行きましょうよ!」

 「おお、ええやん」

 ちょっとの間歩いて、食堂らしきところに着く。あまりに広いそこは、生徒四人先生数人には広すぎるだろう。

 「おはようございまーす、校長」

 「うん、おはようメイガーデンさん、と…。ああ、五代君だね!おはよう」

 「あ、おはようございます」

 猫背気味で調理場に立つその人が校長だということを知りなんとなく背筋を正す。

 「今日はね、和食にしたから」

 「校長も広臣さんが来たことにテンションが上がってらっしゃいますね」

 「いや、ようやく念願の大会メンバー定員がそろったから…」

 「俺にそこを期待せんでください」

 木製の重たそうな長机に置かれた校長お手製の朝食は、日本人の作ったそれと変わらない。味噌汁の味とかも、食べなれた感じで…。料理上手やな、校長。

 「五代君も、この後教室に行こう」

 「あー、最初の自己紹介とかの感じですか?」

 「うんうん、そんな感じ。」

 「食べ終わった食器はそこに置いといていいからね」

 「校長が洗い物するんですか…。」

 「広臣さんには慣れない感覚でしょうね。校長の洗い物、面白いですよ」

 「洗い物がおもろいって…。なんで」

 その時ふいに、皿や茶碗が空中に浮きあがる。びっくりして、眼鏡がないからこう見えるだけだ、と目のあたりに手をかざすと眼鏡をかけていた。そうだ、イノセントさんからもらったんだった。浮かび上がった食器を、どこからともなく現れた水の渦と洗剤の泡が取り囲む。地味だけど、こういうのって魔法なんだな。そりゃ、普通にしてりゃ食器なんて浮かないですよ。

 「どう、五代君。楽しかった?メイガーデンさんがプレッシャーかけるから緊張したよ」

 「あ、はぁ…。凄いですね」

 「ですよね、ぜひ広臣さんにも見ていただきたくて!」

 「もう、メイガーデンさん。」

 和気藹々と会話を交わして、食堂らしき場所を後にする。しばらく歩けば、教室。さっきの二人も、クラスメートになるんだな。


 

 読んでいただき、ありがとうございます。ごたごたでしたね、文章。修正点や、アドバイス、感想等ございましたらまってます。ありがとうございました。

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