表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

 三十三歳、人生を再びスタートさせるには遅すぎるだろうか。

 日本生まれ日本育ち、二十歳で就職の為上京し二十二でまさか離職。そこから落ちぶれるまで半年、近所の公園でホームレスを始める。そのまま時が過ぎ今ではもう三十三歳である。


 これが私。


 他人に誇れる経歴のない私が今何をしているか。ゴミ集め?違う。職探し?違う。何もせず寝てる?違う。


 私は今、自分の居住していた公園の前で()()を見上げている。


 何を言っているのか分からないだろうが聞いてくれるか?朝起きたら俺が寝ていた公園にビルが建っていた。それも僅か一日でだ。


 ここでもっと奇妙なことにどうやらこのビルの名称には私の名前がつけられているらしい。近くのプレートには確かにそう書いてある。


 その時である、近くからカメラを持った記者らしい男が私の目前に現れ、こう切り出したのだ。


「次の大統領選に出られるとの情報をお聞きしましたが真実ですか?」


 身も蓋もない、誰がこんなデマを。違うな、この男私をからかっているのだ。私のようなホームレスにどうしたらそれ程の地位を手に入れられるというのか。


「これは何かの冗談でしょうか?それとも人違いですかな?」


「何をおっしゃいますか。不動産王と言われ、一生使いきれない程の材を手に入れた貴方は、次に権力を掻っ攫うのではと、我々の業界では噂になっていますよ」


 馬鹿な、私が不動産王だと?阿呆らしい。ここまでくるとドッキリというよりは大きな陰謀すら疑ってしまう。


 だが、否定の言葉を発しようとするもののその言葉は別の人間によって遮られたのだ。


「社長こんなところにおられたのですね。」


 そう声をかけてきた女性はスーツ姿の若い秘書のような感じがした。


 こうして私は無理やり服を引っ張られビルの中へと連れて行かれたのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ